それぞれの人生それぞれのゲキもは!

岸田さんの場合

 “むじミュジ”ヴィデオ & レコードのアンケートに答えてくださったのがきっかけで、いろんな「ゲキもは」話を思い出したという岸田さんから、連発で届きました。まずは第 1弾“10代最後の夏の夜の夢”編(笑)。

 私が最初に海外でミュージカルを観たのは、今から 23年ほど前、 19歳の夏のことです(歳がバレバレですねえ)。
 スウェーデンで結婚生活を送る兄を訪ねてヨーロッパを回った時に、ロンドンで兄と 2人、何かミュージカルでも観よう、ということになったわけです。
 その前に寄ったパリで大島渚監督の映画『愛のコリーダ』(もちろん無修正版です)を観て興奮した兄は、「ロンドンでは絶対『オー!カルカッタ』やなあ!」と言うばかり。後日、来日公演もした『オー!カルカッタ』は、出演者の男女が全裸で踊り歌う、という代物で、楽曲や演出というよりも、「アソコ」観たさに観客を集めている、という噂のミュージカルでした。
 もちろん、多感なティーンエイジャーである私とて、全く興味がないわけではありません。ただ同時期にロングランヒットを記録していた『ジーザス・クライスト・スーパースター』は日本でも映画を観ていたし、曲もバッチリ頭に入っていたもので是非観てみたい 1本だったのです。
 しかしその翌日、日本から両親が到着するという話ゆえ、何を観るにせよ、その日 1日しかないわけです。どうしても「アソコ」が観たいという兄に押され、『オー!カルカッタ』の劇場前まで行った私でしたが、チケットを買う段になり、「悪い!兄貴、俺『ジーザス〜』にするわ!」と 1人パレスシアター(現在『レ・ミゼラブル』上演中ですね)に走りました。
 ハイテクを駆使した装置(と言っても 70年代後半ですから、それなり)、そしてロックオペラ(と言われていましたね)らしくマイクを片手に歌う役者たち(当時の私が、ミュージカルというものは皆、マイクを持ちながら歌うものだ、と確信したのは言うまでもありません。多分この時まで東京でもミュージカルらしいミュージカルは舞台では観たことがなかったのでしょう)。とにかく結果的に最初の作品としては、最高の感動を味わうことが出来たわけです。
 そして舞台がはねて、近くのパブで合流した兄いわく、「いやあ、やっぱりすごいわ。ハードやったでえ、ほんまに。お前、損した、損した。もったいないなあ」
 スウェーデンに何年いても大阪弁がまったく抜けない兄のその言葉に、ちょっと、いや、かなり損したような気になった 19歳の若き私でした。
 その後イタリアで知り合った『オー!カルカッタ』を観たという日本人の学生旅行者いわく、劇場の半分以上が日本人観光客だったけれど、そんな過激なシーンは全くなかったとのこと。でも、それでは何のために「全裸」になる必要があるんだろう? その素朴な私の疑問に「うん、やっぱりエッチなことを描いていたのかなあ」と、その学生も歯切れが悪くなってしまう……う〜ん、やっぱり、本当はすごかったんじゃないだろうか……。
 しかし帰国後、何年か経って来日公演をした『オー!カルカッタ』に敢えて私が足を運ばなかったのは、多分ロンドンの『ジーザス・クライスト・スーパースター』に行った正当性を信じたかったからに他なりません。
 というわけで、未だに『オー!カルカッタ』がスケベなものかどうか、よくわかっていない私であります。実際目にした方の「ホントのところ」の感想をこっそり教えてほしいものです(笑)。

 さて、こうしてロンドンで『ジーザス・クライスト・スーパースター』を観た岸田さんは、その後英米に数々のミュージカルを追いかけていくようになるわけですが、僕が知りたいのは、『オー!カルカッタ』をご覧になったお兄さんがその後どのような人生を送られているか、ですね(笑)。

 岸田さんの「ゲキもは」はさらに続く

(6/19/2000)

Copyright ©2000 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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