それゲキ・アンケート篇


第 9回
好きな映画ミュージカル

 MBW(Misoppa's Band Wagon)開設 6周年記念、兼、映画版『シカゴ CHICAGO』アカデミー賞受賞記念“好きな映画ミュージカル”アンケートへのご回答ありがとうございました。
 アンケートの内容は以下の通りです。

 [質問 1] ご覧になった映画ミュージカルの中で、いちばん好きな作品は何ですか? 公開年が 1960年以前と 1961年以後で 1作品ずつお答えください。

 [質問 2] 好きな理由を、出来るだけ具体的に教えてください。

 時代分けの根拠は、 60年がアーサー・フリード Arthur Freed 製作の最後の MGMミュージカル『ベルズ・アー・リンギング BELLS ARE RINGING』公開年、 61年が『ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY』。黄金時代を築いた MGMの実質的幕切れの年と、(良くも悪くも)ミュージカルの新時代の幕を開いた作品登場の年、ということです。

 今回のご回答は 8人の方からいただきました。ありがとうございました。
 まず反省。好きな映画ミュージカルを 2本だけ選べなんて、ミュージカル・ファンには酷な質問でした。次回は、もう少し気楽に回答していただけるアンケートを考えます(笑)。

 ミュージカル・タイトルや人名などの若干の表記の統一と若干の改行をさせていただいた他は、基本的に、いただいたメールのままです。
 掲載は到着順です。

 ●NANAさんの場合。

 [質問 1]

 1960年以前…『有頂天時代 SWING TIME』
 1961年以後…『ボーイフレンド THE BOY FRIEND』

 [質問 2]

 どれもこれも大好きな作品ばかりで、本当は一番好きなミュージカルなんて挙げられない!(笑)
 でも、あえて挙げるならばこの 2つ。
 1960年以前は、初めて映画館で見たミュージカル映画『雨に唄えば SINGIN' IN THE RAIN』でもいいのですが、基本的に非ジーン・ケリー Gene Kelly 派なのでここは外して(笑)、フレッド・アステア Fred Astaire 作品の中から一番最初に見た作品を。アステア派としての私の原点です。
 1961年以後も甲乙つけがたい作品が並んでますが、“むじミュジ”でも挙げた『ボーイフレンド』にしておきます。
 あ、『ボーイフレンド』は是非とも 137分のオリジナル版で。 72年の日本公開版はオリジナルから 20分以上がカットされてます。
 先日その日本版を見る機会があったのですが、カットされていたシーンは全て、一見無駄に見えても実はケン・ラッセル Ken Russell 監督のこだわりのシーンだと思われるものばかり。結果、細かい人間関係の描写が消えていたりして、麻薬のような面白みが完全に無くなってました。

 そういえば、と NANAさんのご回答を見て思い出しました。僕の観た『ボーイフレンド』は再公開版だったのですが、確か「ノーカット」を謳ってました。
 それと、『有頂天時代』から次回のアンケートのヒントももらいました。アステア映画の……アワワ、内容は秘密です(笑)。

 ●すどやんさんの場合。

 [質問 1]

 1960年以前なら『若草の頃 MEET ME IN ST. LOUIS』(次点『いつも上天気 IT'S ALWAYS FAIR WEATHER』
 1961年以降なら『サウンド・オブ・ミュージック THE SOUND OF MUSIC』(次点『ウエスト・サイド物語』

 [質問 2]

