[ゆけむり通信 番外2013]

  • 11/ 6/2013
    『さらば八月の大地』
    新橋演舞場
  • 11/11/2013
    『吉例顔見世大歌舞伎 昼の部(仮名手本忠臣蔵~大序鶴ヶ岡社頭兜改めの場~三段目足利館門前進物の場~松の間刃傷の場~四段目扇ヶ谷塩冶判官切腹の場~表門城明渡しの場~浄瑠璃道行旅路の花聟)』
    歌舞伎座
  • 11/11/2013
    『吉例顔見世大歌舞伎 夜の部(仮名手本忠臣蔵~五段目山崎街道鉄砲渡しの場~二つ玉の場~六段目与市兵衛内勘平腹切の場~七段目祇園一力茶屋の場~十一段目高家表門討入りの場~奥庭泉水の場~炭部屋本懐の場)』
    歌舞伎座
  • 11/15/2013
    『伊賀越道中双六~序幕相州鎌倉和田行家屋敷の場~二幕目大和郡山唐木政右衛門屋敷の場~誉田家城中の場』
    国立劇場大劇場
  • 11/28/2013
    『風と共に去りぬ』
    東京宝塚劇場
  • 12/ 4/2013
    『文楽十二月公演(大塔宮曦鎧(おおとうのみやあさひのよろい)~六波羅館の段~身替り音頭の段/恋娘昔八丈(こいむすめむかしはちじょう)~城木屋の段~鈴ヶ森の段)』
    国立劇場小劇場
  • 12/ 5/2013
    『高校中パニック! 小激突!!』
    パルコ劇場
  • 12/ 6/2013
    『十二月大歌舞伎 昼の部(仮名手本忠臣蔵~大序鶴ヶ岡社頭兜改めの場~三段目足利館門前進物の場~松の間刃傷の場~四段目扇ヶ谷塩冶判官切腹の場~表門城明渡しの場~浄瑠璃道行旅路の花聟)』
    歌舞伎座
  • 12/12/2013
    『モンテ・クリスト伯』
    日生劇場
  • 12/16/2013
    『十二月大歌舞伎 夜の部(仮名手本忠臣蔵~五段目山崎街道鉄砲渡しの場~二つ玉の場~六段目与市兵衛内勘平腹切の場~七段目祇園一力茶屋の場~十一段目高家表門討入りの場~奥庭泉水の場~炭部屋本懐の場)』
    歌舞伎座
  • 12/17/2013
    『月雲の皇子(みこ)~衣通姫(そとおりひめ)伝説より~
    天王洲銀河劇場
  • 12/19/2013
    『主税と右衛門七(ちからとえもしち)』『いろは仮名四十七訓(いろはがなしじゅうしちもじ)~弥作の鎌腹』『忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)~忠臣蔵七段返し~』
    国立劇場大劇場

2013年11~12月観劇記

 新橋演舞場の『さらば八月の大地』は、脚本/鄭義信、演出/山田洋次。
 “幻の国”満州の中でも特殊な場であった満映(満州映画協会)で、内心はともあれ力を合わせて敗戦直前まで映画作りをしていた日本人と中国人の物語だが、例えば、満映理事長は実際には甘粕正彦だったけど、ここでは高村國雄となっていたり、という風に虚実入り乱れる作りにはなっている。なので、中国人助監督・張凌風(中村勘九郎)と撮影助手・池田五郎(今井翼)が真の友情を育むというドラマに歴史上どの程度のリアリティがあるのかはわからないけれども、それはそれとして、舞台上には、“こうであってほしい”という、人間に対する祈りのようなものが現出していた。それが、ある種の切実なメルヘンであるという意味で、映画『男はつらいよ』に通じるものであることは間違いない。
 勘九郎の熱演は賞賛に値する。歌舞伎ででもそうだが、父・勘三郎とは別の個性を育みつつあるのが楽しみだ。今井翼も、勘九郎との個性の対比がいい具合に出ていて、よかった。でも、この舞台の肝は満映理事長の木場勝己でしょう。複雑ながらスケールの大きさを感じさせる人物を見事に演じていた(脚本家も、この人物にかなり力を注いだのではないだろうか)。

 歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』「仮名手本忠臣蔵」の通し。
 昼の部が「大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場」「三段目 足利館門前進物の場~松の間刃傷の場」「四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場~表門城明渡しの場」「浄瑠璃 道行旅路の花聟」
 夜の部が「五段目 山崎街道鉄砲渡しの場~二つ玉の場」「六段目 与市兵衛内勘平腹切の場」「七段目 祇園一力茶屋の場」「十一段目 高家表門討入りの場~奥庭泉水の場~炭部屋本懐の場」
 主な配役は次の通り。
 「大序」「三段目」、塩冶判官=菊五郎、高師直=左團次(休演の仁左衛門の代役)、桃井若狭之助=梅玉、顔世御前=芝雀、足利直義=七之助、鷺坂伴内=松之助。
 「四段目」、塩冶判官=菊五郎、大星由良之助=吉右衛門(仁左衛門の代役)、石堂右馬之丞=左團次、薬師寺次郎左衛門=歌六、原郷右衛門=東蔵、顔世御前=芝雀、大星力弥=梅枝、斧九太夫=橘三郎、家臣たち=松江、男女蔵、亀三郎、亀寿、萬太郎、種之助、米吉、宗之助。
 「道行」、早野勘平=梅玉、おかる=時蔵、鷺坂伴内=團蔵。
 「五段目」「六段目」、斧定九郎=松緑、早野勘平=菊五郎、おかる=時蔵、母おかや=東蔵、判人源六=團蔵、一文字屋お才=魁春、不破数右衛門=左團次、千崎弥五郎=又五郎。
 「七段目」、大星由良之助=吉右衛門、おかる=福助、寺岡平右衛門=梅玉(仁左衛門の代役)、大星力弥=鷹之資、鷺坂伴内=松之助、斧九太夫=橘三郎、赤垣源蔵=権十郎、富森助右衛門=松江、竹森喜多八=歌昇。
 「十一段目」、大星由良之助=吉右衛門、小林平八郎=錦之助、原郷右衛門=歌六、大星力弥=鷹之資。
 仁左衛門の休演は、つくづく残念。「四段目」の由良之助は観たことがあるが、今回やるはずだった高師直と寺岡平右衛門、観たかったなあ。いいだろうなあ。とはいえ、通しをのんびり観るのは楽しい。
 ちなみに、福助は、この公演の13日から休演になった。

 国立劇場大劇場の『伊賀越道中双六』は、9月に文楽で観たネタの歌舞伎版。これも通しで、「序幕 相州鎌倉和田行家屋敷の場」「二幕目 大和郡山唐木政右衛門屋敷の場~誉田家城中の場」「三幕目 駿州沼津棒鼻の場~平作住居の場~千本松原の場」「大詰 伊賀上野敵討の場」という上演。
 ではあったのだが、諸般の事情で止むを得ず、最初の幕間で退場。「三幕目」以下を観られなかった。一番有名なところなんですが、「三幕目」。しかも、藤十郎、翫雀、扇雀の親子共演が話題の「三幕目」。残念。
 「序幕」「二幕目」は、橋之助、孝太郎、市蔵、亀蔵、彦三郎、萬次郎、家橘、翫雀、橘太郎、といった顔ぶれ。仇討ちドラマの伏線が出揃う因縁説明の場面だが、よく考えられていて(と言っても、文楽→歌舞伎の路線なので強引なのだが、そこも含めて)面白かった。

