YOUNG FRANKENSTEIN's ads @ Times Square Station 9/21/2007

[ゆけむり通信Vol.74]

9/17- 9/23/2007


  • 9月17日20:00
    『バスルームの少年 THE BOY IN THE BATHROOM』(NYMF)
    45TH STREET THEATER 354 West 45th Street
  • 9月18日14:00
    『素晴らしい女性たちが素晴らしき女性ベティ・コムデンを讃える GREAT WOMEN SALUTE A GREAT WOMAN BETTY COMDEN』
    MAJESTIC THEATRE 247 West 44th Street
  • 9月18日16:30
    『太陽のアングル THE ANGLE OF THE SUN』(NYMF)
    SAGA THEATRE 711 7th Avenue
  • 9月18日20:00
    『ラヴ・キルズ LOVE KILLS』(NYMF)
    45TH STREET THEATER 354 West 45th Street
  • 9月19日14:00
    『グリース GREASE』
    BROOKS ATKINSON THEATRE 256 West 47th Street
  • 9月19日16:00
    『ロンドン見えたフランス見えた I SEE LONDON I SEE FRANCE』(NYMF)
    TBG THEATER 312 West 36th Street
  • 9月19日20:00
    『見よイエスのなされた奇跡を LOOK WHAT A WONDER JESUS HAS DONE』(NYMF)
    THEATRE AT ST. CLEMENT'S 423 West 46th Street
  • 9月20日16:00
    『ヴィルトゥオーゾ VIRTUOSA』(NYMF)
    45TH STREET THEATER 354 West 45th Street
  • 9月20日20:00
    『惑星Xからの頭脳 THE BRAIN FROM PLANET X』(NYMF)
    THE ACORN 410 West 42nd Street
  • 9月21日13:00
    『ジェミナイ GEMINI』(NYMF)
    THE ACORN 410 West 42nd Street
  • 9月21日14:30
    『グッド・ファイト THE GOOD FIGHT』(NYMF)
    JULIA MILES THEATER 424 West 55th Street
  • 9月21日20:00
    『オースティンテイシャス AUSTENTATIOUS』(NYMF)
    JULIA MILES THEATER 424 West 55th Street
  • 9月22日13:00
    『パイパー THE PIPER』(NYMF)
    THEATRE AT ST. CLEMENT'S 423 West 46th Street
  • 9月22日16:30
    『イエロー・ウッド THE YELLOW WOOD』(NYMF)
    THE ACORN 410 West 42nd Street
  • 9月22日20:00
    『タリー TULLY(IN NO PARTICULAR ORDER)』(NYMF)
    SAGA THEATRE 711 7th Avenue
  • 9月22日23:00
    『ダイ・ハード(人形ミュージカル) DIE HARD: The Puppet Musical』(NYMF)
    45TH STREET THEATER 354 West 45th Street
  • 9月23日13:00
    『バーニス髪を切る BERNICE BOBS HER MULLET』(NYMF)
    JULIA MILES THEATER 424 West 55th Street
  • 9月23日16:30
    『愛みたいな LIKE LOVE』(NYMF)
    TBG THEATER 312 West 36th Street
  • 9月23日20:00
    『アンロックト UNLOCK'D』(NYMF)
    TBG THEATER 312 West 36th Street
* * * * * * * * * *

 一昨年 9月の渡米時に観たのがきっかけで、すっかりハマってしまい、昨年は 7泊して楽しんだ NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)。今年も同様の 7泊。小さな劇場で次々に新たな作品が上演される、その催しを観るために、この時期にニューヨークを訪れた。
 気候は、暑からず寒からず。一瞬、通り雨に見舞われたものの、ニューヨーク・ラヴズ・ミー(笑)、いつものように天気には恵まれた。おまけに、予想していなかった特別な公演にも行き遭って、スケジュールはハードながら、かなり楽しい旅となった。