『若草の頃』
 ジュディ・ガーランド Judy Garland が大好きだというのが第一の理由。
 はたから見ればなんてことのない初恋の淡い想いと家族の暖かさを美しい曲で綴った佳作。一番好きな場面は、兄の大学進学祝いのパーティが終わったあと、誰もいなくなった広間の灯りを隣の片思いの彼と共に消して歩き、最後に、うす暗くなった階段からその彼に歌いかける場面です(何故かこの場面が印象に残る)。
 ラストは少し都合良過ぎるかなと思ったけど、観ていて心が温かくなる作品。
 この映画が開局直前の WOWOWで放映した時、まだ BSチューナーを購入前だったので、どうしてもこの映画が観たくてデパートの家電売り場に行き、音声の出ない画面を最後まで観た事を思い出します(「Have Yourself A Merry Little Christmas」の場面で、人目をはばからず泣いてしまったのは少し恥ずかしいが)。近年、 NHK-BS2「懐かし映画劇場」でこの映画が放映された時にいくつかの場面がカットされたのは、許されざる事として後の世まで糾弾されなければならないでしょう(時間枠の融通が利く NHK-BSで何故カットした!)。
 ちなみにこの作品、 1989年にブロードウェイで舞台化され、 7か月ほど続演しましたが、 CDを聴いていてもかなり出来がいいと思うのに(輸入 CDと日本プレス盤の 2枚所有)、なぜ日本での上演は企画されないのだろう。東宝ミュージカルあたりで上演したらいいと思うのに(音楽の版権は東宝ミュージックが所有しているのに)。

『サウンド・オブ・ミュージック』
 観た切っ掛けは学校の音楽の授業(その前に観たのが『ウエスト・サイド物語』)。音楽も良かったし、ストーリーもドラマチックで、どうしてももう一度観たくて、音楽の先生にビデオを借りてもう一度観たことを思い出します。ちなみに、うちのクラスではしばらく『サウンド・オブ・ミュージック』の真似が流行りました。
 舞台版は1991年の名古屋市文化振興事業団公演、1994年の宮本亜門演出の東宝ミュージカル青山劇場公演を観ました(あと、同題材のイマジン製作・勝田安彦演出『トラップ一家物語』も後楽園アイスパレス劇場で観劇。なかなかの佳作)。前者はオーソドックスな演出で感動したけど、後者は宮本氏の手前勝手な演出のせいで、観劇後の印象は最悪でした(宮本『サウンド・オブ・ミュージック』の感想については以前のアンケートで簡単に書きましたが)。
 この映画を観ると、学生時代の甘酸っぱい記憶が甦ってきて、少し切なくなります(『ウエスト・サイド物語』も同じく)。

 『若草の頃』の舞台版、 90年に観ました。トロリーカーが出てきたり、アイス・スケートのダンス・シーンがあったりと、けっこうお金がかかってましたが、全体の印象は平板でした。映画版の成功もジュディ・ガーランドの魅力ゆえという気もしますが、どうでしょう、すどやんさん。
 ところで、もとより統計を目的としないアンケートなのではありますが、 61年以降は作られたミュージカル映画の絶対数が少ないこともあって、これだけサンプル数が少なくても『サウンド・オブ・ミュージック』には人気が集まりますね。

 ●アキさんの場合。

 [質問 1]

 1960年以前『王様と私 THE KING AND I』(1957年)
 1961年以降『スイート・チャリティ SWEET CHARITY』(1969年)

 [質問 2]