 宝塚『風と共に去りぬ』(1部、2部の通し)は宙組公演。脚本・演出/植田紳爾、演出/谷正純。
 初演は77年のようだが、僕が初めて観たのは97年の花組全国ツアー版。その時すでに演出で谷正純が加わっていたかどうかは定かではないが、若干印象が違っているのは、改訂されたせいか、こちらの記憶違いか。いずれにしても、その16年前の時点で、すでに“古典”な感じがしたのは確か。早い話、『ベルサイユのばら』と同じで、語り口が古い。脚本に手を入れたい気持ちになる。
 もう1つ、この演目の特徴として、スカーレット・オハラを男役が務めるため、配役のバランスがいつもと異なる、というところがある(調べたら、娘役トップがスカーレットをやった例もあるようだが)。
 ちなみに16年前の花組は、レット・バトラー=真矢みき(男役トップ)、スカーレット・オハラ=愛華みれ(男役2番手)、スカーレットⅡ=千ほさち(娘役トップ)、アシュレ=香寿たつき、メラニー=渚あき、という配役だった(ちなみに、スカーレットⅡというのはスカーレットの心の声が具現化した存在)。
 今回観た回の配役は、レット・バトラー=凰稀かなめ(トップ)、スカーレット・オハラ=朝夏まなと、スカーレットⅡ=純矢ちとせ、アシュレ=悠未ひろ、メラニー=実咲凜音(娘役トップ)。実はダブル・キャストが設定されていて、スカーレット・オハラ=朝夏まなと/七海ひろき、アシュレ=悠未ひろ/朝夏まなと、ルネ=七海ひろき/悠未ひろとなっている(スカーレットⅡもダブル・キャストだが省略)。
 男役2番手が定まらない中で娘役トップをメラニーに据えたのだろうか。その辺の事情は内部情報に詳しくないのでわからないが、トップ、2番手、3番手と男役が安定していた16年前の花組と比較してあれこれ考えたりするのも、宝塚観劇の楽しみの1つなのだろう。僕には出来ない芸当ですが(笑)。

 国立劇場小劇場の文楽は『大塔宮曦鎧~六波羅館の段~身替り音頭の段』『恋娘昔八丈~城木屋の段~鈴ヶ森の段』
 『大塔宮曦鎧』は1892年(明治25年)以来の復活上演だそう。『太平記』に材を採った話で、“偉い人”の子供の命を救うために家来が自分の子供を身替わりにする、という『寺子屋』に代表される時代物特有のネタが出てくるが、作者(の1人)はどちらも竹田出雲で、『大塔宮曦鎧』の方が先行作。でもって、こちらの方が、身替わりが複雑。身替わりの身替わりが命をとる側によって誂えられ、より一層涙を誘う、という趣向。そこのところといい、その命をとる場面が子供たちの踊り(音頭)になるところといい、けっこう不思議な雰囲気だった。
 『恋娘昔八丈』は世話物で、商家の娘が意に沿わぬ結婚の相手を殺した罪で死罪を言い渡されるも土壇場で助かる、という話。ではあるのだが、殺す場面はなく、前半の「城木屋の段」は、結婚の相手が、娘の恋人(実は武士)の主家が巻き込まれた陰謀に加担していたらしいことやなんかが見え隠れするという伏線の場で、後半の「鈴ヶ森の段」で謎解きがある、という、ちょっとしたミステリー仕立て。まあ、そんなことより、前半に登場する小悪人たちのキャラクターの面白さが見どころなのかもしれない。現代的な要素のある演目だった。

 パルコ劇場の『高校中パニック! 小激突!!』は、宮藤官九郎の脚本・演出。
 チケットを予約した時には気づかなかったが、実は“バカロックオペラバカ”と謳われていて、立派なミュージカル。それも、オフ・ブロードウェイの(ヒットはしなかったが)傑作『悪魔の毒々モンスター THE TOXIC AVENGER』並みの猥雑さ満載の見事な作品だった。この舞台を観に行った自分の嗅覚の鋭さに感心する(笑)。
 物語は、渋谷を舞台に、聖ファイヤーバード高校(ヤバ高)とグレッチ工業高校(グレ工)との対立と和解を描いたもの……と書くと、なんだか不良の青春ドラマのようだが、時代も常識も超越した不思議な近未来的世界で、暴力と笑いが渦巻いている。よって説明は不能だが、最終的には生死を超えた(実際に死んだり生き返ったりする)友情のドラマ、と言えば言えるのかもしれない。とにかく、強烈なキャラクターと魅力的な音楽とノリノリの演出に、すっかり持っていかれる。こんな真にオリジナルなミュージカルが、もっともっと観たい!
 出演は、佐藤隆太、勝地涼、永山絢斗、川島海荷、三宅弘城、皆川猿時、少路勇介、よーかいくん、宮藤官九郎、坂井真紀(最高!)、綾小路翔。この内、三宅(ドラムス)、よーかいくん(ベース)、宮藤(ギター)が演奏も兼ねる。
 楽曲は、基本、宮藤官九郎作詞で(1曲だけ皆川猿時)、作曲が、綾小路翔、上原子友康(怒髪天)、小園竜一、坂本慎太郎、富澤タク、益田トッシュ、三宅弘城、向井秀徳、横山剣。ちなみに、三宅、宮藤、皆川(MC)、小園(ベース)は、紅白歌合戦にも出た(笑)グループ魂のメンバー。

