[ゆけむり通信 番外2013]

  • 1/ 7/2013
    『初春歌舞伎(夢市男達競(ゆめのいちおとこだてくらべ))』
    国立劇場大劇場
  • 1/ 8/2013
    『新春花形歌舞伎 第1部(寿曽我対面/幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)~公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい))』
    『新春花形歌舞伎 第2部(彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)~毛谷村(けやむら)/勧進帳)』
    浅草公会堂
  • 1/ 9/2013
    『寿初春大歌舞伎 夜の部(ひらかな盛衰記~逆櫓/仮名手本忠臣蔵~七段目 祇園一力茶屋の場/釣女)』
    新橋演舞場
  • 1/10/2013
    『寿初春大歌舞伎 昼の部(寿式三番叟/菅原伝授手習鑑~車引/戻橋/傾城反魂香(けいせいはんごんこう)~土佐将監閑居の場)』
    新橋演舞場
  • 1/22/2013
    『宝塚ジャポニズム~序破急~』
    『めぐり会いは再び2nd~スター・ブライド~』
    『エトワール・ド・タカラヅカ』
    東京宝塚劇場
  • 1/23/2013
    『100万回生きたねこ』
    東京芸術劇場プレイハウス
  • 1/28/2013
    『逆転裁判3~検事マイルズ・エッジワース~
    日本青年館

2013年1月観劇記

 国立歌舞伎は、黙阿弥作品の改作『夢市男達競』。  新春恒例の菊五郎劇団(昨年は国立劇場45周年記念公演の一環で菊五郎劇団は一昨年11月に出たので1月は別メンバーでしたが)の復活通し上演。菊五郎劇団の国立公演の例に漏れず、伝統に則りつつ、アッと言わせる仕掛けや、献身的な立ち回りや、ナンセンスなくすぐりを随所に仕込んで、大いに楽しませてくれる。  サブタイトルが「西行が猫 頼豪が鼠」となっているように、猫と鼠の話。言ってみれば、歌舞伎版トムとジェリー(笑)。ただし、猫が善玉で、さらに言うと、猫も鼠も化け物。  主人公の男伊達・夢の市郎兵衛が菊五郎。時蔵が、市郎兵衛女房おすま、弁財天(真ん中あたりで七福神の乗った宝船が登場する踊りがある)、傾城薄雲の三役。松緑が、化け鼠となる木曽義仲、力士仁太夫、大江広元(こちらは善玉)の三役。菊之助が、(意外にも)力士志賀之助、新造胡蝶(実は化け猫、立ち回り大熱演)の二役。  他に、最近は年一回正月のお勤めの感が強い田之助はじめ、左團次、團蔵、彦三郎、萬次郎、権十郎、亀蔵、亀三郎、亀寿、梅枝、萬太郎、右近、大河(松緑長男)に、菊十郎、橘太郎といった名物脇役も顔を揃えて、にぎやかな舞台で大満足。

 浅草は『新春花形歌舞伎』。公会堂に行くのは久し振り。目玉は、文字通り目玉の(大きな)海老蔵で、全演目に登場。ポスターには、他に、孝太郎、愛之助、亀鶴が写っている。
 演目は、第1部が、「寿曽我対面」と極付「幡随長兵衛~公平法問諍」、第2部が、「彦山権現誓助剱~毛谷村」「勧進帳」
 「寿曽我対面」での海老蔵は工藤祐経。意外なのは、荒事の曽我五郎に、普段は女形や白塗りの優男役が多い松也。兄の曽我十郎は壱太郎(翫雀の長男)。他に、新悟(彌十郎長男)、種之助(又五郎次男)、隼人(錦之助長男)、米吉(歌六長男)らに加えて、梅玉の部屋子の梅丸も登場し、浅草の花形歌舞伎に相応しい若々しい顔ぶれが揃った。亀鶴も最後に登場。壱太郎、米吉の女形は可憐。
 「幡随長兵衛」での海老蔵は、もちろん幡随院長兵衛。女房お時が孝太郎、兄弟分の唐犬権兵衛が亀鶴、敵役の水野十郎左衛門が愛之助、子分役が、松也、壱太郎、種之助、米吉、隼人。序幕の劇中劇に、市蔵、吉弥、新悟が登場。十郎左衛門の朋輩近藤登之助が右之助。  「毛谷村」は、愛之助の六助。許婚お園が壱太郎、その母お幸が吉弥、敵の微塵弾正実は京極内匠が亀鶴。海老蔵は剽軽なメイクで母親を殺された村人として登場。
 「勧進帳」は、弁慶=海老蔵、富樫=愛之助、義経=孝太郎。あとは、亀井六郎=松也、片岡八郎=壱太郎、駿河次郎=種之助、常陸坊海尊=市蔵。番卒として松之助が出ていた。
 実は、第1部の初めに、「お年玉<年始ご挨拶>」と題されたオマケがあって、孝太郎と愛之助が交互にやっていたようだが、観た日は孝太郎。歌舞伎の面白さ、楽しみ方を、ユーモアを交えて紹介する、という趣向だった。
 さらに実は、というか、こちらは演目に入っていたのだが、第2部の真ん中で、海老蔵の「口上」があった。ここで、市川宗家に伝わる「にらみ」ってやつを披露。観客の今年一年の幸運を祈ってくれた次第。

