Finally he has come to Broadway. 1/14/2011

[ゆけむり通信Vol.94]

1/13-1/16/2011


  • 1月13日20:00
    『三台のピアノ THREE PIANOS』
    NEW YORK THEATRE WORLSHOP 79 East 4th Street
  • 1月14日20:00
    『スパイダー・マン SPIDER-MAN:TURN OFF THE DARK』
    FOXWOODS THEATRE 213 West 42nd Street
  • 1月15日14:00
    『ゴルフ GOLF』
    STEPHEN SONDHEIM THEATRE 124 West 43rd Street
  • 1月15日19:00
    『変身物語 Pants On Fire's METAMORPHOSES』
    Flea THEATER 41 White Street
  • 1月16日15:00
    『アダムズ・ファミリー THE ADDAMS FAMILY』
    LUNT-FONTANNE THEATER 205 West 46th Street
  • 1月16日19:00
    『シカゴ CHICAGO』
    AMBASSADOR THEATRE 215 West 49th Street
* * * * * * * * * *

 アメリカの荒天が二重に影響して、往きの直行便が乗り継ぎ便に変更になり、さらに欠航となって出発が 1日遅れた 1月のニューヨーク観劇旅行。もっとも、目的は『スパイダーマン』“だけ”だったので、慌てはしなかったが。
 そんなわけで、最近では珍しい 4泊という短さ。にもかかわらず、都合 6本の観劇の内、 2本が再見(『アダムズ・ファミリー』『シカゴ』)。なにしろ、ホリデイ・シーズンの特別公演もことごとく終わり(あ、『レイン RAIN』は延長して続いてたな)、新作も、オンはもとよりオフにもほとんど登場していないという、文字通り“冬枯れ”の時期だったわけだ。
 ちなみに、 1月のニューヨーク、やや肌寒いぐらいの日本と同程度の気候で、楽に過ごしました。

 なにはともあれ、『スパイダーマン』のことから。
 ご存知かと思うが、演出(共同脚本・仮面デザイン)が『ライオン・キング THE LION KING』のジュリー・テイモア Julie Taymor(『ライオン・キング』では脚本のクレジットはなく、演出・仮面デザインの他に、衣装デザイン・人形デザイン、そして一部楽曲作りにクレジットがある)、楽曲が U2のボノ Bono とジ・エッジ The Edge という話題作だが、昨年春にプレヴューを開始する予定でチケットを売り出すも秋に延期になり(結果、入手していた3月のチケットを手放す)、 11月と発表されたプレヴューは予定より遅れて始まり(結果、チケットを予約していた公演はキャンセルに)、その後も公演中に事故があったりして、この 1月に観た後も正式オープン日を延期したりしている。そのゴタゴタ続きも話題。
 3ツ星評価で言えば、星 1ツ半。後半持ち直すものの、第 1幕はかなりかったるい。その理由の 1つは、大掛かりな装置の転換とフライングの準備に時間がかかるからではないか。“ギーク・コーラス Geek Chorus”(“geek”=オタク、と、ギリシア古典劇に出てくる“Greek chorus”をかけた造語か)なる若者 4人組の狂言回しは、そのつなぎの時間稼ぎに登場するように思えてならない。とにかく、彼らが出てくると流れがプッツリ切れる印象を受ける。一応、彼らギーク・コーラスは、スパイダーマンの活躍するコミック世界を客観視する存在として登場するのだが、はたして必要なのか。かなり疑問。
 さらに、そうやって時間をかけて準備して繰り出される大掛かりな装置とフライングが、それ自体は観るに値するが(フライングは予想を超えて複雑で派手な動きをする)、必ずしもミュージカル舞台の中で有機的に作用しているように見えない。少なくとも、やはりジュリー・テイモアが手がけた『ライオン・キング』の動物を表わす装置や衣装の数々が舞台を豊穣にしたようには働いていない。フライングについて、さらに言うと、フライングに対応する役者の身体的技術はかなり高いと思うが、動きが早すぎて、その見事さが伝わってこないのも残念な印象。『ピーターパン PETER PAN』のフライングが、今の観客の目には素朴に映るだろうが、それでも芸としての美しさを伴っているのと対照的だ。
 楽曲も、個別に聴けば別の印象を持つのかもしれないが、劇中にあっては、全体に一本調子に聴こえて記憶に残らない。
 全客席に詳細な項目のアンケート用紙が置いてあり、真剣な手直しが進行中であることを思わせたが、正式オープン予定の 3月 15日が、その後また 6月まで延長された。いずれにしても、チャンスがあれば、もう 1度観てみたい。

