Radio City Music Hall on the big ceremony day 6/13/2010

[ゆけむり通信Vol.91]

6/8-6/13/2010


  • 6月 8日19:00
    『プロミセス、プロミセス PROMISES, PROMISES』
    BROADWAY THEATRE 1681 Broadway
  • 6月 9日14:00
    『ディートリッヒとシュヴァリエ DIETRICH & CHEVALIER』
    ST. LUKE'S THEATER 308 West 46th Street
  • 6月 9日20:00
    『バーント・パート・ボーイズ THE BURNT PART BOYS』
    PLAYRIGHT HORIZONS 416 West 42nd Street
  • 6月10日13:30
    『ピーターパン PETER PAN』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 6月10日20:00
    『エヴリデイ・ラプチャー EVERYDAY RAPTURE』
    AMERICAN AIRLINES THEATRE 227 West 42nd Street
  • 6月11日20:00
    『カム・フライ・アウェイ COME FLY AWAY』
    MARQUIS THEATRE 1535 Broadway
  • 6月12日14:00
    『アメリカン・イディオット AMERICAN IDIOT』
    ST. JAMES THEATRE 246 West 44th Street
  • 6月12日17:00
    『ブラッディ・ブラッディ・アンドリュー・ジャクソン BLOODY BLOODY ANDREW JACKSON』
    NEWMAN THEATER at PUBLIC THEATER 425 Lafayette Street
  • 6月12日19:30
    『オペラ座の怪人 PHANTOM OF THE OPERA』
    PLAYERS THEATRE 115 MacDougal Street
  • 6月13日15:00
    『ナンセンス NUNSENSE』
    CHERRY LANE THEATER 38 Commerce Street
  • 6月13日19:30
    『アヴェニューQ AVENUE Q』
    NEW WORLD STAGES(STAGE 3) 340 West 50th Street
    * * * * * * * * * *

     入梅直前の東京を離れて飛んで来たニューヨーク。♪I like New York in June. How about you?(「How About You」)と歌われるごとく、一般に 6月は過ごしやすく、若干の雨には見舞われたが、ちょうど劇場内にいる時だったりという運のよさもあって、今回も概ね気持ちのいい日々だった。
     トニー賞授賞式の週にニューヨークに滞在するのは……調べたら、なんと 1997年以来の 13年ぶり。なんとなくこの時期を避けるのは、ブロードウェイ関連の報道が多くなって客が劇場に集まり、いいチケットが獲りにくくなる感じがするから。でもって、授賞式当日の夜公演がオンに関しては当然のごとく皆無になるからだ(昔はオン作品は日曜夜公演がなかったが――もっと昔は日曜公演そのものがなかったようだが――、最近はいくつかある)。おまけに、以前は楽しみだった、当該週の水曜マティネー前にシューバート・アリイで行なわれていたイヴェント『スターズ・イン・ジ・アリー STARS IN THE ALLEY』も最近なくなったし。
     そんなわけで、あえて来る必要のないこの時期に、それでもわざわざやって来た理由は、ひとえに『エヴリデイ・ラプチャー』を観るため。前回の最後に書いた通り、駆け込みでトニー賞に間に合った(間に合わせた)この作品だが、オフから移行のワンパーソン・ショウなので、期間限定公演とはいえ、トニー賞発表が終わったら、いつクローズしてもおかしくない。……とか考えるわけですよ(笑)。
     といった事情なので、今回は、同作品以外にオンの新登場作はなし。オフも、ほぼ凪状態で、その分、再見が多くなった。

     では、オン唯一の新登場作から。
     『エヴリデイ・ラプチャー』は、昨年 5月にオフで期間限定で上演された、シェリー・レネ・スコット Sherie Rene Scott のワンパーソン・ショウ。スコットは、『アイーダ AIDA』のオリジナル・キャストでアムネリスを演じて強い印象を残し、つい最近は『リトル・マーメイド THE LITTLE MERMAID』の悪役で個性を発揮していた女優だ。
     今回の作品は彼女も脚本に加わった自伝的な内容を盛り込んだショウで、バンドの他に 2人の女性コーラスが付き、途中から若い男優が加わるという小規模な編成。カンザスに生まれてジュディ・ガーランド Judy Garland に憧れ……という出だしは快調で、その後もあの手この手と変化をつけて飽きさせない構成になっているが、こちらのヒアリング能力の限界+ニュージャージー帰りの疲れもあり、途中から眠気が(笑)。スコットが魅力的な女優であることは間違いないが、ブロードウェイ規模の劇場でのショウを、幕間なしの 90分とはいえ、特別なヒット曲も持たないで 1人でもたせるのは、なかなかに大変だと思った。前述の通り期間限定公演のため、すでに終了。