 新橋は『壽 初春大歌舞伎』
 昼の部は、まず、梅玉、魁春、我當、進之介の踊り「寿式三番叟」。続く「菅原伝授手習鑑~車引」は、松王丸=橋之助、梅王丸=三津五郎、桜丸=七之助、藤原時平=彌十郎、杉王丸=巳之助(名題昇進おめでとう)という顔ぶれ。幸四郎(渡辺綱)、福助(扇折小百合実は愛宕山の鬼女)の踊り「戻橋」を挟んで、続く「傾城反魂香~土佐将監閑居の場」は“四世中村雀右衛門一周忌追善狂言”で、吉右衛門(又平)、芝雀(女房おとく)、歌六(土佐将監)、東蔵(将監の妻)、歌昇(修理之助)、友右衛門(狩野雅楽之助)。友右衛門、芝雀は、雀右衛門の息子たち。
 夜の部は、幸四郎(船頭松右衛門実は樋口次郎兼光)、高麗蔵(松右衛門女房およし)、錦吾(その父権四郎)、福助(お筆)、家橘(斧九太夫)の「ひらかな盛衰記~逆櫓」、幸四郎(大星由良之助)、芝雀(お軽)、吉右衛門(平右衛門)の「仮名手本忠臣蔵~七段目 祇園一力茶屋の場」(この演目が夜の部の“四世中村雀右衛門一周忌追善狂言”なので、友右衛門も赤垣源蔵役で出演)、三津五郎+又五郎、橋之助+七之助の踊り「釣女」
 「七段目 祇園一力茶屋」の大星由良之助=幸四郎は、團十郎病気休演のための代役だったのだが……。残念ながら、その後の成り行きはご存じの通り。結局、前月(昨年12月)に観に行った南座での公演(途中降板)が團十郎最後の舞台となってしまった。正直、言葉もない。合掌。

 宝塚は星組公演で、『宝塚ジャポニズム~序破急~』『めぐり会いは再び2nd~スター・ブライド~』『エトワール・ド・タカラヅカ』の3本立て。
 とにかく、植田紳爾(作・演出)の『宝塚ジャポニズム~序破急~』が辛かった。“和もの”だから、というわけではなく、見せ方がズレてるとしか思えない。しかも長い。
 おかげで、ホントはもっと面白くなる(はずの)『めぐり会いは再び2nd~スター・ブライド~』が超ツメツメで、ほとんど場面展開もなし。消化不良も甚だしい。
 ま、その分、星座をテーマにした『エトワール・ド・タカラヅカ』(作・演出/藤井大介)が素晴らしかったので、暴動には到らなかったが(笑)。特に、中盤の「おとめ座」の長いシークエンス。トップから若手まで次々に流れるように入れ替わりつつ歌い継ぎ踊り継いでいくのには息を飲んだ。その続きが、英真なおきのリードによるゴスペル的な歌の場面というのも見事。前半にあった紅ゆずるの、左右半身で男女半々の扮装をした「ふたご座」もかなり面白かった(うまかった)。

 ミュージカル『100万回生きたねこ』の東京芸術劇場プレイハウスは、かつての中劇場。森山未來に惹かれて観に行ったが、正解。とてもよかった。
 インバル・ピント Inbal Pinto &アブシャロム・ポラック Avshalom Pollak の、美術と演出・振付が魅力的。視覚的に美しく不思議な美術と、体技と呼びたくなるヴォードヴィル+ダンスのような奇妙な演技とが相まって、全くの異世界に運ばれる気分。阿部海太郎×ロケット・マツ(作曲)と友部正人(作詞)による楽曲、トウヤマタケオ、中村大史、BUN Imai、権頭真由からなるバンドの演奏も、旅の劇団風で心に染み、糸井幸之介、戌井昭人、中屋敷法仁による脚本も音楽的で面白い。
 満島ひかり、藤木孝(歌うまい!)、銀粉蝶、今井朋彦、田口浩正、石井正則といった共演者も、若干デコボコはあるものの、総じて不満はなく、アンサンブルのダンサー陣(たぶん)も献身的でよかったが、なんと言っても森山未來。動きが素晴らしい。

 『逆転裁判3~検事マイルズ・エッジワース~』(脚本・演出/鈴木圭)は宝塚宙組公演。
 タイトルに「3」とあるように、ゲームを原案とする“シリーズ”らしいが、初めて観た。検事マイルズ・エッジワース役は、悠未ひろ。この検事は、本編では主役の弁護士のライヴァルだということで、つまり、これは、流行りのスピンオフというわけ。
 飛行機着陸時の衝撃で主人公が過去にタイムスリップする、という乱暴な設定で話が始まるが、演出もそれに相応しく、決めポーズや驚き方等がアニメ的に誇張される。そこがウケているのだろうか。
 事件の謎解きも強引だが、若き日の父親の生き方を正すというメインの話には心情的な説得力があった。細かい点で、かなりご都合主義ではあるが(笑)。
 主人公に兄を救われるヒロインが、すみれ乃麗。主人公と一緒にタイムスリップするコメディリリーフが、凪七瑠海(これを最後に組替えだそうで)。父親役、蓮水ゆうや。判事役、寿つかさ。刑事役、愛月ひかる。

(2/15/2013)

Copyright ©2013 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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