A view of Times Square without Howard Johnson 1/31/2008

[ゆけむり通信Vol.76]

1/30-2/3/2008


  • 1月30日20:00
    『ジェリー・スプリンガー JERRY SPRINGER The Opera in Concert』
    CARNEGIE HALL 154 West 57th Street
  • 1月31日20:00
    『カーテンズ CURTAINS』
    AL HIRSCHFELD THEATRE 302 West 45th Street
  • 2月 1日20:00
    『リトル・マーメイド THE LITTLE MERMAID』
    LUNT-FONTANNE THEATRE 205 West 46th Street
  • 2月 2日15:00
    『ケイロル島のノロマな運び人たち(あるいはラッシャワー博士の友人たち) THE SLUG BEARERS OF KAYROL ISLAND(or, THE FRIENDS OF DR. RUSHOWER)』
    VINEYARD THEATER 108 East 15th Street
  • 2月 2日20:00
    『日曜日にジョージと公園で SUNDAY IN THE PARK WITH GEORGE』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 2月 3日12:00
    『ピンカリシャス PINKALICIOUS』
    NEW WORLD STAGES(STAGE 5) 340 West 50th Street
  • 2月 3日15:00
    『正常の隣 NEXT TO NORMAL』
    SECOND STAGE THEATRE 307 West 43rd Street
  • 2月 3日19:00
    『オルーノコ OROONOKO』
    DUKE ON 42ND STREET 229 West 42nd Street
* * * * * * * * * *

 今回も帰国日に少し降った。それも雪が。前日の夜に大方の予想を覆してニューヨーク・ジャイアンツがスーパーボウルで勝ったせいかも。
 それは例外にして、またまた全般に天気がよく(金曜日は雨だったが、夜の公演に出かける頃には小降りになり、終演後には止んでいた)、思ったほど寒くなかったことに加え、今回は観た(観られた)公演数も少なく、しかも 1公演を除いて全てミッドタウンの劇場だったので街中の移動もあまりなく、かなり楽に過ごした。友人に“危険の正体”を確認してくるように言われて、『クローヴァフィールド CLOVERFIELD』なんていう“自由の女神の首が飛ぶ”、どうでもいい映画を観る余裕すらあった(笑)。
 ……が、帰りの飛行機内で突如悪寒に襲われ、体調悪化。風邪をひいたらしく、帰国の翌日は自宅静養となってしまうのだが。

 さて、今回の主な目的は、昨年 11月にチケットを予約してありながらストのために観られなかった『リトル・マーメイド』の観劇。なのだが、この時期に飛んだ背景には、次のような事情がある。
 実は、年明けの渡米は、当初は 3月初めを予定。春の新作がある程度出揃ったところで、と思っていた。 11月に見逃したからといって、『リトル・マーメイド』が早々に終わるはずもないので、その予定を変える必要は、これまでなら、ない。ところが、昨年の 5月から、「コヨーテ」という変則月刊誌(年 10回刊)でブロードウェイ“最新”情報についてのリポートを書くことになってしまい(そもそも月刊誌で“最新”情報というところに無理があるのだが、まあ、その辺は“独自の切り口”が――たぶん――あるってことでご容赦いただくとして)、新作に関しては出来るだけ早く観て書かないわけにはいかないという責任が生じた(誤解がないように言っておくと、原稿を書くからといって渡航費や観劇代が全て自腹なのは以前と同じ。趣味ですから。したがって、あくまで個人的に感じる責任、ということだが)。というわけでの、約 1か月の前倒し渡米。
 でも、次の渡米を 4月アタマに設定出来たので、結果としてはよかったのかな、とも思う(なぜかは次の渡米後に明かしますが)。『リトル・マーメイド』が期待に応えてくれたかどうかは別にして(笑)。

