[ゆけむり通信 番外1997]

4/24/1997
『風と共に去りぬ GONE WITH THE WIND』

真矢みきの笑顔にシビレよう

 宝塚花組の地方公演。
 本公演と違って人数も少ないようだ。
 それ以上に、セットがままならないため、規模が小さい印象は免れない。

 とは言え、今いちばん求心力を持つトップ・スター真矢みきを擁する花組、どんな条件の下でも華やかさは失わない。が……。

 男役2番手、愛華みれのスカーレット・オハラ。意外なほどつらかった。
 男役の時には華奢にさえ見えるのだが女役になってみると骨太な印象さえある、という容姿の問題はおいても、立ち居振舞いに残る不自然さは否めない。おそらく、自分の中に何かしっくり来ない部分があったのではないか。肩に力が入って、演技が一本調子に見えてしまった。

 それはともかく、初めて観る『風と共に去りぬ』がこの宝塚版(「バトラー編」と言うようですが)。その見事なダイジェストぶりは『レ・ミゼラブルLES MISERABLES』に勝るとも劣らない。
 制約の多い中で発揮される宝塚の斬新な企画力には舌を巻いてしまう。

 全体を、スカーレットの元を去るバトラーの回想として括る。
 スカーレットの内面を人格化して、もう1人のスカーレットを登場させる。

 前者で舞台の気分を決定し、後者でドラマをわかりやすくする。そうすることで、長大なストーリーのカット部分を補っていこうというアイディアだ。
 その背景には、映画を観ていなくてもわかるが観ていればよりイメージをふくらませて楽しめるものにしよう、という意志が見える。限界のある中で最良をめざそうという意志が。

 そんなわけで、ここでもストーリー紹介はしません。みなさん、映画(あるいは舞台)を観ていらっしゃるという前提で。

 役者では、アシュレー役の香寿たつきの歌のうまさ、それ以上に器の大きさが際立っていた。
 それから娼館の女主人ベル役・詩乃優花。独特のポジションを作り上げて、踊らなくても舞台を盛り上げる。
 実際、役者層の薄くなる地方公演で、この大作を、花組はよくこなしていると思う。

 そこにはやはり、真矢みきのトップ・スターとしての力がある。

 「バトラー編」とは言え、本来の主役はスカーレットであるこの物語。実際、他の演目よりトップ・スターの出演場面は少ないと思う。
 にもかかわらず、舞台を引っ張っているのは真矢みき以外の誰でもない。そこにいなくても存在感がある。そんな気さえした。
 最後のショウ場面(やっぱりやります)で娘役トップ千ほさちとのデュオ・ダンスがあり、客席から声がかかるが(必ずかかるらしい)、その時に見せるキザな笑顔と仕草にシビレない人は宝塚をけっして楽しめないだろう。
 と言うか、舞台のショウの楽しさが、あの笑顔に凝縮されている。そう思う。

 この演目、練り上げて、ぜひとも大劇場で再演してほしい。
 愛華みれの奮起に期待する。

(5/3/1997)

Copyright ©1997 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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