Where is he? SPIDER-MAN Ad@Hilton Theatre 3/21/2010

[ゆけむり通信Vol.89]

3/17-3/21/2010


  • 3月17日14:00
    『カム・フライ・アウェイ COME FLY AWAY』
    MARQUIS THEATER 1535 Broadway
  • 3月17日20:00
    『アダムズ・ファミリー THE ADDAMS FAMILY』
    LUNT-FONTANNE THEATER 205 West 46th Street
  • 3月18日20:00
    『スコッツボロ・ボーイズ THE SCOTTSBORO BOYS』
    VINEYARD THEATER 108 East 15th Street
  • 3月19日24:00
    『リンク THE RINK』
    McGINN/CAZALE THEATRE 2162 Broadway
  • 3月19日20:00
    『ミリオン・ダラー・カルテット MILLION DOLLAR QUARTET』
    NEDERLANDER THEATRE 208 West 41st Street
  • 3月20日11:00
    『イマジンオーシャン IMAGINOCEAN』
    NEW WORLD STAGES(STAGE 5) 340 West 50th Street
  • 3月20日15:00
    『グッド・オール・ガールズ GOOD OL' GIRLS』
    BLACK BOX THEATRE/HAROLD AND MIRIAM STEINBERG CENTER FOR THEATRE 111 West 46th Street
  • 3月20日20:00
    『北大西洋 NORTH ATLANTIC』
    BARYSHNIKOV ARTS CENTER 450 West 37th Street
  • 3月21日10:30
    『イソップ寓話 AESOP'S FABLES』
    CIRCLE IN THE SQUARE 50th Street bet Broadway & 8th Avenue
  • 3月21日15:00
    『ソンダイム・オン・ソンダイム SONDHEIM ON SONDHEIM』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 3月21日19:30
    『ヤンク! YANK! A WWU Love Story』
    THEATRE AT ST. PETER'S 619 Lexington Avenue
* * * * * * * * * *

 年明けに滞在していたものの、それは年末からの連続だったので、気分的には今年初のニューヨーク訪問。でもって、愛用したノースウエストが完全になくなり、共同運航便ではない純粋のデルタ便になって初のニューヨーク。なのに、いきなり痛恨の事態。出発遅れ=到着遅れ&入国審査混雑で初日に観劇出来ない、という悲劇で幕を開けた。それも 30分ぐらいの差で。
 が、今回はスケジュールに余裕があったので、さほどあわてず、マンハッタン入りしてからタイムアウト誌を買って、いつもは劇場の時間と重なるので行かれないジャズ・ライヴを観に行って(アニー・ロス Annie Ross が小さな店で歌っていた)、気持ちを鎮めた(というか、いいライヴだったので、ちょっと興奮した)。
 さらに、タイムアウトで調べたおかげで、いくつかイレギュラーな時間の公演も発見。結果、 6泊で 11本。おまけに天気もよくて暖かく、まあ、そんなこんなで今回も楽しんで、終わりよければ全てよし、ってことでしょうか。

