Who's normal? The doors at Booth 4/12/2009

[ゆけむり通信Vol.83]

4/7-4/12/2009


  • 4月 7日19:00
    『正常の隣 NEXT TO NORMAL』
    BOOTH THEATRE 222 West 45th Street
  • 4月 8日14:00
    『ゴドーを待ちながら WAITING FOR GODOT』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 4月 8日20:00
    『幸福 HAPPINESS』
    MITZI E. NEWHOUSE at Lincoln Center
  • 4月 9日20:00
    『ヘアー HAIR』
    AL HIRSCHFELD THEATRE 302 West 45th Street
  • 4月10日20:00
    『9時から5時まで 9 TO 5』
    MARQUIS THEATRE 1535 Broadway
  • 4月11日14:00
    『ロック・オブ・エイジズ ROCK OF AGES』
    Brooks Atkinson Theatre 256 West 47th Street
  • 4月11日20:00
    『悪魔の毒々モンスター THE TOXIC AVENGER』
    NEW WORLD STAGES(STAGE 1) 340 West 50th Street
  • 4月12日14:00
    『シュレック SHREK The Musical』
    BROADWAY THEATRE 1681 Broadway
  • 4月12日19:00
    『ルームズ ROOMS: A Rock Romance』
    NEW WORLD STAGES(STAGE 2) 340 West 50th Street
    * * * * * * * * * *

     6月のトニー賞に向けて最後の追い込みに入った感のある 4月のブロードウェイ。前回以降、 4本が新たに登場。これで今期は打ち止めだ。
     4本の内訳は、 2本はオフからの移行作、 1本は夏の野外劇場からやって来た往年のヒット作のリヴァイヴァルで、純粋な新作は 1本のみ。それが『9時から5時まで』だが、これもヒット映画の舞台ミュージカル化ですからねえ。なんだか、その場しのぎなラインナップの続くブロードウェイではあります。

     例によって、オンを、新作から観た順に。
     昨年 2月に観て、 [オンに移るというような性格の作品ではない] と書いた『正常の隣』がオンにやって来た(笑)。が、それに続けて書いた、 [ぜひとも観ておきたい] は変わらない。 [脚本+演出に仕組まれたアッと驚くツイスト] は未見の方のために、ここでも明かせないが、わかっていながら観て、さらに面白かったのは、よく出来た推理小説と同じ。『シュレック』に出演中のブライアン・ダーシー・ジェイムズ Brian d'Arcy James が『ジャージー・ボーイズ JERSEY BOYS』の J・ロバート・スペンサー J. Robert Spencer と入れ替わっている以外は、主要キャストはオフと同じ。タイトルのニュアンスは、「普通に近い」という感じかも、と今回思った。
     昨年 8月に観たセントラル・パーク野外劇場公演の好評を受けてブロードウェイに進出した『ヘアー』。しかしながら、ブロードウェイの劇場で演じられると、やはり違和感がある。 [“愛と革命の時代”の徴兵忌避の話が 40年後の現実とダブる、というあたりに今日性を見出すことも出来ないではないが、“あの頃”のファッションで出てこられると、いくら若い役者たちがいきいき演じようと、やはり“懐かしもの”にならざるをえない] というのが前回の感想だが、つまり、その“懐かしもの”を、特別な限定公演ではなく通常のロングラン公演として続けていくって、どうよ、という違和感。まあ、アメリカ人観客は“懐かしもの”として観ていないのかもしれないし、あるいは、“懐かしもの”でどこがいけないと思ってるのかもしれませんがね。でも、カーテンコールの後、観客が舞台に上がって役者と一緒になって踊るのって、ねえ。個人的には、ジミヘンばりにグイグイ弾くギタリストがカッコいいな、と。そんな舞台。
     『9時から5時まで』は、 80年(日本公開 81年)の同名映画(ちょうど今ブロードウェイの舞台に立っているジェイン・フォンダ Jane Fonda、今回の舞台の楽曲作者であるドリー・パートン Dolly Parton、それにリリー・トムリン Lily Tomlin が出演)の舞台化。 3人の女性社員が横暴な上司に復讐する、という話だが、 3人の設定が若干、映画とは変わっているようだ。近年のヒット映画→舞台ミュージカル路線の多くがそうであるように、最近は逆に珍しくなりつつあるオーソドックスな演出(ジョー・マンテロ Joe Mantello)で、見せ場を豊富に作り、わかりやすく展開していく。役者も安定しているし、よく出来てます。場面転換時をつなぐダンスに、それとなく力が注がれているな、と思ったら、振付が『イン・ザ・ハイツ IN THE HEIGHTS』のアンディ・ブランケンビューラー Andy Blankenbuehler だった。
     『ロック・オブ・エイジズ』は、昨秋始まったオフ公演を早々に切り上げてオンに移る準備を始めたため、タイミングが合わず見逃していた作品。 80年代のハード・ロック系ヒット曲を使ったジュークボックス・ミュージカルで、その時代のロスアンジェルスのライヴ・ハウスが舞台。正直、あまりに安直な設定とひねりのないストーリー展開に、説明する気も失せる。シャレっ気もないし。ミッチェル・ジャーヴィス Mitchell Jarvis 演じる強引な狂言回しがいなかったら、空中分解していただろう。上演中に飲み物の注文をとりに回るってのもどうかと思うが、まあ、それが気にならないほど、どうでもいい内容ってことです。この時代のその手の音楽が好きな人のみ、どうぞ。
     『シュレック』は、トニー賞が終わったらサットン・フォスター Sutton Foster が降りるかも、と思っての再見。にもかかわらず、姫役が代役という間の悪さ。土曜昼公演は危ないと思って日曜昼公演にしたのに、裏をかかれた(笑)。でもって、フォスターじゃないと面白さ半減なことが判明。ご覧になるならオリジナル・キャストが揃ってる内に。つまり、お早く。
     『ゴドーを待ちながら』はミュージカルではない。ご承知の通り、サミュエル・ベケット Samuel Beckett のストレート・プレイ。ゴドーを待つネイサン・レイン Nathan Lane とビル・アーウィン Bill Irwin を観るのが目的。文学臭の強い全体はともかく(笑)、この 2人のやりとりは面白い。セリフと体技の反射神経だなあ、コメディは。あ、コメディとして観たので(笑)。