 続いて、オフの 3作を観た順に。

 『3台のピアノ』は、ちょっと変わった趣向の舞台。
 雪の山荘に足止めされた 3人の青年が 3台のピアノでシューベルトの「冬の旅」全曲を演奏していく、という設定なのだが、やたらに、いろんな場所に隠してある酒を取り出してガブガブ飲み、しだいに酔っ払って議論を重ね始める。その酒がホンモノかどうかは不明なのだが、観客にはあらかじめホンモノのワインが供され、途中のトイレ休憩(出演者がそう言う)では客席にボトルが回される。そんなこんなで劇場に不思議な一体感が生まれるわけだが、こうした前衛的と言っていい感触の舞台が、それなりに楽しく展開していくところは、ピアノの演奏力も含め演者の技能の高さがあるからだな、と感心する。

 『ゴルフ』は、 2003年にオフで 7か月にわたって上演されたことがある(確か日本でも翻訳上演されてたと思う)。その時は未見なので様子がわからないが、今回は、地下にあるレストラン・シアター(と言うかバー・シアター?)での上演。
 出演者 4人(男 3人女 1人)が入れ替わりたち替わり登場してコント的ショウ場面を見せていく、という構成はオフの典型で、再演されるぐらいだから、安定した出来。まあ、ゴルフという題材そのものがユルいと言えばユルいわけで、そういう意味ではスリルはないが。

 『変身物語』は、オウィディウス Ovid の同名作品を、第二次大戦下のイギリスに置き直して音楽劇化したもので、パンツ・オン・ファイアというロンドンの劇団による公演。
 役者が楽器を演奏しながら演技して歌うというスタイルの作品で、劇場もとても小さく(舞台を横切って客席に着く)、六本木の自由劇場を思い出す。……という、いい感じの舞台だったにもかかわらず、途中から時差ボケの睡魔に襲われ、途切れ途切れにしか覚えていない。残念。

 最終日に観たオンの 2本はどちらも再見。

 『アダムズ・ファミリー』を選んだのは、やはり役者に惹かれてのこと。なにしろ、オープン時のキャストがみんな残っているのだから。
 その時に [出来はほどほど] と書いたが、“ほどほど”のレヴェルが高いことはお断りしておく。今のキャストの内にどうぞ。

 ニューヨークでは 16回目になる『シカゴ』。例によって、主要キャストを挙げておく。
 ロキシー=ビアンカ・マーロクィン Bianca Marroquin、ヴェルマ=リー・ジマーマン Leigh Zimmerman、ビリー・フリン=コールマン・ドミンゴ Colman Domingo、エイモス・ハート=ロバート・クレイトン Robert Creighton、ママ・モートン=ラヴォン・フィッシャー-ウィルソン LaVon Fisher=Wilson、メアリー・サンシャイン=R・ロウ R. Lowe。
 『シカゴ』の面白いところは、主役級の役者がそれぞれ独自性を発揮して自分なりの役作りをしても、作品全体の骨格に全くブレが生じないところ。だから、(他のロングラン作品に比べて)いつまでもダレない。困った時には『シカゴ』を観よう(笑)。

 次回の渡米は 3月 29日(明後日!)の予定。 1週間滞在でフルに新作を観まくることになります。

(3/27/2011)

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