 では、感想を観た順に。
 『ジェリー・スプリンガー』の初演は、 4年前のロンドンで観た。その後、何度かブロードウェイ入りを目指すニュースが流れたが、未だ実現していない。今回のカーネギー・ホールでのコンサート形式の限定公演には、その前哨戦の意味もあるのか。実在のアメリカの TVトーク・ショウを素材に、下世話な話題を格調の高い本格的オペラ唱法で歌い上げるのがウケるのだが、途中から天使が出てきたりして、後半は司会者スプリンガーの“宗教的な罪を問う”的展開となるのが、ロンドンで観た時には胡散臭くて(ロンドンものにありがちな“こけおどし”に見えて)醒め気味に観た。それが今回は、コンサート形式の簡素なセットや軽快な演出(ロンドン版はしつこい印象があった)が功を奏したのか、あるいは素材が地元のものなので観客の反応も違うのか、けっこう素直に(ある意味、シャレとして)楽しめた。もっとも、根本的には、小手先の面白さだとは思うが。歌わない主役スプリンガーを演じたのはハーヴェイ・カイテル Harvey Keytel。
 『カーテンズ』昨年の 4月以来となる 3度目の観劇。主要キャストはほとんどオリジナルのままだ。やっぱり、よく出来ていて、楽しく、面白い。これを古臭いと言う人には、ミュージカルにおける新しさとは何かを教えてほしいと言いたい。ご覧になるなら、お早めに。
 そして、『リトル・マーメイド』。正式オープンは 1月 10日。 89年のアニメーション映画版はディズニー・アニメ中興の礎となったヒット作で、公開当時に楽しく観たが、ディズニーの舞台ミュージカル化作品の中でも、とりわけ子供向けの話であるのは明らかだ。なので、まっすぐに『美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST』の抜けた後に入るファミリー・ミュージカルとして作ってある。装置はアイディア豊富で凝っているし、キャストも粒揃い。例によって主役は没個性な作りだが。高望みせずに、集まってきた子供たちと一緒に無邪気に楽しむのが正解なのだろう。
 『ケイロル島のノロマな運び人たち』は、『アヴェニューQ AVENUE Q』はじめ、意欲作を世に送り出し続けているオフのヴィニヤード劇場の新作で、一風変わった内容。電器製品のマニュアルの文章がなにより詩的だと感じるニューヨークの青年が、ちょっと浮世離れした電気工学の博士、及び、その義理の娘と知り合い、カリブ海あたりの架空の島に、電気製品の下請け会社の奴隷的運び人をやらされている現地の人たちを救いに行く。ところが……。という話が、ユーモラスかつ不気味に展開される。寓話的でありつつゾッとするような現実味があり、不可思議な余韻が残る。
 『日曜日にジョージと公園で』は 2年前の夏にロンドンで観たヴァージョンの移植作。主演の 2人もイギリスからやって来ている。よって、感想はその時とほぼ同じだが、ブロードウェイでの公演が、このところソンダイム Stephen Sondheim ものリヴァイヴァルを連続して手がけているランダバウト劇場の仕切りだからか、観客の反応が(いくぶんか必要以上に)好意的な気がした。
 日曜正午の『ピンカリシャス』は、小さな劇場が親子連れで満杯になった子供向けミュージカル。どうやら原作の絵本が、けっこうポピュラーらしい。ピンクのケーキを食べ過ぎた女の子が全身ピンク色になるという他愛ない話を、学芸会的ノリ、学芸会的装置で展開していく。料金の安さからいっても、ま、こんなもんか。
 今回の注目は、『正常の隣』。こちらは、『第25回パットナム郡スペリング競技会 THE 25TH ANNUAL PUTNAM COUNTY SPELLING BEE』を生んだセカンド・ステージの作品。アリス・リプリー Alice Ripley、ブライアン・ダーシー・ジェイムズ Brian d'Arcy James というキャスティングを見て即オンライン予約し、後で割引が出てたことに気づいて悔やんだが、舞台を観たら後悔は消えた。家族再生へ向けての家庭崩壊劇、とでもいった内容なのだが、脚本+演出に仕組まれたアッと驚くツイストが、途中から強いサスペンスを生んで緊張感が高まる。楽曲も、バランスよく現代感覚が盛り込まれていて密度が濃い。オンに移るというような性格の作品ではないが、ぜひとも観ておきたい。
 『オルーノコ』はタイムアウト誌のリストに付いていたミュージカル印を頼りに観に行ったのだが、ミュージカルと言うよりはプレイ・ウィズ・ミュージックだった。 17世紀にイギリス人によって書かれたアフリカ人の王子の悲劇を、現代のアフリカの作家が脚色したもので、イギリス人による奴隷売買の話が背景にあるが、それに対する告発と言うよりは、数奇な運命と戦う若者の情熱を描いているようだ。楽曲はホンモノのアフリカもので、もっとミュージカル的だったら、と(ミュージカル好きは)思わずにいられなかった(笑)。

 そんなわけで、次回渡米は 4月初めの予定です。

(3/2/2008)

Copyright ©2008 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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