それぞれの人生それぞれのゲキもは!

はなさんの場合

 少々古い話になりますが、わたしの必殺“ゲキもは”をご紹介します。過ぎてしまえば笑える話ではありますが、あの時は泣きそうになっていました。

 1994年の 12月。その月の東京宝塚劇場の公演は紫苑ゆうサヨナラ公演でした。
 彼女がトップになった時から、わたしは、サヨナラ公演の最後の1週間は休暇をとり帝国ホテルから毎日劇場に通う、という誓いを立てていました。実際には、休暇はとれたものの、予算の都合と同行する友人の休暇の都合とでホテルには2泊しました。それがなぜ“ゲキもは”かというと、ファン人生でこれほど大切な時に、わたしは体調を崩してしまったのです。
 以下はその実況中継(?)です。

12月 25日(日)千秋楽前日
9:00
 ちょっと熱っぽいと感じるも家をでる。とっさに保険証をかばんにいれた。
11:00 昼の部開演
 次第にはっきり自覚できるほど具合が悪くなる。とにかく喉が痛い。終演後は病院に行かねばと思いながら観劇(紫苑ゆうが出ていないシーンはあまりのつらさに寝ていた)。
14:00 昼の部終演
 Tホテルのフロントで近くの病院を聞き、H病院に駆け込む。
 検温、 38℃を越えていた。風邪という診断。今や発熱に注射というのはトレンドではないが、頼みこんで注射をしてもらう。
15:30 夜の部開演
 ファンクラブでもらったチケットがなんと前から4列目。さよならショー付きの公演がこんなに良いお席とは!絶不調でもやっぱりうれしかったような気がする。しかし観劇していてもうきうきした気分からはかけ離れていた。
17:10 休憩時間
 Tホテルで待っている友人(彼女はチケットがなかった)に電話をして、コンビニでカップうどんを買っておいてもらう。
18:30 ショーのフィナーレに続き、さよならショーが始まる
 注射の効果があり、熱っぽさはなくなったが目の前がぼーっとして銀橋をわたる紫苑ゆうがかすんで見える。あ〜、大切な時にどうしてこうなるのよ〜。頭にくるというより、もうからだに力がはいらない。
19:00 終演
 楽屋出も見ずにホテルの部屋へ直行。カップうどんを食べて就寝。ホテルに泊まることにしていてよかった〜。親にも病気がばれない。劇場には近い。これって不幸中の幸い?

12月 26日(月)本日いよいよ千秋楽!!
8:00 屋待ちスタンバイ
 復調の兆しあり。昼の部の終演後、大楽を見る母と待ち合わせるので、顔色が悪いとまずいと思い白粉をめちゃくちゃはたいた。いざ出陣! 紫苑ゆうの楽屋入り直前に滑り込みセーフ。空元気で「いってらっしゃい!」コールに参加。
11:00 昼の部開演
 注射は速効性はあるものの、効果は長続きしないのがよくわかった。やっぱり具合が悪い時は休養するに限る。
14:00 昼の部終演
 母と待ち合わせて食事。体調のことを気づかれないように、いかにも元気そうに振る舞う。でも気分はどよどよ。
15:30 夜の部開演
 これが最後!と言い聞かせ力をふりしぼって観劇。双眼鏡にかぶりつき状態。
19:30 終演
 パレードガードのため劇場前にスタンバイ。
 この1ヶ月、少なくともわたしが劇場に通った 15日ぐらいは雨は降らなかったのに、この日に限って終演前から雨が降り始めていた。ガードは傘はさせない(傘はホテルに置いてあって持っていなかった)、オーバーもご法度。ひぇ〜。でも再び絶不調の予感。母が帰りがけにガードの中のわたしを見つけて傘を寄付してくれたので、パレードが始まるまでは、しばし雨はよけられた。
20:30
 同時退団者が楽屋から出てくる。
21:00
 紫苑ゆうのパレード
 この時は体調のことは忘れていた。しかしホテルに戻るとまた発熱。同泊の友人は看護婦だった。体温計と氷嚢を借りて看病してくれた(Tホテルは取り替え用の氷まで用意してくれていた)。
 首から上がとにかく熱い、でも体は妙に軽い。これ本当に風邪??

12月 27日(火)
 千秋楽から無事一夜が明けた。
 帰宅したとたん余計に具合が悪くなり、立っていられず這っていた。母が外出していたことは、この数日の逆風の中ではラッキーなことと言えよう。熱を計ったら 38℃超。耳鼻咽喉科へ行く。あまりの痛さに声も出ず、病状を紙に書いて医者に見せた。とにかく明日は会社に出勤せねばならない!! 熱を下げてくれ〜、と書いた。
 診断は咽頭炎。医者いわく、「毒ガスでも吸いましたか?」
 月初からの劇場通いで疲れている時に激辛のものを食べて咽頭炎を起こしたらしい(実はその後も数度辛いものが原因と思われる咽頭炎を起こしている)。

 わたしにとってこれ以上の“ゲキもは”は生涯ありえないと確信しています。というわけでわたしの記念日は 12月 26日です。

 教訓:楽しいものも体調が悪いとつまらない

 翌日ですか? もちろん会社に行きました。歌劇を見た後で疲労や体調不良を訴えることは我が家では禁じられているのです。

 すごい。
 すごいけど笑える。
 どうして他人の不幸はこうもおかしいのでしょう(笑)。
 でも、文字通りの「ゲキもは」=“劇場通いを止めるのはもはや死ぬときだ!”ですね。宝塚ファンの神髄ここにあり、って感じです。宝塚の役者は幸せ者だあ。
 しかし、最後の一文、はなさんのお宅の家訓とでも言うべき鉄則には、胸を打たれました(笑)。

 はなさん、ありがとうございました。

(8/14/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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