[ゆけむり通信 番外1998]

8/4/1998
『帰ってきた、パ+ピ+プ+ペ+ポ〜』

自分で満足してますか?

 人気のザ・コンボイ・ショウ THE CONVOY SHOW を、赤坂プリンスホテルのクリスタルパレスという広い宴会場で観た。
 前回の博品館でのショウを観ようとしてチケットが手に入らなかったので、ディナー・ショウということもあって値段が少し高め( 11,000円)だったが、今回は迷うことなく予約した。
 それだけ期待も大きかったわけだが、始まって 5分で不安になり、 10分経つ頃には気が抜けていた。
 これが、日本屈指のダンサー集団と言われる人たちの“エンタテインメント・ショウ”?
 やっぱり風評ってもんは当てにならないと実感しました。ホントに。

 『帰ってきた、パ+ピ+プ+ペ+ポ〜』と題されたショウは、 8人のポー星人なるエイリアンが、地球、と言うか赤坂に降りてきて、ラスヴェガスやなんかに負けないエンタテインメント・ショウを繰り広げるぞと息巻く、そんな設定になっている。

 シンフォニックなシンセサイザー演奏と飛び交うライトという、ひと昔前の大型コンサートのような大仰なオープニングは、後から考えれば SF 的設定に対するある種のシャレだったのだとわかるが、最初の印象は不必要に長くてもったいぶった感じ。だが、まだこの時点では何も観ていないわけだから、期待感はある。
 やがて、リフトに支えられて舞台上方に隠れていた台に載った 8人のダンサーが、ゆっくりと降りてくる。全員が水中メガネのようなものをかけて、ユーモラスな宇宙人めいた派手な格好をしている。そして、絡み合った海草と言うか、団子状態になったヘビの群と言うか、そんな感じでひと塊りになってうごめいている。
 このショウで最もわくわくした瞬間だったと思う。
 そのままダンス・ナンバーに突入していくような構成であれば、それなりに納得のいく内容になったと思うのだが。

 この後の展開を大ざっぱに言うと、会場のあちこちを使う長ーいコントのようなものがあって、最後にちょっとしたダンス・ショウがあって、再びポー星人たちが宇宙へ飛び去って終わる。

 その長ーいコントの部分は、正直言ってプロの仕事とは思えない。
 野田秀樹の言葉遊びもどきのダジャレや、『ストンプ STOMP』まがいの徹底しないリズム・パフォーマンスに始まって、歌交じりの芝居のようなものになっていくのだが、キャラクターの描き分けもはっきりとはせず、ファンでない人間には誰が誰だかなかなかわからない。話にはひねりがなく感傷的で、ギャグも鈍い。
 でも、それには目をつぶろう。なにしろ彼らの本職は“ダンサー”なんだから。

 で、後半。
 長ーいコントがどうやら終わってメンバーがステージに集合し、踊り始めた時には心底ホッとした。やっと始まるぞ、と思った。
 ところが、残念ながらこちらも期待はずれ。ちょろっと踊っては舞台上で衣装替え。その繰り返し。緩急の変化も緊張感の持続もないブツ切れの構成で、何かファッション・ショウでも観ている気分。
 これではメンバーのダンスの力量もわかりようがないし、振付のアイディアも見えてこない。ハッとする瞬間すらない。

 彼らの公演や出演舞台を追いかけるようなファンはともかく、彼ら自身はどうなのだろう。満足しているのだろうか、この舞台に。
 僕はあらゆる職業の中でダンサーを最も尊敬する。それは、自分の肉体だけを武器に、一瞬にして消えてしまう、言葉では表しようのない素晴らしい何かを僕らに見せてくれるからだ。しかもダンサーは、とてつもない鍛錬とエネルギーを必要とし、そして、それに見合うだけの報酬を受け取ることはほとんどない。
 それでも彼らが踊り続けるのは、踊ることが好きだから、踊らずにはいられないから。僕はそう理解している。
 だとしたら、コンボイのメンバーがこんな内容の公演で満足するはずがない。そう思うのだが。

 ザ・コンボイ The Convoy =今村ねずみ、瀬下尚人、石坂勇、橋本拓也、舘形比呂、右近良之、黒須洋壬、徳永邦治。

(10/16/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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