ウェストエンドに行ってみる?

 いきなり言い訳ですが、僕はウェストエンドに詳しくありません(笑)。ブロードウェイに比べると、はるかに少ない回数しか行ったことがありません。なのに、なぜ「ウェストエンド・ガイド」を書くのか?
 ウェストエンドについてのご質問をいただくからです(笑)。
 調べてみると、ウェストエンドに関する詳しい日本語のウェブサイトって、あんまりないんですね。僕の知る限りで参考になるのは、 [イギリス劇場案内] ぐらいでしょうか(今回も参考にさせていただきました)。
 そんなわけで、いささか頼りないのですが、僕のわかる範囲で、初めての人ための体験的ウェストエンド・ミュージカル観劇ガイドを書くことにしました。怪しい記述に関しては、その都度ご指摘いただければ幸いです。
 

チケットを手に入れる

 チケット入手方法は、大きく分けて 4通り。

  1. 予約する
  2. 劇場窓口で買う
  3. 半額で買う
  4. チケット・エージェントで買う
 1〜 3の 3通りはニューヨークと同様。 4がロンドン独特の方法です(後述しますが、ロンドンでは、チケット・エージェントのあり方がニューヨークとかなり違うのです)。
 

1) 予約する

 で、ここでもいきなり言い訳ですが、僕はウェストエンドのチケットを予約して買ったことがありません。というのは、ウェストエンドの予約チケットは窓口受け取りが出来なかったのです。国内購入を前提としていたらしく、郵送されていたんですね。
 しかし、最近、 [チケットマスター UK] のページをのぞいたら、海外からの購入者(International Customers)が窓口で受け取る(Box Office Collection)という選択が出来るようになっていました。ロンドン劇場協会の公式サイト [London Theatre Guide] のチケット購入ページでも、窓口受け取り(venue pickup)の選択が出来るようです。
 というわけで、予約は上記のサイト等でどうぞ。

 あと、ロンドンでは、劇場に直接電話してチケットの予約をすることが出来ます。でもまあ、日本から電話するぐらいなら、オンラインの方が安いし、すでにロンドンに着いているのなら、劇場の場所を確認する意味でも、直接劇場窓口まで行った方がいいですよね。

 席の選び方は、基本的には [BROADWAY GUIDE] に準じますが、まず言っておかないといけないのは、席の呼び方がアメリカとイギリスとでは違うということです。具体的には以下の通り(左がアメリカ、右がイギリスの呼び方)。

 ORCHESTRA(1階席)= STALLS(ストールズ)
 MEZZANINE(2階席)= DRESS CIRCLE(ドレス・サークル)
 BALCONY(3階席)= UPPER CIRCLE(アッパー・サークル)

 で、僕の少ない経験から言うと、ブロードウェイの劇場のほとんどが比較的小振りで似たようなサイズなのに比べると、ウェストエンドの劇場は、サイズや構造にかなりバラつきがあります。それから、ブロードウェイにはあまりない 3階席のある劇場がけっこうある。でもって、3階席=アッパー・サークルはとても見にくいです。ま、これも試行錯誤してみてください。
 [チケットマスター UK] には、各劇場の座席表が載っています。
 

2) 劇場窓口で買う

 基本的な利用方法はニューヨークと同じです([BROADWAY GUIDE] 参照)。
 ただ、上記のように席の呼び名が違うので注意してください。
 それから、公演の曜日や時間が、ブロードウェイと違ってかなりまちまちなので、これは、タイムアウト誌を買って確認しておくのがいいでしょう(一般的に日曜休演が多い)。
 劇場窓口の開く時間は、午前 10時。
 支払方法は、クレジットカード、現金、トラヴェラーズ・チェックのいずれか。小切手も使えるらしいですが、そんなの使う日本人観光客は、まずいませんよね(笑)。
 