 1970年代に入って、『ザッツ・エンタテインメント THAT'S ENTERTAINMENT!』が公開され、 MGM映画ミュージカルの名場面集を、これでもか、どうだ、とばかりにどっさりと観られたのは大きな幸せでした。しかし、残念ながらジュディ・ガーランド、フレッド・アステア、ジーン・ケリーなどのスターが歌って踊っているのを映画館のスクリーン上で観たことはありませんでした。ですから MGMをはじめとするミュージカル映画は、僕にとっては伝説のような存在であり、『ザッツ・エンタテインメント』以後も個々の作品をビデオ等で再確認することもありませんでした。
 1947年生まれの僕が初めて映画館で観たミュージカル映画は『王様と私』。たぶん小学校の低学年だったと思います。実のところ余り覚えていなくて、記憶にあるのはユル・ブリナー Yul Brynner のツルツル頭とデボラ・カー Deborah Kerr のふわ〜っと膨らんだスカートくらいのものでした。その後、『王様と私』に映画館で再会したのは、大学生時代の 1966年のリバイバルでしたから、物心ついてからが本当の意味での対面でした。
 当時(66〜 67年)は『王様と私』と前後して、『メリー・ポピンズ MARY POPPINS』『サウンド・オブ・ミュージック』『モダン・ミリー THOROUGHLY MODERN MILLIE』『キャメロット CAMELOT』、それにフランスの『ロシュフォールの恋人たち LES DE MOISELLES DE ROCHEFORT』など、今と違って短い期間に結構たくさんのミュージカル映画が観られました。
 個人的な思い入れで恐縮ですが、僕が生まれて初めて舞台のミュージカルを観たのもその頃(1967年)のことで、大阪の梅田コマ劇場の『メイム MAME』でした。今は亡き越路吹雪、立川澄人はじめ、高島忠夫、黒柳徹子などの出演で、今でも越路の素晴らしさが脳裏にはっきりと浮かんできます。いわゆるブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤の LPを買ったのも『メイム』(アンジェラ・ランズベリー Angela Lansbury 主演)が初めてでした。
 脱線しましたが、それから 30年後のワシントンDCで『王様と私』の 1996年リバイバル版の国内ツアーを観ました。アンナ役がヘイリー・ミルズ Hayley Mills でしたが、 CDで聴いていたドナ・マーフィ Donna Murphy の歌唱力にはとても及ばないものの、英国婦人の気品は流石でした。そしてステージ上のシャム王には知らず知らずの内にユル・ブリナーの幻影を見ていました。ですから、僕にとってのミュージカル『王様と私』は映画の『王様と私』なのです。

 ミソッパさんがいみじくも線引きされた 1961年の『ウエスト・サイド物語』は記念碑的作品として別格にして選びました。そして迷った末に『屋根の上のバイオリン弾き FIDDLER ON THE ROOF』(1971年)は泣く泣く諦めて最後に残ったのが『スイート・チャリティ』です。
 映画ミュージカルでもやはりショウ場面に目が行くのは当然で、そうなるとボブ・フォッシー Bob Fosse の演出・振付のダンスシーン、なかでもナイトクラブのダンサーたちのショウ場面には釘づけになりました。最新作『シカゴ』(ロブ・マーシャル Rob Mershall 監督)にもチラっと顔を見せたチタ・リヴェラ Chita Rivera のダンスを堪能できたのも嬉しかったし、気のよいヒロインは踊れるシャーリー・マクレーン Shirley MacLaine の個性にもドンピシャの役柄だったと思います。
 映画版の『スイート・チャリティ』『シカゴ』のショウ場面と比較しますと、前者は完全に舞台を観る客席の視線に合わせた演出でしたし、後者は映画的なテクニックを駆使したものでした。作品にもよりますが、僕のミュージカル映画の評価基準は、ミュージカル場面の終わりに「アプローズの間(ま)」が用意されているかどうかです。決して全体の流れを阻害するものではなく、絶妙の一瞬の間なのです。『ウエスト・サイド物語』にはそれがありました。これも編集という映画的な技術によるものだとすれば、舞台の興奮を失わせることなくミュージカルを映画化するヒントは、長回し、カット割りの目に見える手法の他に、それらをつなぐモンタージュという地味な作業にあるのかもしれません。

 実は僕、『王様と私』の映画版、断片的にしか観たことがありません。舞台は 96年 5月に観ました。ドナ・マーフィ版。まだ限定公演だった『シカゴ』や、『レント RENT』『ノイズ/ファンク NOISE/FUNK』などの強力作と前後して観たせいもあるかもしれませんが、退屈に感じました。
 アキさんの“ハジミュジ”、ユル・ブリナーの映画版、今度きちんと観てみようと思います。

 ●おとさんの場合。

 [質問 1]

 一票投じたい「好きなミュージカル映画」は『キャバレー CABARET』です。

 [質問 2]