 歌舞伎座『十二月大歌舞伎』は、前月同様「仮名手本忠臣蔵」の通し。
 昼の部が「大序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場~三段目 足利館門前進物の場~松の間刃傷の場」「四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場~表門城明渡しの場」「浄瑠璃 道行旅路の花聟」
 夜の部が「仮名手本忠臣蔵」の後半で、「五段目 山崎街道鉄砲渡しの場~二つ玉の場」「六段目 与市兵衛内勘平腹切の場」「七段目 祇園一力茶屋の場」「十一段目 高家表門討入りの場~奥庭泉水の場~炭部屋本懐の場」
 「大序~三段目」は、何と言っても、休演の三津五郎に代わって海老蔵が高師直を演じるのが面白い。他は、塩冶判官=菊之助、桃井若狭之助=染五郎、顔世御前=七之助、足利直義=巳之助。松の廊下で判官を止める加古川本蔵は勘之丞。
 「四段目」は、大星由良之助=幸四郎、塩冶判官=菊之助、石堂右馬之丞=染五郎、薬師寺次郎左衛門=亀蔵、顔世御前=七之助、斧九太夫=錦吾、原郷右衛門=友右衛門、大星力弥=尾上右近。以下、家臣に、亀三郎、松也、竹松、廣太郎、宗之助。
 「道行」が、おかる=玉三郎、勘平=海老蔵で、ここも見どころ。さすがに華やか。鷺坂伴内は権十郎。
 「五段目」「六段目」は、早野勘平=染五郎、おかる=七之助、母おかや=吉弥、斧定九郎=獅童、判人源六=亀蔵、一文字屋お才=萬次郎、千崎弥五郎=高麗蔵、不破数右衛門=彌十郎。
 「七段目」は、海老蔵の寺岡平右衛門が見もの。こういう愛嬌のある役、いい。台詞回しも、ノリノリ。玉三郎のおかるもきれいで、可愛かった。歌舞伎は役者です。大星由良之助は幸四郎、斧九太夫は錦吾。赤垣源蔵=亀三郎、竹森喜多八=松也、富森助右衛門=廣太郎、大星力弥=児太郎。
 「十一段目」は、大星由良之助=幸四郎、原郷右衛門=友右衛門、大星力弥=児太郎。派手に立ち回る小林平八郎と竹森喜多八は獅童と松也。

 日生劇場の『モンテ・クリスト伯 THE COUNT OF MONTE CRISTO』は、もちろんデュマ Alexandre Dumas の“あの”小説が原作で、脚本・作詞/ジャック・マーフィ Jack Murphy、作曲/フランク・ワイルドホーン Frank Wildhorn。今回の演出は山田和也。
 『高校中パニック! 小激突!!』とは比ぶべくもない凡作。そもそも、ワイルドホーンは二流のロイド・ウェバー Andrew Lloyd Webber という趣の人で、『ジキル&ハイド JEKYLL & HYDE』こそ当たったものの、その後は(『スカーレット・ピンパーネル THE SCARLET PIMPERNEL』も含め)ブロードウェイでの成功作は興行的にもない。この作品も、おそらくブロードウェイでの上演はないと思われるので、今回観に行ったしだい。なので期待しないで観たが、予想通り魅力のない作品だった。
 楽曲を別にすれば、このネタを面白くするには悪役連中を生かすしかないと思いますね。それは、宝塚宙組版(別作品)で明らか。あちらは悪役がイキイキしていた。そこが、こちらには足りなかった。
 ともあれ、東宝も、ワイルドホーン作品を採り上げるのは、この辺で打ち止めにしてはいかがでしょうか。