 まずは、 NYMFの作品を観た順に。

 『バスルームの少年』は、文字通りバスルームに引きこもる少年(と言っても 25歳の誕生日を迎える年齢)が主人公。彼が、ハウスキーパーに来る少女の助けで、母(メアリー・スタウト Mary Stout、うまい!)の抑圧から脱して外界に出るまでを、中央にバスルームのセットを置いただけの舞台で、哀しみとユーモアを交えて描く。少年と少女のドア越しの愛情表現がせつなく、胸に沁みた。
 『太陽のアングル』は、画家になる女性の半生を、その時々に交際している男性(1人の男優が 4役を演じ分ける)との関係から描いていく。丁寧に演出されているが、構成が時間軸に沿ったオーソドックスなもので、楽曲も変化に乏しく、“ちょっと変な女の子”という主人公の魅力を除いては、やや退屈な出来。
 『ラヴ・キルズ』の主人公は、オリヴァ・ストーン Oliver Stone 監督映画『ナチュラル・ボーン・キラーズ NATURAL BORN KILLERS』で描かれた、実在した10代の殺人犯の少年少女で、彼らを捉えた保安官とその妻が、留置所に収監した 2人から動機を訊き出す、という設定。主人公たちが突然スタンドマイクで歌いだすあたり、『春のめざめ SPRING AWAKENING』を思わせるが、場面のつながりが滑らかさに欠け、ドラマに感情移入しきれないうらみがある。少女役マリサ・ローズ Marisa Rhodes は前述の『アメリカン・アイドル』出身者。
 『ロンドン見えたフランス見えた』というのは、日本で言えば「パンツゥまる見え」にあたる子供の囃子言葉らしい。内容は、広告代理店に勤める 35歳の奥手の独身女性を中心にしたセックス・コメディ(なんて言葉あるのか?)。ベッド⇔ソファ⇔デスクと早替わりするセットを効果的に使ってテンポよく見せる演出が快調。かなり小さい劇場ながらも 8人もの個性的な役者がにぎやかに登場して、楽しかった。
 『見よイエスのなされた奇跡を』はゴスペル・ミュージカル。 1882年のサウス・キャロライナ州チャールストンを舞台に、アフリカから連れてこられた奴隷たちの悲劇が、反逆の意思を込めて描かれる。とにかく、ウォルター・ロビンソン Walter Robinson の書いた楽曲を歌い上げるアフリカン・アメリカンたちのコーラスが素晴らしい。 1曲だけだが、リヴィングストン・テイラー Livingston Taylor とキャロル・ベイヤー・セイガー Carlo Bayer-Sager の書いた楽曲「Answer My Prayer」が歌われる。
 『ヴィルトゥオーゾ』は、その名のごとく(クラシック畑の名手の意)、ピアノの名手クララ・シューマンの物語で、若き日とその 30年後とが幕間を隔てて描かれる。厳密にはミュージカルと言うよりプレイ・ウィズ・ミュージック。女優 1人、ピアニスト 1人が舞台にいて、演技(歌わない)と演奏とを分担する。つまりは実質ひとり芝居なわけだが、ピアノ演奏を挟むことでうまく緩急をつけていたので、案外眠くならなかった(笑)。
 『惑星Xからの頭脳』は B級 SF“50年代の異星人による地球侵略もの”映画のパロディ・ミュージカル。安っぽい特殊メイクやセットも含め、いかにも西海岸産らしい緩いユーモア・センスで貫かれていて、ま、こういうのもありか、という気分で気楽に観ている分には悪くない。
 劇場でプログラムを見るまで知らなかったので驚いたのが、『ジェミナイ』の出演者。パティ・ルポン Patti LuPone 版『エニシング・ゴーズ ANYTHING GOES』『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』のリンダ・ハート Linda Hart と、『アンド・ザ・ワールド・ゴーズ・ラウンド AND THE WORLD GOES 'ROUND』『スティール・ピア STEEL PIER』のジョエル・ブラム Joel Blum という、ヴォードヴィルの香りを残すソング&ダンス・パーソン 2人の名があったのだ。作品は同名戯曲のミュージカル化で、ストレート・プレイ版がオフで上演された時にもハートは出演していたらしい。舞台は 1973年のフィラデルフィア。夏休みで帰郷している引きこもり気味のハーバードの学生フランシスの周辺で起こるドタバタ、と。超簡単に言うとそういう話(笑)。中心になるのは父親との確執だが、シリアスなネタを笑い歌と踊りとで軽快に見せていく呼吸が素敵。もちろん、前記の 2人は充分すぎるぐらいに歌って踊ります(笑)。
 『グッド・ファイト』はオーストラリアからやって来たカンパニー。描かれるのは、実在した伝説的ボクサーの短い半生を軸にした、第一次世界大戦時にヨーロッパ派兵をめぐってオーストラリア人に起こった宗教的対立(カソリック対プロテスタント)等の苦悩の状況。タイトルはボクシングと戦争をダブらせた皮肉だろう。現代にまでつながる強い反戦の意思を感じた。
 『オースティンテイシャス』というのは造語だろうか。ジェイン・オースティン Jane Austen の代表作『高慢と偏見 PRIDE AND PREJUDICE』をミュージカルとして上演しようとする素人劇団の混乱を描いたコメディで、中心になる舞台監督役が『アヴェニューQ AVENUE Q』でトニー賞の主演女優賞候補になったステファニー・ダブラッゾ Stephanie D'Abruzzo。役者が曲者揃いで、かなり笑えるが、演出家役のみ出来がイマイチだったのが残念。
 今回観た中で最も充実していた作品の 1つが、『パイパー』。 1892年のボストンを舞台に、女性を狙う謎の殺人者(ハイドを思わせる)と、多数派のアイルランド人の外国人排斥気運を煽る政治家たちの動きをサスペンスフルに描く。物語の中心となる下宿屋を切り回す女主人の、足の不自由な 1人娘が主人公。彼女が授かった不思議な笛が最後に神秘的な力を発揮する。脚本も手がけているマーカス・ハモン Marcus Hummon の書いたケルティックな楽曲が魅力的。狂言回しを務めたナンシー・アンダーソン Nancy Anderson(『クラス・アクト A CLASS ACT』他)の蠱惑的な演技も印象に残る。
 『イエロー・ウッド』は、宮本亜門演出ブロードウェイ版『太平洋序曲 PACIFIC OVERTURES』の主演等で知られる B・D・ウォング B.D.Wong の演出作品。夢想家のコリアン・アメリカンの少年が主人公で(演じるジェイソン・タム Jason Tam はチャイニーズ・アメリカンだと思うが)、学校を中心とした現代アメリカ社会に受け入れられるかどうか、あるいは、こちらが社会を受け入れるかどうか、という彼の綱渡りな日常生活をユーモラスに描いていく。出来のいい妹の存在等、ウォングの出演した『君はいい人、チャーリー・ブラウン YOU'RE A GOOD MAN, CHARLIE BROWN』にテイストが似ていなくもない。初日だったせいか途中で進行が滞りかけ、客席にいたウォングから「進めて!」と声がかかる場面もあったが、今日的な楽曲も含め、スピード感のある舞台は魅力があった。
 『タリー』は、カトゥーラス Catullus という古代ローマの詩人の物語。 Catullus = Tully なのだろう。刹那的に詩と(擬似恋?)愛に生きた若者に訪れる皮肉な運命……みたいな感じだと思うのだが、この頃、最高に眠くて(笑)。実は、よく覚えてません(笑)。
 『ダイ・ハード』は、同名映画をサブタイトル通りの人形ミュージカルに仕立てた作品。それも、『アヴェニューQ』に似て、人間と人形との共演。もっとも、スケールは、かなり小さいが。それ以外に『アヴェニューQ』と違うのは、人形の形状が様々で、そのアイディアが豊富なこと。なるほどそれもありか、と驚くほどに。ミュージカルとしてどうこう言う前に、そっちの方が面白かった。
 『バーニス髪を切る』の原作はスコット・フィッツジェラルド F. Scott Fitzgerald が 1920年に書いた短編小説『BERNICE BOBS HER HAIR』(未読。本国では有名らしいですが、訳出されてますか?)。田舎で野放図に育った気のいい女の子バーニスが、街に住む従姉妹の家に居候になって洗練を身につけようとするが、いろいろあって、結局は田舎がいいやと帰っていく話(舞台版は脚色されているかもしれません)。戯画化された登場人物たちも面白いが、とにかくバーニスの個性が魅力的。全体の、のほほんとした雰囲気も含め、よきアメリカの気分横溢。
 『愛みたいな』は、行きずりの出会いから恋愛が始まる“彼”と“彼女”+“愛”と名乗る狂言回し(女優)による舞台。抽象的な恋愛ものなのでドラマとしての掘り下げはイマイチだが、ブロードウェイでは脇で個性を発揮することの多い役者たちが、小さな劇場でピアノ 1台をバックに 3人だけで火花を散らすのは見応えがあった。ま、あれ(1時間 15分)以上の長さだと、飽きたかもしれないが。
 『アンロックド』は、イギリスの詩人アレクサンダー・ポープ Alexander Pope の皮肉な叙事詩『髪盗人 THE RAPE OF THE LOCK』をミュージカルにしたもので、守護天使だか妖精だかが出てきて騒ぎのきっかけを作ったりするあたり、『真夏の夜の夢 A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM』を思わせる雰囲気。滞在最終日最後の演目は、さすがに疲れが出て眠くなり、周りが大笑いの“空騒ぎ”な感じをイマイチつかみきれなかったのが残念。銅像を置く台座状のセットが 3つあり、それを自在に(時には載っている役者ごと)動かして場面転換するアイディアが面白かった。