 まずはオンの新作から、観た順に。
 『カム・フライ・アウェイ』は、 02年にビリー・ジョエル Billy Joel の楽曲を使ったダンス作品『ムーヴィン・アウト MOVIN' OUT』をヒットさせた振付・演出家トワイラ・サープ Twyla Tharp の新作。 06年秋に幕を開けたものの、ひと月もたずに閉幕した(おかげでチケットを買ってあったのに観られず)ボブ・ディラン Bob Dylan 楽曲による『時代は変わる THE TIMES THEY ARE A-CHANGIN'』の失敗を乗り越えて、フランク・シナトラ Frank Sinatra のレパートリーを使うという趣向でブロードウェイに 3度目の挑戦。今回は、オーケストラの生演奏にシナトラの歌声をシンクロさせるという荒業を採用(06年夏にロンドンで観た『シナトラ・アット・ザ・ロンドン・パレイディアム SINATRA AT THE LONDON PALLADIUM』がヒントか)、オールド・ファンの心を掴みに出た。マーキーズという観光客向けの劇場も客層としてはピタリ。そんなわけで、『ムーヴィン・アウト』のようなテーマ性はなく、 50年代を思わせるクラブでの恋の鞘当という設定も、どうと言うことはないが、楽曲のよさと、冒険的ではないがダンサーたちの個性と技術を生かした熟練の振付とで、全 2幕が案外飽きずに観ていられる。
 『アダムズ・ファミリー』の見どころは、何と言っても役者の顔ぶれ。ネイサン・レイン Nathan Lane とビビ・ニューワース Bebe Neuwirth の共演と聴いて「観たい!」と思わないミュージカル好きはいない、と個人的には思うが、どうだろう。その他、テレンス・マン Terrence Mann、キャロリー・カーメロ Carolee Carmello が完全に脇に回ってるってのも贅沢だし(もちろん見せ場はある)、一方では、ジャッキー・ホフマン Jackie Hoffman、ケヴィン・チャンバリン Kevin Chamberlin といった個性派が、ファミリーの一員として、ここぞとばかりに暴れ回る。楽曲、脚本、演出に傑出したところはなく、作品の出来はほどほどだが、とにかく役者で楽しめる。オリジナル・キャストの内にどうぞ。
 『ミリオン・ダラー・カルテット』(ここは“クァルテット”ではなく“カルテット”で行きたい)と言えば、サン・レコードの輩出した、エルヴィス・プレスリー Elvis Presley、ジョニー・キャッシュ Johnny Cash、カール・パーキンス Carl Perkins、ジェリー・リー・ルイス Jerry Lee Lewis による同名の幻の(真偽不明の部分あり)セッション音源で知られるが、これは、そのセッションの一夜を描いた作品。芸達者ハンター・フォスター Hunter Foster を狂言回し的役割のサン・レコード社主に据えて、なんとかドラマの体裁を保っているが、基本は“そっくりショウ”。その意味では、よく出来ているが、高いチケットを買って観るブロードウェイの舞台に乗せるものかどうか。
 楽曲作者スティーヴン・ソンダイム Stephen Sondheim 作品を顕彰する舞台は、これまでにも複数作られてきたが、『ソンダイム・オン・ソンダイム』は、ソンダイム自身が映像として登場して自作の来歴等を解説するところが特別で、演出も凝っていて、思いのほか面白い。出演者も、個人的にソンダイム作品を歌うコンサートを長年にわたって行なってきた、今年 83歳になるバーバラ・クック Barbara Cook や、ミュージカル・ファン以外にも広く知られるヴァネッサ・ウィリアムズ Vanessa Williams の他、経験も豊富な実力派の役者が揃って、観(聴き)応えがある。