 私は 1976年の生まれなので、ミュージカル映画を劇場に見に行った経験は 2年前の『ムーラン・ルージュ MOULIN ROUGE!』しかありません。従って、この『キャバレー』もビデオで見ました。
 1960年以前の作品は少しした見たことがないので、わかりませんでした。
 基本的に舞台が好きなので、ミュージカル映画にさほど惹かれなかったのですが、『キャバレー』だけは、舞台よりも映画がいいと思っている唯一の作品なので、これを選びました。
 舞台版のストーリーは人種差別や、ナチスの台頭が色濃く書かれすぎて、私にとっては少し説教くさい感じがしました。映画版はもっと「流れ」のようなものをスマートに見せてくれているように思います。
 あとは、なんといってもライザ・ミネリ Liza Minnelli のサリーがとってもステキでした。

 『キャバレー』も複数回答がありました。名作ですもんね。
 おとさんの舞台版との比較論には異論ありですが(笑)、映画版の方がいいという意見があってもおかしくないとは思います。とにかく、映画版と舞台版は別物と言っていいくらい違ってますよね。

 ●pooh さんの場合。

 [質問 1]

 1960年まで…『雨に唄えば』
 1961年以後…『ブルース・ブラザース THE BLUES BROTHERS』

 [質問 2]

 私はアステア崇拝者なので、ここはやはり『バンド・ワゴン THE BAND WAGON』か、『イースター・パレード EASTER PARADE』?とも思ったのですが、ミュージカル映画としての完成度の高さで『雨に唄えば』にしてみました。ジーン・ケリーの明るさとストーリーのおもしろさが上手く昇華した傑作であります。
 アステア作品、としてなら 40年まで…『有頂天時代』、 41年以後…『バンド・ワゴン』です(笑)。

 難しいのは61年以後のものでして、『クリスマス・キャロル SCROOGE』(69年)か、『オール・ザット・ジャズ ALL THAT JAZZ』にしようかとも思ったのですが、どうせなら、それまでのミュージカル映画のメソッドにとらわれないものにしようと思いまして、『ブルース・ブラザース』を選びました。
 高らかに歌い上げて感動しちゃうものよりも、日常から非日常へと移行する瞬間の「来た来た〜!」という鳥肌が立つ感じがミュージカルの醍醐味だと思うのです。アレサ・フランクリン Aretha Franklin が歌い出す瞬間には、まさにそれがありました。ミュージカルって、「芸」を見るもんですよね。ストーリーよりダンサーやシンガーの「芸」で感動させてほしいっす。
 ミュージカル映画独特のグルーブ感という点では、『日本一の色男』植木等もすばらしいと思います。今、もっと評価されても良いと思うのですが。

 今回最も意表を突かれた回答が、 poohさんの『ブルース・ブラザース』でした。でも、まあ、現代版『ストーミー・ウェザー STORMY WEATHER』だと考えれば、それほど変わってもいないか。
 クレイジー映画への言及、実に同感です。

 ●ENOさんの場合。

 [質問 1]

 1960年以前『オズの魔法使い THE WIZARD OF OZ』(1957年)
 1961年以後『キャバレー』(1957年)

 [質問 2]

 『オズの魔法使い』は、女房と子供が好きで、わが家では、「宮崎アニメ」に次いで、家族みんなで繰り返し見た(見せられた?)ビデオです。 1960年以前のミュージカル映画は、そんなに積極的に見る方でもないので、あれだけ見てもやっぱり面白い『オズの魔法使い』が一番好きな作品ということになります。実際に、子供だましの手抜きのなどない、よくできた映画です。 3年前に新宿コマで、生の舞台も見ました。子供はむろん大喜びで、私も楽しめました。安達祐実はやっばりかわいい!って、映画とはカンケイなかったですね。
 この映画は「虹のかなたに」で決まりなんだと思います。安達祐実の歌で聞いても(!)いい歌だなーと、うっとりさせられます。先日、NHK-BSで放映された、テレビシリーズ『ジュディ・ガーランド物語 LIFE WITH JUDY GARLAND: ME AND MY SHADOWS』で、心も体もボロボロのジュディが、涙ぐんでこの歌を歌うシーンは圧巻でした。(邪道ですが)ジュディのその後の人生を重ねて見ていると、この映画もほろ苦い味わいがあります。
 『オズの魔法使い』『キャバレー』と、母娘の主演映画が並んだのは偶然ですが、スターの魅力で見せる作品が結局好き、という意味では偶然ではないかもしれません。その点、ミソッパさんが「ミュージカル映画の分水嶺」にした『ウエスト・サイド物語』(最近ニュープリントの大スクリーンで再見しました)が、主役の 2人に関しては、サッパリおもしろくないのと好対照です。

