Palace Theatre behind the objet on Daffy square 2/21/2009

[ゆけむり通信Vol.82]

2/20-2/25/2009


  • 2月20日20:00
    『パル・ジョーイ PAL JOEY』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 2月21日15:00
    『僕の人生の物語 THE STORY OF MY LIFE』
    BOOTH THEATRE 222 West 45th Street
  • 2月21日20:00
    『この美しき街 THIS BEAUTIFUL CITY』
    VINEYARD THEATRE 108 East 15th Street
  • 2月22日11:00
    『ディア・エドウィナ DEAR EDWINA』
    DR2 THEATRE 103 East 15th Street
  • 2月22日15:00
    『南太平洋 SOUTH PACIFIC』
    VIVIAN BEAUMONT THEATRE at Lincoln Center
  • 2月22日19:00
    『快楽の園 THE GARDEN OF EARTHLY DELIGHT』
    MINETTA LANE THEATRE 18 Minetta Lane
  • 2月23日20:00
    『エンター・ラフィング ENTER LAUGHING』
    THEATRE AT ST. PETER'S 619 Lexington Avenue
  • 2月24日20:00
    『ガイズ・アンド・ドールズ GUYS AND DOLLS』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 2月25日14:00
    『フォビドゥン・ブロードウェイ:リハビリに出る FORBIDDEN BROADWAY: Goes To Rehab』
    47TH STREET THEATRE 304 West 47th Street
  • 2月25日20:00
    『ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY』
    PALACE THEATRE 1564 Broadway
* * * * * * * * * *

 今年最初のニューヨーク。東京に比べるとさすがに寒かったが、それでも、この時期としてはマシな方だったろう。ま、劇場に行く以外にあんまり出歩かないせいもあるけど(笑)。
 渡米前に周りから「えっ!? 今観るものないんじゃないの?」と言われるほど 1月にバタバタと閉まったブロードウェイだったが(てか、クローズのニュースが日本でもそんなに話題になってるのか、という方に驚いたが)、目的は新たなオープン作。観られる時に観ておかないと、いつ閉まるかわからない、と思い、時期を見計らって早めに飛ぶのだが、今回はまさに滑り込みセーフ。正式オープン後 3日目に観た『僕の人生の物語』が、翌日公演を最後に幕を下ろした。そんなこんなで、実際の寒さ以上に寒いブロードウェイ演劇界の最新報告です。

 例によって、オンを、新作から観た順に。
 『僕の人生の物語』は、スモール・タウンに育った 2人の少年の友情物語。 1人は町を出て作家として成功し、もう 1人は才能がありながら家庭の事情で町に残る。町に残った方が亡くなり、その葬儀で作家の方がスピーチする。そこから死者との対話が始まる。実は作家になるべきは君だったのじゃないか、僕は君に授けられたエピソードを本にしてきただけなんじゃないか、と。展開も楽曲も起伏があり、基調は苦いが明るさもある。しみじみとした余韻の残る舞台。早々にクローズした原因は、まず、登場人物が 2人きりという規模の小ささ。そして、“死”のイメージか。オフであれば全く問題にならない、そうした点が、今のオンでは致命傷になる、ということだろう。
 『ガイズ・アンド・ドールズ』は、大ヒットした前回(92年)のリヴァイヴァルが 95年 1月 8日に幕を閉じて以来の登場。てことは14年振りか。 3年半前に観たロンドン版とは別物。元々、楽曲、脚本の完成度が高く、初演の 1950年時点でもふた昔前にあたる 30年代が舞台なだけに、かえって古くならないので、ある程度の役者を揃えれば、まず失敗はない作品で、今回も楽しいミュージカル・コメディに仕上がっている。しかしながら、だ。 92年版を観た身としては、オリジナル・キャストでネイサンとアデレイドを演じてスターになったネイサン・レイン Nathan Lane とフェイス・プリンス Faith Prince の不在を強く感じるのですよ。ことにレイン。印象が強烈だっただけに、ないものねだりと知りながらも、その姿を求めてしまう。ま、知らない方は気にせずお楽しみください(笑)。ただ、演出デス・マカナフ Des McAnuff お得意の映像使いが今回は、ややうるさい。また、最初と最後に原作者デイモン・ラニヨン Damon Runyon を登場させるのは蛇足な気がした。
 到着後のプレヴュー開始にもかかわらず、 tktsの半額チケットはもとより、ネットでのディスカウントも出ていなかったのが、『ウエスト・サイド物語』。そこまで人気なのは、高い年齢層が強い懐かしさを覚えてチケットを予約しているからだと思うが(ブロードウェイでのリヴァイヴァルは約 30年振り)、これが意外にも新鮮な舞台だった。個人的には、過去観た、どの同作品よりも現在性を強く感じた。上演前から話題になっていたスペイン語交じりの上演が予想を超えた効果を生んでいるのだ。なにより、対立するジェッツ(英語)とシャークス(スペイン語)の解け合わなさが感覚的によくわかる。アメリカは人種のるつぼではなく、ただ混在しているのだ、という認識。スペイン語は歌にも用いられる。アメリカが好きか故郷プエルトリコに帰りたいかでやり合う名曲「America」は、歌詞が英西混合になることで一気にリアリティを増す。過去、お上品過ぎの感もあったマリアの「I Feel Pretty」は、まるごとスペイン語で歌われて猥雑感を増し、艶っぽい。相乗効果か、ジェッツの連中もザラザラした感触の演技で応える。その分、この作品の根源にあるダークさも浮き彫りになっていて、それが今後、興行的にどう出るか。何はともあれ必見。
 『パル・ジョーイ』『南太平洋』を再見したのは、前者が主役が替わったから、後者が主役が替わる前に、という理由。
 プレヴューで素晴らしかったクリスチャン・ホフ Christian Hoff がケガで正式オープン前に降りた『パル・ジョーイ』。主役を継いだのは、マシュー・リッチ Matthew Risch で、ホフより若い分チンピラ感が増して、それはそれでプラスだが、苦い哀感のようなものは薄れた。当然、ホフ同様に出づっぱりで大変な熱演だが、ちょっと汗かきすぎ、か(笑)。舞台全体についての印象は変わらず。よく出来ている。
 『南太平洋』は、ネリー役のケリー・オハラ Kelli O'Hara が妊娠のため降板の報を受けて、チケットがやや入手し易くなったのもあり、出ている内にと観に行った。オハラは、ほぼ変わらずの運動量で大活躍だったが、さすがに側転はやらなかったです(笑)。オハラとは関係ないけど、「Happy Talk」って歌は実に不気味、と改めて思った。