 さて、今回のブロードウェイ新登場作品は『グリース』 1本。
 94年版(なぜかタイトルの末尾に「!」が付いていた)に続くブロードウェイで 2度目のリヴァイヴァル。半額チケットが出ないなと思っていたら、開幕に向けて主演男女のオーディションを TV番組に仕立てて煽っていたようで(明らかに大当たりオーディション番組『アメリカン・アイドル AMERICAN IDLE』の影響。同番組出身者はブロードウェイにも進出してきている)、劇場は観光客でいっぱいだ。 78年の映画版に則ったと思しきキャスリーン・マーシャル Kathleen Marshall の演出は手堅く、献身的なダンスを要求する振付も力が入っているが、『グリース』『グリース』。 94年版の時にも思ったが、その楽しさの本質はオフのお気楽なパロディ性にあり、わざわざ高いチケットを買ってブロードウェイで観るべき作品ではない。

 “予想していなかった特別な公演”『素晴らしい女性たちが素晴らしき女性ベティ・コムデンを讃える』については、近々アップするつもりですので、しばしご猶予を。単なる出演者リストになるかもしれませんが(笑)。

 次回の渡米予定は 11月。『リトル・マーメイド THE LITTLE MERMAID』『ヤング・フランケンシュタイン YOUNG FRANKENSTEIN』のチケットは、今回の渡米以前に予約済み(笑)。なにしろ、ディズニー関係は売り切れの可能性もありますので。

(10/29/2007)

Copyright ©2007 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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