3) tkts で割引で買う

 割引の当日券が、 tkts (以前は Half Price Ticket Booth という名前でしたが、改名されました)で買えます。ここが、ロンドン唯一の“公式”半額チケット販売所です。
 演目によって割引率が異なります。さらに、ここに出ているけれどもフルプライスのチケットもあるようです。でもって、割引チケット同様手数料を取られます。劇場窓口でなくても買える、というのが利点(?)なのでしょうが、どうかご注意を。
 あと、当日以外(つまり先の日程)の割引チケットも売るようになったようです。こちらは利用価値ありかも。

 当日出ている半額チケット一覧

 tkts の場所は、地下鉄レスター・スクエア(Leicester Square と書いて、こう読む)駅近く、ピカディリー・サーカス駅方面に向かうとすぐ左側に現れる小公園の南側。屋根に時計台の付いた建物が、それです(上の写真)。ブレント・クロスというところにもあるようですが、行ったことはありません(詳しくはこちらでご確認を)。

 月〜土曜日は午前 10時から午後 7時まで、日曜日は正午から午後 3時半まで売っています。
 建物の脇に、チケットが売られている公演のタイトルが掲示されています。
 支払いは、現金かクレジットカードです。

 ここで、ごくごく限られた僕の経験(3回様子を見に行って 1回しか買ったことがない)から言うと(こればっかりやね)、ニューヨークの tkts に比べると、発売される演目の数がかなり少ない。そして、僕の買った 1回はアッパー・サークル= 3階席のものでした。なので、個人的にはロンドンの半額チケットにはあまり期待していません。
 ――というのが 2000年夏の時点での見解でしたが、その後、何度かチケットをここで買いました。で、けっこういい席も出る。要するに、シーズンによって、出る席の質量共にいろいろということなのでしょう。
 

4) チケット・エージェントで買う

 ロンドンでは、ニューヨークと違って、町中でチケット・エージェントの店舗(路面店)を見かけます。特に、 tkts のあるレスター・スクエア周辺にはたくさんあり、中には“HALF PRICE”などと掲げた店もあって、知らない人だと、「ここが tkts か」と思いかねなかったりもしますが、これらはすべて私営です。
 で、上記のロンドン劇場協会の公式サイトでは、こんなアドヴァイスをしています。

  • “半額”や“割引”を標榜するチケット・エージェントでは買わない方がいい(悪い席を、高い手数料付きで買わされて、結局損をすることが多い)。
  • 劇場窓口で買えないチケットを、やむを得ずチケット・エージェントで買う場合は、チケットに書かれた券面の料金や座席番号、そして、見にくい席(Restricted View)かどうかを確認させてくれる店で買うべし。
  • 正規のチケット・エージェントがとる手数料は、券面料金の 25%を超えることはない。
  • 勧められるのは、 STAR(The Society of Ticket Agents and Retailers)の会員である店だけ。会員証を確認するべし。
 早い話、“STAR”という組織の会員ではないチケット・エージェントはイコール“ダフ屋”だ、ということでしょうか。
 このアドヴァイスの真偽のほどはともあれ(もっとも、ロンドン劇場協会の発言を疑う理由はなにもないのですが。笑)、僕も 1度だけチケット・エージェントでチケットを買って、けっこう面白くない目に遭いました。
 初めてロンドンを訪れた 1993年のことです。主たる目的だった『サンセット大通り SUNSET BOULEVARD』のチケットが劇場窓口で売り切れだと言われたので、しかたなくチケット・エージェントに買いに行きました。そのチケットが、席種が悪かった(3階席)上に、値段が高かった(最高額席並)。今思えば、席も選ばせてくれなかったし(チケットは束になってあった)、手数料も高すぎで、たぶん“STAR”の会員ではないエージェントだったのでしょう。
 でも、個人的には、劇場窓口では売り切れの人気作品のチケットが、その辺のチケット・エージェントにごっそりあって、平気な顔で高い値段で売られている、というロンドンのチケット事情そのものに疑問を持ちましたけどね。ま、それはそれ。
 というわけで、ロンドンでは、チケット・エージェントでの購入には十二分にご注意あれ
 