 天王洲銀河劇場は宝塚月組の特別公演『月雲の皇子~衣通姫伝説より~』。5月のバウホールでの公演が好評で、予定していなかった東京での公演が決まったらしい。主演の珠城りょうが、まだ若手(研6)だからでしょうか。
 「古事記」に材を採った、というより、エピソードを独自に解釈したという感じか。サブタイトルにある「衣通姫伝説」とやらを元にした話らしい(作・演出/上田久美子)。ざっくり言えば、古代日本の権力者の子供たち(兄弟)の、他国に対する融和派と抗戦派の争いの物語だが、すっきりした落とし所のないまま終わる。それが、それが却って深い余韻を残す。そんな舞台。
 珠城りょうの演じる木梨軽皇子(きなしかるのみこ)は融和派。心優しく、夢見がちにすら見えたのが、陰謀に遭い追放された後、第2幕になって、虐げられた周辺諸国を束ねて、かつての母国への反逆を試みる闘士に変わる。その変心の描写が曖昧なので、ちょっと難しい役になっているが、珠城りょうは主役らしいオーラで乗りきっている。
 よかったのは、抗戦派(にならざるを得ない)の弟・穴穂皇子(あなほのみこ)の鳳月杏で、ことに、兄が亡くなった後のエピローグ的終幕では、複雑な胸中を見事に表わして、舞台を締めていた。そして、彼らの妹にして高貴なる巫女となった衣通姫役の咲妃みゆ。上品な存在感が印象に残る。夏美よう(専科)、輝月ゆうま、琴音和葉、貴千碧、晴音アキ、千海華蘭、等、カンパニー全体の充実もあり、宝塚の底力を感じさせる舞台だった。

 大晦日の国立歌舞伎は“知られざる忠臣蔵”というテーマで3演目。『主税と右衛門七~討入前夜~』『いろは仮名四十七訓 秀山十種の内 弥作の鎌腹』『忠臣蔵形容画合~忠臣蔵七段返し~』
 映画の脚本家だった成澤昌茂が大谷竹次郎の依頼で書いたという“新歌舞伎”『主税と右衛門七』は、タイトルにある通り、討ち入り前夜の大石主税と矢頭(やとう)右衛門七を描いた作品。45年振りの上演だとか。内容は、若くして死と向かい合うことになった2人の心理劇、といったところ。初演(1959年)で吉右衛門(当時萬之助)と幸四郎(当時染五郎)のやった役を演じるのは、隼人と歌昇。最後に出てくる大石内蔵助は歌六。右衛門七に想いを寄せる大店の娘お美津役の米吉が可憐でよかった(琴演奏あり)。
 『弥作の鎌腹』は、“秀山十種”とあるように、先代吉右衛門が定めた播磨屋の芸の1つ。当代吉右衛門が演じるのは初めてだそう。というわけで、百姓弥作は吉右衛門。塩治家に仕官した弟(又五郎)の秘密(討ち入り計画)を知った弥作の悲劇。ではあるが、悪役柴田七太夫(橘三郎)も含めて、どこか剽軽なところがあり、やりとりにもとぼけた味があって軽妙な印象。ただし、吉右衛門は根っからの百姓には見えにくい。弥作の女房おかよは芝雀。
 河竹黙阿弥作(国立劇場文芸研究会補綴)『忠臣蔵形容画合~忠臣蔵七段返し~』は、『仮名手本忠臣蔵』のパロディで、大序から七段目まである徹底振り。説明は大変なので省略させていただきますが(笑)、歌舞伎座で本編を観たばかりなので、よけい面白かった。五段目の「山崎街道の場」で歌六が、殺す斧定九郎と殺される与市兵衛を一人二役。七段目「祇園一力茶屋の場」の錦之助(平右衛門)と芝雀(おかる)は、人形振りもあって熱演だった。

(2/27/2014)

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