 以下、オフ、オフオフを観た順に。
 『スコッツボロ・ボーイズ』は、カンダー&エブ John Kander & Fred Ebb の“最後の”(と言われる)ミュージカルで、脚本デイヴィッド・トンプソン David Thompson、演出・振付スーザン・ストロマン Susan Stroman という、『スティール・ピア STEEL PIER』『ザウ・シャルト・ノット THOU SHALT NOT』のコンビが手がけた。ということは、つまりストロマンのシリアス系作品(こちら参照)。 1931年にアラバマで実際に起こった冤罪事件を描いたもので、 9人の黒人少年たちが無実の罪で逮捕され、最終的に数人が死刑になる。これを、陽気な顔つきのミンストレル・ショウ仕立てで描く、という辺りからしてビターな感覚。ジョン・カラム John Cullum がショウの座長役で出てくる他は全員が黒人で、話の中に登場する白人も彼らが扮装して演じるのも皮肉な感じを強める。楽曲は悪くなく、ダンスも含め全体の構成も面白いのだが、時に直情的にシリアスすぎる演技が(もちろん題材はシリアスなのだが)、作品としての懐の深さを失わせていて、そこが残念。
 『リンク』の初演は 84年、チタ・リヴェラ Chita Rivera とライザ・ミネリ Liza Minnelli の共演で知られるカンダー&エブのオン・ブロードウェイ作品で、脚本はテレンス・マクナリー Terrence McNally。 1年に満たない上演は興行的には成功とは言えないが、チタが初のトニー賞を主演女優で受賞している。それを、アップタウンの小さな劇場で、いわゆるコンサート形式(本格的なセットを組まず、出演者は時に脚本を見ながら演技する)で上演していた。限られた空間、少数の出演者、ピアノ 1台の演奏ながら、ブロードウェイ経験もある役者が確かな演技できっちり見せる。お見事。
 『イマジンオーシャン』は、『アヴェニューQ AVENUE Q』のオリジナル主演者ジョン・タータグリア John Tartaglia が脚本を書いた人形劇。当の『アヴェニューQ』がオンから再びオフへ引っ越した先の複合劇場での限定公演。プレイビル・オンラインの紹介ページには、「ジョン・タータグリアは出ないのでご注意を」って書いてある。魚の子供たちの冒険話で、完璧な子供向けの 50分 1幕。表現にアイディアがないではないが、演奏も録音(たぶん)で、ちょっとがっかり。
 『グッド・オール・ガールズ』は、カントリー畑の楽曲作者としてしられる 2人の女性、マトレイカ・バーグ Matraca Berg とマーシャル・チャップマン Marshall Chapman が書いた楽曲を 5人の女性が歌い継ぐというショウ。南部女性について皮肉と愛情を込めてあるらしい歌詞の内容がイマイチ把握出来ず、残念な客と化したが(笑)、小さな劇場での親密な演奏そのものは楽しんだ。
 ユニークだったのが『北大西洋』。ウースター・グループ The Wooster Group という劇団による、 1983年に書かれた作品のリヴァイヴァル、ということらしい。冷戦時代にオランダ沖に浮かぶアメリカの空母の上で展開される空軍の諜報活動、という内容は、タイトル同様『南太平洋』と似ていなくもないが、それが『キャッチ=22 CATCH-22』を思わせるスラップスティックな感覚で描かれると隔世の感。手前に大きく傾斜した舞台がパイプで組まれた櫓の上に設置され、その上下を役者たちが目まぐるしく動き、(意味なく)しゃべり、時に歌い踊る。そうした全員の、シンクロしているんだかいないんだかという“微妙なシンクロ具合”の演技は、かなりのリハーサルをしたと思わせるスリリングなもの。そこが一番面白かった。コーエン兄弟 The Coen Brothers 映画で知られるフランシス・マクドーマンド Frances McDormand も出演。劇場は、以前はアート37 ART 37 だったところ。運営が変わったのだろう。
 『イソップ寓話』は、サークル・イン・ザ・スクエア劇場が子供向けに(と同時に、おそらく同劇場の研究生の研修のために)入場料 10ドルで限定上演した演目。というわけで、若干素人臭くはあるが、イソップ寓話のいくつかを合体させた脚本の中で、登場人物(動物)のキャラクターを色づけし、子供たちを飽きさせないようにきちんと作られた舞台ではあった。
 『ヤンク!』は、第二次大戦中の陸軍を舞台にした同性愛のドラマ。あるいは、それを軸にした男たちの友情の物語と言うべきか。丁寧な作りで、当時の傾向を模した楽曲も悪くないが、決め手には欠ける。ブロードウェイ進出を目指すようだが、どうか。リヴァイヴァル版『ラグタイム RAGTIME』でヤング・ブラザーを好演したボビー・ステッガート Bobby Steggert が主演。

 次回ニューヨークは……すでに来ています(笑)。今日が観劇最終日で、明日帰国予定。そちらのリストも、ぜひとも近々(笑)。
 これでトニー賞前に登場するオンの新作は打ち止めのはず。となると、次のニューヨークは……いつだ?(笑)

(4/11/2010)

Copyright ©2010 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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