Tony ad flags along 49th St. 6/6/2008

[ゆけむり通信Vol.78]

6/3-6/8/2008


  • 6月 3日20:00
    『ヤング・フランケンシュタイン YOUNG FRANKENSTEIN』
    HILTON THEATRE 213 West 42nd Street
  • 6月 4日14:00
    『三十九夜 THE 39 STEPS』
    CORT THEATRE 138 West 48th Street
  • 6月 4日20:00
    『パッシング・ストレンジ PASSING STRANGE』
    BELASCO THEATRE 111 West 44th Street
  • 6月 5日14:00
    『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ LITTLE SHOP OF HORRORS』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 6月 5日20:00
    『セイヴド SAVED』
    PLAYWRIGHTS HORIZONS 416 West 42nd Street
  • 6月 6日20:00
    『ジョリーシップ JOLLYSHIP THE WHIZ-BANG』
    ARS NOVA 511 West 54th Street
  • 6月 7日14:00
    『クライ・ベイビー CRY-BABY』
    MARQUIS THEATRE 1535 Broadway
  • 6月 7日20:00
    『ミカド THE MIKADO』
    CITY CENTER 55th Street between 6th & 7th Avenue
  • 6月 8日15:00
    『グレイト・アメリカン・オールスター・トラヴェリング・ウォー・マシーン THE GREAT AMERICAN ALL-STAR TRAVELING WAR MACHINE』
    THEATER FOR THE NEW CITY 155 First Avenue
  • 6月 8日19:00
    『シカゴ CHICAGO』
    AMBASSADOR THEATRE 215 West 49th Street
* * * * * * * * * *

 こちらにも書いたが、前回の渡米後にプレヴューが始まった『グローリー・デイズ GLORY DAYS』は、正式にオープンした 5月 6日の 1公演のみでクローズ。トニー賞の審査対象からも外された。しかしながら、その時点で、すでに、『グローリー・デイズ』を観るためにエアは予約済み。キャンセル料を惜しんで、この時期に飛ぶことになった(笑)。
 そんなわけで、今回、オンには新たに観るミュージカル作品がない。おまけに、オフの新作も少ない。となると、自然、オンの再見が増える。しかし、 2度観ると、発見があって面白いです。ほんとは、全部 2度観出来るぐらいの余裕のスケジュールが望ましいよね(無理だけど)。
 ともあれ、再見であればチケットは tktsで半額で買いたいのが人情。これが、まるで並んでなくてスイスイ買えるんで驚いた。観光客は多いのに。みんなネットの割引で買ってるのか? なお、この時期、トニー賞ノミネーション数の多い『イン・ザ・ハイツ IN THE HEIGHTS』『南太平洋 SOUTH PACIFIC』、それに『ウィキッド WICKED』は売り切れ状態でした。

