それぞれの人生それぞれのゲキもは!

ジェシカさんの場合 2

 前回のウェスト・エンド旅行記からちょうど 1年。またまたロンドンへ出かけて、またまた『キャッツ CATS』を繰り返し観た、リピート好きな(笑)ジェシカさんからの報告です。

 8月 29日から 9月 1日にわたる、ロンドン 4日間のミュージカル三昧! 今回の滞在は全てのエネルギーをミュージカル観劇に注ぐべく、美術館巡りも買い物も全くせず、劇場にいる以外はホテルで休憩かカフェで体力温存、という作戦を立てました。

 1日目。
 朝一番に『オペラ座の怪人 THE PHANTOM OF THE OPERA』『キャッツ』のボックスオフィスに行ってチケット購入。マチネの『オペラ座の怪人』まで、ひたすらカフェテリアでじっとしてました。
 そしてまず『オペラ座の怪人』
 ストーリーを知らなかったので、最初は何がなんだかわからずでしたが、次々と聞いたことのあるような音楽が……。ストーリー自体に感動したわけではないのですが、ファントム役の声が非常に美しく、うっとりでした。でも、これのリピーターにはならないかも……。
 そしてソワレの『キャッツ』
 すごいんですーーーー! なんとキャストのうち、ラム・タム・タガーと、Mr.ミストフェリーズ役がヴィデオ版『キャッツ』の John Patridge と Jacob Brent! キャスト・リストを見て倒れそうになりました。まさにナマ・ヴィデオ!? ヴィデオ版で『キャッツ』にはまった私としては涙もの。こういうときに誰かと一緒じゃないのは辛いですねー、 1人で「すげー!」とか叫べないし。思わず日本人探して話しかけようかと思ってしまいました。
 もちろん舞台は期待通りにすばらしく、堪能しました。しかし、やっぱり興奮しすぎて集中できてなかったかも……。ナマ John Patridge と Jacob Brent ばかりを目が追いかけて、いつの間にか終わってた……という感じで。帰りの地下鉄のなかで早速、「あと 2回は見るぞ!」と誓いを立てたのでした。

2日目。
 もちろん朝イチで『キャッツ』のボックスオフィスへ。 2ステージ分、ちょっと張り込んだ席なんぞを買っちゃったりして。ここまで来たらナンボでも出すで〜、って感じで。
 マチネは『レ・ミゼラブル LES MISERABLES』。昨年、前に座った人の背が高すぎて舞台が見えなかったことの反省から、今年は通路に面した席を購入。
 昨日の『キャッツ』の興奮が冷めやらぬ私は、非常に珍しいことですが、たまたま隣に座った日本人らしき人に声をかけ、うまいことミュージカル談義へ。その人はミュージカル初体験だそうで、私が 1人で話しまくっていたのをさぞかし怪しいと思ったことでしょう(でも、そのときに『キャッツ』の素晴らしさを力説してたら、彼女、 2日後に見に来てましたよ)。
 その彼女、インターミッションの時には感動して涙を流してました……すごい迫力だ、って。しかし私的には……結構調子が良くない日だったのかも、という印象が。ジャン・バルジャン役の人が「bring him ho-------me!」と歌うべき所を、「bring him ホッ、ho-------me!」とか歌い直すし、いつもなら拍手したくなるところもイマイチその気になれず……私だけではなく他の観客も微妙にその辺を感じてたのか、ラストはスタンディングオベーションがお約束なはずのこの『レ・ミゼラブル』で、それが無し。
 まあ、こんな時もあるんでしょうね。だいたい、毎日同じキャストであれだけのテンションを保ってること自体がすごいと思いますもん。 特にがっかりもせず、次の機会にかけよう、と思ったのでした。
 そしてソワレ、昨日に続いての『キャッツ』
 キャストがアンダースタディではないことを確認して一安心。そして舞台が始まると、ここで初のショーストッパー体験をしました。
 『キャッツ』って、日本の公演もそうですが、インターミッションでオールドデュトロノミーが観客にサインのサービスしてくれますよね。で、それを眺めてたら、最後尾に小さな娘と並んでた身なりのいいおじさんが、ずっとオールドデュトロノミーと何か話してるんですね。最初は協賛企業のえらいさんかなんかで「最近調子どうよ?」みたいな会話をしてるのだと思いましたが、通常のインターミッションの時間をすぎてもしつこく話してます。そこに『キャッツ』の Tシャツを着たスタッフも次々と出てきて、いったいなんや? と思っていたら、どうやらサインする人数制限を無視して無理矢理並んでいたらしく、それをオールドデュトロノミーとスタッフが「例外は認められない」と説得してたみたいなんです。実際、そのおじさんの後に小さな子供が駆けつけてたときも、子供といえども、という感じでスタッフがお断りしてたし……。
 でも、おじさんはキレながら、「ここにちょこっと書いてくれたらすむじゃないか!」みたいなかんじでしつこく粘り、彼の娘は異様な雰囲気に泣き出す始末。事情を察した観客たちは、早く引っ込め! と言わんばかりのブーイングと手拍子の嵐。おじさんはサインをもらっていないパンフレットを観客に示して「もらってへんやんけ! 何が悪いねん!」みたいなジェスチャー。とうとう、素の人間の顔にもどっていたオールドデュトロノミーが泣いている女の子を抱え、スタッフがおじさんの両脇を抱えて、観客席へ。おじさんはそれでもまだご立腹でしたが、奥さんらしき人が代わりにスタッフに謝り、おじさんをなだめ、ようやくステージは再開したのでした。
 私は、おじさんが奇声をあげたりして舞台の邪魔をするのではないかと心配になったりしましたが、キャストたちはこのさむーい空気を吹き飛ばそうと、前半よりも明らかに気合いを入れており、結果的には素晴らしい舞台、初ショーストッパー体験というオマケつきで、「これは“ゲキもは”ネタだ!」と喜ぶ私がおりました。