 『キャバレー』には、ジョエル・グレイ Joel Grey という超強力な脇役もいて、申し分無し。見方によっては、彼の演じる MCこそ、映画の本当の主役だと言えなくもない。この MCは、ライザ・ミネリたちの演じる現実世界と、からんでいるような、いないような不思議な存在で、実にミステリアス。フェデリコ・フェリーニ Federico Fellini 好きのボブ・フォッシーは後年、フェリーニ・スタイルそのものの『オール・ザット・ジャズ』を撮りましたが、こっちの方は理に落ちすぎて、作品全体がやせこけていて、現実と非現実の交錯という点では、『キャバレー』の方がずっと成功していると思います。

 『オズの魔法使い』はホントに観飽きない映画ですよね。本物のプロがお金と時間をかけて作った、って感じがひしひしと伝わってきます。
 本筋から外れますが、『ウエスト・サイド物語』の主役に関しては僕も ENOさんと同意見です。『ウエスト・サイド物語』は端折って観た方が面白い(笑)。

 ●yuさんの場合。

 [質問 1]

 まず 60年以前のもので『恋の手ほどき GIGI』、それ以降のものでは『サウンド・オブ・ミュージック』を選ばさせて頂きます!
 ホントは 2本とも 60年以前のもので固めたかったんですが(もう 1つはアステア作品をどうしても入れたかった! 『トップ・ハット TOP HAT』『バンド・ワゴン』を…)…それはルール違反なんでこう致しました。きっとアステア作品なら自分よりももっと思い入れの強い方が沢山いらっしゃるだろうと思って。

 [質問 2]

 好きな理由ですが…両方とも“観ていて幸せな気分になれる”というのを第一に選ばさせてもらいました。

 まず『恋の手ほどき』ですが、何より強く惹かれたのが、あのまるで印象派の絵の世界から抜け出たような極彩色の美しい世界です! 冒頭のブーローニュの森はルノワール、クライマックスのマキシム店内はロートレック…宝石箱のようにシーンが変わるたびに美があふれ出るようで、観ていてすっかり夢心地にされてしまいました。
 “ハリウッドの目から見たパリ”の、最も幸福な描写なのかも知れません。
 そしてストーリーと愛すべきキャラクター。個人的にこう言った“恋による女(男)の成長譚”がとても好きなもので、ひたすら微笑ましくレスリー・キャロン Leslie Caron 扮するジジを目で追っておりました。溌剌とした笑顔のいたずら者が貴婦人になるまでの丹念な描写は、観ているこっちまで暖かい親の目線にさせてしまいます。
 ルイ・ジュールダン Louis Jourdan のガストンも、余裕綽々の完璧な独身貴族のようでいて、実は女心に鈍感なはにかみ屋の一面がコミカルで楽しく、そしてなんと言っても狂言回しのモーリス・シュヴァリエ Maurice Chevalier ! 人生を全身で楽しんでいる小狡くて粋な好々爺っぷりがたまりません! この作品の洒落たムードの殆どはこの人のお陰と言っても過言ではないでしょう!
 その他のキャラも皆ユニークで明るく、本当に“Thank Heaven”なミュージカルです。ちょっと人生に疲れたときに眺めて、その変化に富んだ美しさを楽しむ不思議な宝石箱…そんなイメージの愛すべき作品です。