 今回はオフもオン同様 5本。
 『この美しき街』は、 07年 7月に観た『ゴーン・ミッシング GONE MISSING』を作った劇団シヴィリアンズ The Civilians の新作。前作はニューヨーカー相手に行なったインタヴューを基にしていたが、今回はコロラド州コロラド・スプリングに出向いて、同地で勢力を拡大している宗教団体について取材し、作り上げたらしい。その団体を一方的に揶揄しているのかというと、そうでもないようで、その辺は(前作同様)英語力不足及び知識不足の問題で十全に理解出来ていないのだが、それでもなんだか面白い(笑)。楽曲の魅力とカンパニーのエネルギーなのだろう。
 朝 11時開演ってことからもわかるように、『ディア・エドウィナ』は子供向け。で、過去の子供向け作品の例に漏れず、これまた、よく出来ている。子供向けの方がまっすぐ観客に入っていかないと飽きられる分、余計な見栄をはらずに面白く作るのだろう。エドウィナという少女が、大きな大会に出るための演劇オーディションで自作ミュージカルを仲間と演じる、という劇中劇の設定が、まずうまい。登場人物はコミック的にわかりやすく、それぞれに見せ場もあり、もちろん最後には、ちょっとした教訓的な(しかし嫌味ではない)オチもある。日本でも普通に、こうしたミュージカルを作れないものですかね。
 『快楽の園』は、画家ヒエロニムス・ボッシュ Hieronymus Bosch(本当はボスって発音するんですか?)の有名な同名絵画をダンスで再現しようという舞台。ピロボラス Pilobolus(ダンス・カンパニー)の創設メンバーの考案・演出・振付作品と知って納得の、セクシャルでユーモラスで少しばかり気味悪いダンスが、プリミティヴな感じの演奏に乗って繰り広げられる。
 『エンター・ラフィング』は同名プレイ(63年〜64年ブロードウェイでロングラン)のミュージカル版で、レイ・ボルジャー Ray Bolger 似のジョシュ・グリゼッティ Josh Grisetti(プログラムの彼の演技歴に、ボルジャーが初演で演じた『チャーリーはどこ? WHERE'S CHARLEY?』があった!)を中心に芸達者が集まって、かっちり仕上げたミュージカル・コメディ。新しさはないが、きちんと作られた舞台は楽しい。
 そして、ついに幕を下ろすことになったオフの名物パロディ・ミュージカルの最終ヴァージョンが『フォビドゥン・ブロードウェイ:リハビリに出る』。この舞台が閉まる最大の理由は間違いなくブロードウェイの低調さだろう。何はともあれ、長年笑わせてくれた舞台に別れを告げに行ったわけだが(観たのが最終週だったはず)、最後の観劇でイジられた(笑)。前から 3列目の中央の通路側の席だったのだが、舞台を下りてきた、ライザ・ミネリ Liza Minnelli が憑依したジーナ・クレイズマー Gina Kreiezmar にマイクを向けられ名前を尋ねられた。続けて、どこから来たのかと訊かれ、日本と答えると、日本は大好きだ(事実、彼女は『フォビドゥン・ハリウッド FORBIDDEN HOLLYWOOD』のツアーで日本に来ている)と言い、ライザの顔で思いつめたように腕を出し、「私に触って」と言う。触れるといきなり舞台に駆け上がり、歌に戻った。いい思い出をありがとう(笑)。

 次回は 4月の予定です。もうすぐじゃん(笑)。

(3/30/2009)

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