[ゆけむり通信 番外 2007]

12/5
『テイク・フライト TAKE FLIGHT』
12/6
『ハレルヤ!』
12/12
『ライト・イン・ザ・ピアッツァ THE LIGHT IN THE PIAZZA』

歌が自然で魅力的に聴こえる、ということ

 日本のオリジナル・ミュージカルを観て、心から楽しめるということは、残念ながら滅多にない(翻訳ミュージカルには――最近はほとんど観ないが――、さらに期待していないのだが)。しかしながら、『ハレルヤ!』は実に楽しかった。スタッフからキャストまで、装置、照明、衣装、演出から演技まで、見事と言う他ない素晴らしい出来。
 そうした中でも、やはり、魅力の核心は楽曲にあった。
 メロディはヴァラエティに富んで楽しく、歌詞はユーモラスで、自己陶酔的でも説明的でもない。そして両者の融合が自然で、歌として違和感を覚えることが全くない。
 当たり前に聞こえる、こうしたことがクリア出来ていないことが多いのが、日本のオリジナル・ミュージカルの――、いや、歌詞の質、歌詞とメロディとの融合という点について言えば翻訳ミュージカルも含めて、日本のミュージカルの悲しい現状だ。
 ――なんてことを、昨年の 12月初めのおよそ 1週間の内に、立て続けに 3本のミュージカルを観て、考えた。

 『テイク・フライト』は、 [TOKYOプロダクションと LONDONプロダクションで、 NYブロードウェイ行きの切符を競い合う、世界的プロジェクト。] (作品公式サイト)だそうで、調べてみたら、なるほどロンドンでも上演されていた(昨年の 7月 25日にオープンして 2か月後の 9月 22日にクローズ。ロンドン・キャストの CDあり)。
 [ブロードウェイ行きの切符を競い合う] っていうのを文字通り捉えると、競争に勝った方のプロダクションがブロードウェイで上演されるってことになるが、はたしてどうなのか。そもそも、何をもって“勝ち”とするのかも、よくわからないが、まあいいや。わかっているのは、 [競い合う] 前提として、どちらもソースは同じなこと。すなわち、作曲デイヴィッド・シャイア David Shire、作詞リチャード・モルトビー・ジュニア Richard Maltby Jr.、脚本ジョン・ワイドマン John Weidman というアメリカの作家陣が書き上げたものを、東京とロンドンのスタッフがどう料理するか、という話なわけだ。
 さて、僕が今回観た日本版は、明らかに練り上げの足りない“プレヴュー”的な仕上がりだったが、そうした時間の足りなさを割り引いて考えたとしても、 2つの大きな問題点があった。
 その内の 1つが、歌詞とメロディの融合の不具合――つまり、歌として不自然だ、ということだ。
 しかし、それ以前に、観ながら強く疑問に思ったのは、これは誰に向けて作られた舞台なのか、ということ。
 以前、こちらで、ニューヨークで舞台を観ながら、日本人に理解しにくい内容だ、というお門違いの苦情を述べている本について批判したことがあるが、今回は、 [ブロードウェイ行き] を視野に入れているとはいえ、とりあえずは日本での上演だ。舞台がアメリカで登場人物がアメリカ人なのはアメリカ人スタッフの書いた作品だから納得するとしても、この題材はどうなんだろう。
 ここに登場するのは、飛行機で空を飛ぶことに情熱を傾けた 3組の実在のアメリカ人たち。生年の古い順に言うと、ライト兄弟、アメリア・エアハート、チャールズ・リンドバーグ。彼らの人生のハイライトとでも言うべき部分が、それぞれ並行して描かれる。
 
 
 
 
 訳詞を担当したのは、プロの作詞家、森雪之丞だが、
 
 
 

 
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 うらぶれた感じの教会のセット。左側に教壇があり、中央から右にかけて教徒のためのベンチが並んでいる。暗転の後、明るくなると、ベンチに 4人の女が座っている。
 彼女たちの姿が目に入った途端、あ、日本の話だ、とホッとする。ま、前日に『テイク・フライト』を観たせいもあるのだが、 4人の女性の生活感のある姿が、地に足の着いたミュージカルなのだということを示していて、ホッとするのだ。

 
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(9/17/2007)

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