3日目。
 何見ようかなーと決めかねていましたが、金曜マチネは演目が少なく、加えて体調がやや悪かったので断念。ソワレは、ストーリーを知らなくても大丈夫そうな『フェイム FAME』というのを選びました。
 設定からしてアメリカ産のミュージカルなのでしょう。演劇高校の学生の青春群像! という感じでストーリーは単純。曲も歌詞もクサイほどに青春・青春してましたが、体調が悪い身にとっては非常にありがたいミュージカルでした。疲れたときに単純なのはいいですね。

4日目。
 次の朝早くスコットランドへ発つ予定だったので、ソワレは断念。マチネが、 3回目にして今回の最後を締める『キャッツ』
 再びキャストを確認。例の 2人は出てる出てる……。ただしマンカストラップ役がアンダースタディで、昨年からお気に入りだったやたら図体のでかい頼もしいマンカストラップ、 David Ashleyが見られなかったのが唯一の心残り。しかし、この日は体調も万全でしっかり集中してきました。 Jacob Brentの踊りっぷりは、この日が一番でした。

 たまたま Jacob Brent のウェスト・エンド・デビューと John Patridge のカムバックに出会えたラッキーな私。ちょっとプライベートでしんどいことが続いていたので、ミュージカルの神様からの最高の贈り物でした。
 それにしても、これだから劇場通いはやめられません。来年も休みがとれるかなー?

 前にもどこかに書きましたが、根が貧乏性の僕は、限られた時間で出来るだけ多くの舞台を観ようとするので(観なかった舞台の中にとんでもない傑作があるかもしれないという強迫観念に襲われるのです!)、同じ演目を何度も観るということが、なかなか出来ません。だから、やや時間に余裕のあった今回のニューヨークで、『ザ・ミュージック・マン THE MUSIC MAN』『キス・ミー・ケイト KISS ME, KATE』を再見出来たのは、とてもうれしかった。
 そんなわけで、ジェシカさんのリピーターぶりは、うらやましい限りです。

 ところで、『フェイム』は、元になった映画や、その後の TVシリーズはもちろんアメリカ産ですが、この舞台ミュージカル化はイギリスが最初じゃなかったかな。違いましたっけ。

 ジェシカさん、ありがとうございました。

(10/21/2001)

Copyright ©2001 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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