     続いて、オフ、オフオフと、ニュージャージーの初見作品を観た順に。
     『ディートリッヒとシュヴァリエ』は、マレーネ・ディートリッヒ Marlene Dietrich とモーリス・シュヴァリエ Maurice Chevalier のロマンスと友情(どこまで事実かは不明)を軸に、それぞれ、ドイツ人、フランス人として、第二次世界大戦中にどう人生と向き合ったか、を描いた舞台。小さな舞台なので、装置の出し入れが多少うるさいが、ジョディ・スティーヴンス Jodi Stevens とロバート・クチオリ Robert Cuccioli(久し振り!)という力のある役者が、本人を彷彿させつつも“そっくりショウ”ではない演技で、それなりの水準にまとめてみせる。必ずしも成功してはいないが、ノスタルジックな題材で個人と国家の関わりを描いて、興味深かった。
     『バーント・パート・ボーイズ』の舞台は 1962年のウエスト・ヴァージニア。炭鉱事故で亡くなった父の痕跡を追って山奥の廃坑を訪ねる少年とその仲間。それに気づいて後を追う兄と友人。映画『スタンド・バイ・ミー STAND BY ME』に似た気配を漂わせつつ、最後は落盤事故を経て亡霊たちとの交感があり、簡素な舞台で派手さはないが、しみじみとした感動が待っている。ブルーグラス的な楽曲・演奏に清新な魅力があり、よかった。
     おなじみニュージャージーのペイパーミル・プレイハウスに出かけて観た『ピーターパン』が、予想を超えた見事な出来。かなり初演版に近い丁寧な構成でやっているように見受けられたが、それでテンポが悪くなることもなく、フライングの派手さだけに頼らない見どころ満載の舞台に仕上がっていた。ピーター・パンを演じるナンシー・アンダーソン Nancy Anderson は、ブロードウェイにも出ているが、個人的にはオフでの演技が印象的で、特に主演の『ファニー・ヒル FANNY HILL』では無垢なエロティシズムを醸し出して素晴らしかった。それだけに今回は意外なキャスティングだが、これが当たり。性別の判然としない不思議な色気があると同時に、驚きの身体能力で、これまでの印象を覆す活躍ぶりだった。
     『オペラ座の怪人』は、アンドリュー・ロイド・ウェバー Andrew Lloyd Webber 版でもモーリー・イェストン Maury Yeston 版でもない、もう 1つの“ファントム”。ちなみに、ロイド・ウェバー版と違って、タイトルのアタマに“THE”が付かない。オフオフの小さな劇場での上演なので、登場人物は少なくスペクタクルもないが、そこはこちらが想像力を最大限に駆使して補っていく。それが逆に快感、か。たまには、こうした舞台も面白い。
     『ナンセンス』は、原題を見ればわかる通り「nun」=尼さんの話。てか、これ、 25年前に今回と同じチェリー・レイン劇場で幕を開けて大ヒットした作品のリヴァイヴァルで、僕がニューヨークに来るようになってからもロングランは続いていたが観なかった舞台だ。 5人の尼さんが繰り広げる布教コンサート、という設定で、この種の作品の肝である 5人のキャラクター付けが見事。芸の見せ所、笑えるネタも豊富。多少のんびりはしていたが、楽しめた。

     最後に再見作品を観た順に。
     『プロミセス、プロミセス』前回観た時に、こういう普通のシリアスな役は向いていないのかも、と思ったクリスティン・チェナウェス Kristin Chenoweth だが、今回はかなりこなれて見えた。ショーン・ヘイズ Sean Hayes 並びにダンサーのみなさんは変わらずお見事。前回書き忘れていたが、「A House Is Not A Home」の他に、初演になかった楽曲で「I Say a Little Prayer」も加えられている。
     『カム・フライ・アウェイ』を再見したのは、前回のキャストが 2番手の面々だったから。トニーにノミネートされたキャリーン・プランテイディット(って読むのでしょうか) Karine Plantadit も、もちろん 1番手。で、観直したら、 2番手もかなりよかったのだが、 1番手キャスト(アンサンブルはダブる)は一段と素晴らしい。やっぱ観てみなくちゃ、ってことですね。
     『アメリカン・イディオット』を観直してわかったこと。カーテン・コールの楽曲が「Good Riddance(Time Of Your Life)」だってこと。キャスト全員がアコギを抱えて舞台に横一列に並んで次々に歌い継ぐ。これが、いい感じ。歌い始めで客席が沸くので人気曲なのはわかったが、グリーン・デイに詳しくないので、調べた上で今回確認した。という話です(笑)。
     この秋ブロードウェイでの上演が決まった『ブラッディ・ブラッディ・アンドリュー・ジャクソン』。突き放したようなユーモアは、 2度目でもおかしくて怖い。オンでの成功を祈る。
     『アヴェニューQ』を観るのは 6年振り 3度目。元々がオフの作品で、その時観ようと思ったがチケットが手に入らなかった。 6年超のブロードウェイでのロングランを終えて、別劇場でオフに戻ってからも順調に上演を重ねている。相変わらず面白い。よく出来てます。そういえば日本に来るんですよね。うまくいくといいですが。

     次回渡米は 10月の予定。ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル(NYMF)+オンの新作が若干、という感じです。

    (8/17/2010)

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