[ゆけむり通信 番外 2001]

10/2/2001
『フォーエヴァー・タンゴ 2001 FOREVER TANGO 2001』

看板に偽りあり

 ※過去の『フォーエヴァー・タンゴ』の観劇記は、こちらでお読みください。

 僕の中で、『フォーエヴァー・タンゴ』は、熟練のオーケストラをバックに、数組のカップルが濃密な空気漂うタンゴ・ダンスの技術を競い合うように見せていく、完成度の高いショウだった。なので、いわゆるミュージカルとは趣を異にするのだが、一見の価値あり、と、 99年の来日公演の際には宣伝もした。
 ところが、だ。それから 2年余を経た今回の来日公演、タイトルの後ろに「2001」と付いただけなのに、まるで別モノ。看板に偽りあり、と言いたくなるような、ひどい内容だった。

 まず、言い訳が出来ないほどひどいのが、リハーサルが充分に行なわれていないこと。
 昨日が東京公演の(つまり日本公演の)初日だったのだが、ステージの上下動を多用する演出が練られていない、というより、まだ段取りが決まっていないため、しばしば流れが止まる。照明も、タイミングや光量が中途半端で、ダンス・ナンバーの終わりがキマらず、なおかつ、終わった後引き上げていくダンサーたちが見える、といった具合。

 なら、リハーサルを重ねればいい舞台になるかというと、そういうわけでもない。というのは、新演出(前回同様ルイス・ブラヴォ Luis Bravo)の意図がまるでわからないからだ。
 まず、前回と最も違うのが、オーケストラの配置。オーケストラが前にいて、ダンスは後方の上下動するステージ上で行われる。ダンスはオーケストラ演奏の背景というわけだ。
 そして、おそらくその意図に沿ったものだと思われるが、今回はカップルによるタンゴ・ダンスらしいタンゴ・ダンスがほとんどない。あの情熱的なタンゴ・ダンスのない『フォーエヴァー・タンゴ』なんて想像出来ますか?
 その代わりなのか、タップだかフラメンコだかわからない、足を踏み鳴らす男性ダンサーがかなりフューチャーされる。このダンス、迫力だけはあるのだが、バックの演奏はタンゴ・オーケストラではなく、パーカッションだったり、録音した弦のオーケストラとブラヴォのチェロの共演だったりする。原始的な、あるいは新しいタンゴなのか? もしそうなら、それがわかるような構成で見せるべきだろう。
 で、今、何気なく書いたが、立派なオーケストラがいながら、時折、録音音源が用いられていた。

 僕の予期した舞台と違ったからクサしているわけではない。ショウとしての質に問題があるから、批判しているのだ。
 前回の成功で“アート”に開眼したのかもしれないが、ルイス・ブラヴォ、独り善がりの舞台作りは迷惑だし、せっかくのダンサーやオーケストラがもったいない。
 ついでに言えば、『フォーエヴァー・タンゴ』という、過去に実績のあるタイトルで今回のような内容のショウのチケットを売った主催者には、大きな責任があると思うのだが。

(10/3/2001)

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