     オフは 3本。
     『幸福』は、楽曲が『グレイ・ガーデンズ GREY GARDENS』のスコット・フランケル Scott Frankel(作曲)×マイケル・コリー Michael Korie(作詞)のコンビ、脚本がソンダイム Stephen Sondheim もので知られるジョン・ワイドマン John Weidman、演出・振付がスーザン・ストロマン Susan Stroman という、観ないわけにいかない布陣。役者も充実していて、人数もオフとは思えない多さ。装置も凝っていて、リンカーン・センターならではの贅沢さだ。これで休憩なしの 1幕ものってのはもったいない? もっとも、地下鉄に乗り合わせた人々の“人生最高の時”を振り返るという(そこに到る仕掛けはあるが)アイディア一発の内容であれば、それも致し方ないか。見せ場がていねいに用意されているが全体の重層性には欠ける、という、どこか、ワイドマン=ストロマン・コンビのトニー賞作品『コンタクト CONTACT』に似た弱点を持つ作品ではある。じんわり幸せな気分にはなりますが。
     カルト人気を持つ同名映画のバカバカしくも破壊的な精神を受け継いで舞台ミュージカル化したのが『悪魔の毒々モンスター』。今回のイチオシは、これですね。モンスターになる主人公と彼が思いを寄せるヒロイン以外の役を 3人の役者が演じてしまうのは、『三十九夜 THE 39 STEPS』の向こうを張ったか。ことに、『ユーリンタウン URINETOWN』の母親役ナンシー・オペル Nancy Opel の早替わりは見もので、途中、歌舞伎『法界坊』の合体幽霊もどきの半々別人で登場する等、捨て身の大活躍。脚本は、根源的な敬意があれば表面的な差別なんて問題じゃない、という成熟した文化的コンセンサスの下、あらゆる事象をとことん笑いのめす。楽曲作者としてボン・ジョヴィ Bon Jovi のデイヴィッド・ブライアン David Bryan が参加。音楽的にも聴きどころは多い。演出ジョン・ランドー John Rando(『ユーリンタウン』)。
     『ルームズ』は 05年の NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品。それらしく、出演者は男女 2人だけ。 70年代後半にグラスゴウでコンビを組んだ男女のミュージシャンが、注目を集め始め、ロンドン、ニューヨークと進出していき……。簡単に言えば、成功と挫折を経て確かな愛をつかむ、という話。 2人の熱演をシンプルで的確なバンド演奏が支え、 1幕 90分間を濃密な 4年間の人生に変えてみせる。こういう舞台もなくちゃね、と思う。

     次回渡米は未定。 6月に行きそうで怖い(笑)。

    (5/5/2009)

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