5)その他

 さて、 [BROADWAY GUIDE] では、この他に、割引クーポンの利用、キャンセル・チケット、立ち見席、ラッシュ・チケット、などについて説明していますが、ロンドンでは、こうしたチケットを購入したことがなく、また、現地で調べたこともありません。ガイド・ブックを読んだりすると、割引クーポンはあるようですし、学生証を提示して買う学割チケットもあるようですが、確信がないのでご案内出来ません。申し訳ない。
 ただ、キャンセル・チケット(ロンドンではリターン・チケットというらしい)や立ち見席については、 [BROADWAY GUIDE] で書いた、「Where's the cancellation line?」だとか、「Do you have standing tickets?」とかって質問を劇場窓口ですれば、事情はわかるのではないでしょうか。
 また、いくらお金を払ってもいい、という人は、ニューヨーク同様、ホテルのカウンターで頼めば、入手困難なチケットも手に入るかもしれません。

 以上、レッツ・トライ!

* * * * * * * * * *

 

劇場に行く

 まず、なにはともあれ、「LONDON A to Z」というマップブックを入手してください。ロンドンなら、書店はもちろん、コンビニみたいなところ(キオスクとか)でも売っていますし、日本でも、大型書店なら旅行書や地図のコーナーに置いてあります。ロンドンを歩くための必携品です。
 で、前もって言っておくと、ウェストエンドの劇場は、ブロードウェイの劇場ほど狭い地域に密集しているわけではありません。が、それでも、西側で言えばハマースミス Hammersmith とかヴィクトリア Victoria、東側だとエンジェル Angel とかバービカン Barbican なんて場所以外にある劇場は、そんなに苦労しないでも歩いて回れる距離内にあります。

 そんなことを念頭に置いて、いざ劇場へ。
 

1) 場所を確認する

 初めて行く劇場は、必ず下見をして、場所を確認しておきましょう。
 あえて“必ず”と書くのは、ロンドンは道が入り組んでいて、ニューヨークのように簡単には目的地にたどり着けないことがあるからです。劇場の場所は旅行ガイドブックの地図にたいてい載っていますが、いくつかは裏通りのようなところに面していたりして、その地図だけでは見つけにくい。おまけに、捜しているうちに方向感覚を失って、自分がどこにいるのかもわからなくなることさえあるのです(体験談)。

 ここで、上記の「LONDON A to Z」が登場。
 ロンドンでは、あらゆる通り(どんなに細く短い通りでも)に名前がついていて、住所は必ずその通りの名前で表されています。そして、「LONDON A to Z」には(ポケットサイズの判でも)そうした通りが全て名前つきで描かれています。さらに、巻末には通りの索引が載っているので、通りの名前がわかれば、その通りがどこにあるかがすぐにわかる。
 というわけで、劇場に行く前に次のような作業をしておくと便利です。

  1. タイムアウト誌などで劇場の住所(通りの名前)を確認する。
  2. 「LONDON A to Z」の巻末索引でその住所(通りの名前)を検索し、地図上でその通りの場所を確かめる。
  3. (旅行ガイドブックの地図で、その通りのどの辺に劇場があるかを確認し、)その位置を「LONDON A to Z」の地図に書き込む。

 旅行ガイドブックの地図との照合が面倒くさい場合は、 3のカッコ内は省略してもいいかもしれませんが、やっておくと確実です。
 

2) 劇場への足

 歩き地下鉄タクシーバス

 残念ながらタクシーには乗ったことがありません。
 なのですが、ロンドンの正規のタクシーは非常に優秀で、住所を言えば必ずたどり着けるということですので、困った時にはタクシーに乗るのがいいかも。そのためにも、劇場の住所は確認しておきましょう。
 乗り方は旅行ガイドブックなどで確認してください。