 そして『サウンド・オブ・ミュージック』…。こちらは映画全体に“優しさ”と“希望”の溢れたそんなミュージカルだと思います。
 冒頭の空撮によるアルプスの山々を目の当たりにした時点ですっかり映画の世界に心を奪われ、徐々にクローズアップされていった先のジュリー・アンドリュース Julie Andrews が爽快感たっぷりに美しく歌う表題歌…。いきなりの目と耳への最高のご馳走! これ以上のものはないです。
 もともとロジャース&ハマースタイン Richard Rogers & Oscar Hammerstein U の作品って、千変万化のあらゆる表情を持ったバラエティー豊かなナンバーが魅力だと思うんですけど、そういった分野でもこの作品は最高級です。愛唱歌的な耳に馴染み易いメロディーの「ドレミの歌」や「エーデルワイス」、テクニカルでダイナミックな「自信を持って」、オペラティックな響きで圧倒する「すべての山に登れ」、そしてムーディーで心温まるラブ・ソング「何かいいこと」…こういった歌の表情の豊かさも長い作品にも拘らず観る人を掴んで離さない要因なのかも知れません。
 さらにジュリー・アンドリュースのマリア! この人のチャーミングで健康的な明るさ、そして優しさに満ちた輝かしい響きの歌…いくら作品の造りが良くても魂を入れるのは演者ですからね。そういう意味でこの作品がジュリーを要に得る事が出来たのも本当に幸運な事だったんだなあと思います。他に替え難い、まさに“当たり役”とはこの事なんだろうなあと思わずにはいられません。
 本当に観てるだけで優しい気持ちになれる、そんな癒しの力溢れる永遠の傑作です。

 yuさんの選択基準、“観ていて幸せな気分になれる”は僕にとっても重要ですね。その伝でいくと、『ウエスト・サイド物語』『キャバレー』は確実に外れますが(笑)。
 『サウンド・オブ・ミュージック』、僕も初めて観た頃は大好きだったんですがねえ……(次項に続く)。

 ●そらさんの場合。

 [質問 1]

 一番好きなミュージカル映画は、やはり『サウンド・オブ・ミュージック』

 [質問 2]

 でも、『ウエスト・サイド物語』も好きなんで、かなり迷いました。特に音楽や踊りの構成を考えれば『ウエスト・サイド物語』の方がいいかと思うのですが、お話が複雑だなと感じた事と出てた役者さんと自分の中にあったイメージが違った事、あと舞台では無理で映画ならでは!という部分を考えると…『サウンド・オブ・ミュージック』かな?と思いました。ジュリー・アンドリューズの声がとても好きで…(笑)。
 なんせ一番最初に触れたミュージカル映画だったので、特に強く印象に残ってるのかもしれません。あの映画を見てミュージカルを舞台で観てみたいという興味を持ちました。
 でも、この映画も、気になる部分がない訳ではありません。
 直接アンケートとは関係ない話ですが…ミュージカル映画と言えば歌の吹き替えが多いですよね? これも吹き替えがまるわかりの箇所が…(苦笑)。あれは本当に見てて冷めてしまいます。みなさんはどのようにお感じなのでしょう?(笑)
 まぁ、どっちみちミュージカルは舞台で見るのが一番いい!という事は言うまでもありませんけどね!(苦笑)

 (前項の続き)『サウンド・オブ・ミュージック』ほどの作品ですら、出来のいい舞台版を観てしまうと、やっぱり映画版は冗長に思えてしまいます。そらさん説「ミュージカルは舞台で見るのが一番いい!」が全面的に正しいかどうかはわかりませんが、舞台ミュージカルの映画化が舞台を超えるのはとてもむずかしいとは思います。

 さて、最後に僕の回答を書いておきます。
 1960年以前が、何度もみなさんの回答の候補に挙がりながら落とされた(笑)『バンド・ワゴン』、 1961年以降は『ムーラン・ルージュ』。どちらも映画ならではのオリジナル作品ってことで(『バンド・ワゴン』は舞台版と映画版は完全な別物)。

 では、また次回のアンケートをお楽しみに。
 ご回答くださったみなさん、ホントにありがとうございました。

(6/4/2003)

Copyright ©2003 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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