 前述のようなわけで、今回の初見ものは、ほとんどがオフかオフオフ。
 『セイヴド』は、『グレイ・ガーデンズ GREY GARDENS』を送り出したオフのプレイライツ・ホライズンズの新作。敬虔さが求められるクリスチャン系ハイ・スクールで自我に目覚めていく少女の話だが、楽曲、脚本共に優れ、心を動かされた。“キリスト教とアメリカ人”というデカいテーマを、哲学的言辞を弄することなく、日常的な(それも恋愛絡みの学園ドラマ的な)ストーリーのコメディとして描き出していくのが鮮やかで、そのため、狭量な教条主義者に対する批判のレヴェルで終わらず、極東から訪れた一観客をも深く共感させる結果となった。役者も充実して、見事。
 『ジョリーシップ』の劇場はオフオフ。ロック・バンド+人形芝居のユニークな作品。どこがユニークかと言うと、人形芝居のバックでロック・バンドが演奏するのではなく、ロック・バンドが演奏しながら人形芝居をやるところ。しかも、主人公の人形はアル中の海賊で、演奏はパンク+アイリッシュ・トラッドの印象。やさぐれ感横溢のイカした舞台だった。
 『グレイト・アメリカン・オールスター・トラヴェリング・ウォー・マシーン』の劇場へは初めて行ったが、ダウンタウンのコミュニティの核になっている印象。そのことと関係があるのかはわからないが、真っ向から反戦を訴える作品で、アメリカ合衆国が建国前後から延々戦争をやり続けていることを背景に、様々な時空に飛んで、様々なスタイルで戦争の断片を描いていく。残念ながら、意余って言葉足らずな仕上がりだったが、こうした試みが行なわれていることが興味深かった。
 ニューヨーク・ギルバード&サリヴァン・プレイヤーズ New York Gilbert & Sullivan Players の公演は以前はアップタウンでをやっていたが、このところはシティ・センターに腰を落ち着けたようだ。『ミカド』は、ごぞんじ日本を舞台にしている。この作品が出来るまでを描いた映画『トプシィ・ターヴィ TOPSY-TURVY』がとても面白かったので、ぜひ生で観たかった。これが大当たり。ここまで生き残っている人気の古典なので、楽曲、脚本がよく出来ているのは当然なのだが、そこに時事ネタを含む今日的なギャグを自然な形で投入。演出も軽快で、オペレッタの精神を現代に生かした楽しい舞台になっていた。
 ニュージャージーのペイパーミルには昨年 4月以来の遠征。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』を観るのは 03年のブロードウェイ版以来だが、出自がオフの小ぢんまりしたこの作品は、ストーリーの端折り方が実にうまいと再認識。人間に対する根源的な不信感が 60年の映画版(この日劇場にいたご老人方にとっては青春の思い出か)から脈々と生きていると感じた。
 今回観た唯一のオンの未見作が、イギリス産のプレイ『三十九夜』。ミュージカルでもないのに、なぜ観たかと言うと、プレイビル・オンラインに「コメディ」と書いてあったから。だって、『三十九夜』(原作の邦訳タイトルから言えば『三十九階段』だろうが、このプレイはヒチコック Alfred Hitchcock 版映画が元だ、と謳っているので)と言ったらスリラーでしょ。それがコメディってんだから思わず観たくなる。これが期待に違わぬ面白さ。 4人しかいない出演者が、簡易なセット(例えばトランク 4つで列車内から列車の屋根を表現)と驚くべき早替わり(例えば舞台上の 2人の役者が帽子の取替えだけで瞬時に 5役を演じる)でスピーディに運ぶ舞台は、バカバカしくも見事な脚本・演出のアイディアと役者たちの鍛えられたヴォードヴィル的芸に支えられた、抱腹絶倒のナンセンスな全 2幕。観て損なし。

 さて、残りは再見。
 『ヤング・フランケンシュタイン』の見どころは役者に尽きる、と改めて思った。まあ、ある意味“臭い”演技なのだが、その“濃さ”も含めて、ぜひともオリジナル・キャストで観ておきたい舞台だ。
 前回は到着日に観たので、実は途中ウトっとしたところもあった(笑)『パッシング・ストレンジ』だが、緩急の塩梅がよく、全く飽きない構成。中流黒人のアイデンティティなんてところに踏み込んでいるあたり、カニエ・ウェスト Kanye West にも通じる感覚か、なんてね。
 『クライ・ベイビー』は、前回書いた通り、音楽的に物足りないし、ドラマとしても弱いのだが、第 2幕のスピーディな展開がけっこう楽しめた。でもって、(これも前回触れたが)ダンサーたちが実に献身的!
 去年の 2月以来の『シカゴ』は、このところ頻繁にウリにしている舞台専門ではないビッグ・ネーム(例えばアッシャー Usher とか)が出ていない分、カチッとした仕上がり。帰国の飛行機内で映画版をやっていたので久しぶりに観たが、やっぱり舞台の方が断然面白い。

 次回?  9月には行くつもりだが……。

(6/15/2008)

Copyright ©2008 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

previous/next

Let's go to BROADWAY

How to get TICKETS

[TITLE INDEX]


[HOME]