 また、バスは、郊外で 1度乗ったきりですので、市街地での便利さがどの程度なのかがわかりません。
 したがって、現時点ではオススメ出来ません。

 歩き
 前述したように、いわゆるウェストエンドと呼ばれる劇場地域は、だいたい歩いて回れる広さです。ですから、その周辺に宿泊すれば、だいたいの劇場へは宿から歩いていかれるはず。
 例えば、僕の場合、いつもラッセル・スクエアという駅の近くに宿をとりますが(安いから)、ここはウェストエンド劇場地域からは北東方面に外れたところ(大英博物館からさらに 5分ほど北東に歩いたあたり)になります。ここからでも、劇場地域の南西部にあたるピカディリー・サーカスやチャリング・クロス Charing Cross の駅あたりまで歩いて、かかる時間は、せいぜい 20分程度です(女性の足だともう少しかかるかもしれませんが)。
 とにかく、このあたりへの劇場へは、出来れば歩いていかれることをオススメします。そうでなければ、開演時間よりかなり早めに出た方がいい。その理由は次の地下鉄の項で。

 地下鉄
 まず警告です。ロンドンの地下鉄は突然停まってしまうことがあります。もちろん、通常の駅での停車以外で、です(笑)。
 僕は 2度経験しました。 1度目は、トンネルの中で停まって、何のアナウンスもないまま 10分近く動かず。もう 1回は、ロンドン到着後、空港から市街地へ向かう途中の駅で停まったっきりに。で、やはりアナウンスが、 15分ぐらいの間なし。結局、別の電車に乗り換えました。そして、ロンドンに住んでいる人によれば、こういったことはよくあるのだ、ということでした。
 ですので、地下鉄ではそういうこともある、ということを前提に利用されるのがいいと思います。また、ホームがかなり深いところにあり(エスカレーターではなくエレヴェーターで上り下りする駅も多い)、電車に乗っている時間は短いのに、改札とホームの行き来に時間がかかる場合も、ままあります。そんなこんなで、ウェストエンド劇場地域内では、歩きをオススメするわけです。
 料金については申し訳ありませんが旅行ガイドブックなどを参照してください。
 乗り方は、他の人のマネをしてください(笑)。注意すべき点があるとすれば、自動改札に入れた切符が改札の扉を通る前に出てくるので取り忘れないこと、と、乗るホームを間違えないこと(当たり前ですね。笑)。あと、車両によっては、ボタンを押さないと開かない方式のドアがあるので、ご用心を。
 

3) 劇場の中で

 服装は人それぞれ。
 この辺は、 [BROADWAY GUIDE] と同じ。やはり、念のために寒さ対策で上着は持っていた方がいいでしょう。

 ブロードウェイ同様、案内係がいて、席を教えてくれますが、 PLAYBILL のような無料プログラムはくれません。欲しい時は、お金を出して買います(笑)。大小 2種類を売っている場合がありますが、データがメインの PLAYBILL 的なプログラムは小さい方です。
 他人の前を通って席に着く時は、「Excuse me.」を忘れずに。後から来た人が自分の前を通って席に着こうとする時は、立ち上がって通してあげます。これもニューヨークと同じ。

 休憩時間の過ごし方も、ニューヨークと変わりません。女性用のトイレが混むのも同じ。始まる前に行っておいた方がいいと思います。
 ニューヨークと違うのは、飲み物やアイスクリームの売り子が場内を回ること。ロンドンでは、ミュージカルはかなり大衆的なエンターテインメントだと思われているようです。
 

4) 観劇の前後

 ウェストエンドの劇場の場所は、ブロードウェイに比べるとバラけているので、劇場によっては、すぐ近くにレストランやパブやコーヒー・ショップ(最近ロンドンにも増えました)があるとは限りません。ですので、観劇前後の食事や休憩のための店は、劇場の下見に行った時にでも、目星をつけておいた方が無難かもしれません。
 僕は、観劇後にパブでビールを飲むのが楽しみですが、劇場街にあるパブはけっこう混んでます。レストラン事情には、まるで詳しくないので、お伝え出来る情報はありません(笑)。
 なお、ロンドンの夜は、暗いですが、かなり安全です。
 

(12/17/2001)
(revised 9/20/2009)

Copyright ©2009 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro


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