Hairspray(film) & Curtains' ads @ Virgin Mega Store 7/13/2007

[ゆけむり通信Vol.73]

7/12- 7/17/2007


  • 7月12日19:30
    『ゴーン・ミッシング GONE MISSING』
    BARROW STREET THEATRE 27 Barrow Street
  • 7月13日20:00
    『ジプシー GYPSY』
    CITY CENTER 55th Street between 6th & 7th Avenue
  • 7月14日14:00
    『10ミリオン・マイルズ 10 MILLION MILES』
    ATLANTIC THEATER COMPANY LINDA GROSS THEATER 302 West 45th Street
  • 7月14日20:00
    『セッションズ SESSIONS』
    PETER JAY SHARP THEATRE 416 West 42nd Street
  • 7月15日15:00
    『ザナドゥ XANADU』
    HELEN HAYES THEATRE 240 West 44th Street
  • 7月15日19:30
    『バジュール BAJOUR』
    THEATRE AT ST. PETER'S 619 Lexington Avenue
  • 7月16日19:30
    『連獅子』(平成中村座)
    AVERY FISHER HALL at Lincoln Center
  • 7月17日19:30
    『法界坊』(平成中村座)
    AVERY FISHER HALL at Lincoln Center
* * * * * * * * * *

 一昨年、昨年と 2年続けて夏はロンドンだったのだが、今年は 3年振りに夏のニューヨークを訪れた。理由は 3年前と同じ。平成中村座ニューヨーク公演。同時に、パティ・ルポン Patti LuPone の『ジプシー GYPSY』期間限定公演も観ようという魂胆だ。
 7月も半ばなのに暑さはそれほどでもなく、予報されていた雨も帰国日に少し降っただけ、と、またしても天候には恵まれた。しかしながら、体力の衰えは明らかで、その気になれば観られた、到着日の深夜公演、週が明けての早朝公演はパスしてしまった。残念。

 さて、今回も 1本だけだがブロードウェイに新登場作品があった。『ザナドゥ』。 07-08年シーズンもいよいよ開幕、というわけだ。
 残りは全てオフ・ブロードウェイ。さらに言えば、全てが期間限定公演となっている。

 なにはともあれ、『ザナドゥ』から。
 タイトル曲をはじめとするヒット曲を生み出した、オリヴィア・ニュートン・ジョン Olivia Newton-John 主演の同名ミュージカル映画(1980年)の舞台化。久々の、ある種の“ジュークボックス・ミュージカル”だ。映画版の出来は、伝説のミュージカル俳優ジーン・ケリー Gene Kelly を引っ張り出しておきながら、ご都合主義のストーリーと、それを補うための CG処理のチープさが相まって、かなり凡庸。 2年前に大ヒットした映画版『グリース GREASE』のニュートン・ジョン人気に便乗した作品、と言われてもしかたのないところ。
 にもかかわらず舞台版は、意外にも面白い。なぜなら、凡庸な映画版のご都合主義そのものをパロディとして茶化し、ストーリーは大筋そのままながら、キャラクター設定をコミカルに変えて細かい表現で徹底的にふざけてみせるからだ。しかもキャストは実力派ぞろい(ジーン・ケリーのやった役はトニー・ロバーツ Tony Roberts!)。おかげで、けっこう笑えて楽しめる舞台に仕上がった。最近の好ましからざる傾向に沿った 1幕ものなのが残念だが、まずは一見の価値あり。
 ただし、舞台上の席は物好き以外は避けた方がいい。また、左右の席は見切れるので要注意。

 以下、観た順に。
 『ゴーン・ミッシング』は、現実に根ざした舞台作りを続けているという劇団シヴィリアンズ The Civilians による、ニューヨーカー相手に行なったインタヴューを基にしたレヴュー。揃いのスーツとサングラスで出てくる 6人の役者が、様々なキャラクターを演じ、様々なエピソードが描かれ、それらが交錯しながらニューヨーカーの抱える問題を浮き彫りにしていく。……たぶん(笑)。固有名詞も多く、正直ヒアリングが追いつかない(笑)。断片的には笑わせてもらいました。もちろん、現地の客は大ウケ。ということで(笑)。
 『ジプシー』は、シティ・センターが“アンコールズ! サマー・スターズ”と銘打って始めた、通常の“アンコールズ!”シリーズより長めの、夏の期間限定公演。目玉はもちろん主演のパティ・ルポンで、期待に違わぬ迫力のママ・ローズだったが、ジプシー・ローズ・リー役のローラ・ベナンティ Laura Benanti が娘から女への変身を鮮やかに演じてみせたのも印象に残った。この役って、けっこうむずかしい、と、いつも思う。演出は脚本を書いたアーサー・ローレンツ Arthur Laurents(90歳!)。それにしても、“アンコールズ!”の客はウケすぎ。
 『10ミリオン・マイルズ』は、『春のめざめ SPRING AWAKENING』を作ったアトランティック・シアター・カンパニーの新作。フォーク/カントリー畑のシンガー・ソングライター、パティ・グリフィン Patty Griffin の楽曲を使い(舞台のための書き下ろしがあるのかは未確認)、若い男女の少しばかり苦い“人生の旅”を描く。楽曲が楽曲として独立しすぎている感がなきにしもあらずだが、全体では、味わい深い舞台に仕上がっていた。主役の若い 2人の他に登場する 2人の男女のヴェテラン役者が、多くのキャラクターを演じ分けて見事。
 『セッションズ』は、グループ・セラピーを行なっているセラピストのオフィスが舞台。互いに問題を語り合うことで、それぞれの心を解放していこう、ということか。各人のエピソードの掘り下げがやや足りず、最後にセラピスト自身に起こる問題も、とって付けた印象。シリアスとコメディとのさじ加減で失敗しているのだろう。
 『バジュール』は、ヨーク・シアターが始めた、“アンコールズ!”的なコンサート型リヴァイヴァル・ミュージカル・シリーズの 1作。オリジナルはチタ・リヴェラ Chita Rivera をスターに据えて 1964年にオープン、半年強でクローズしている。ニューヨークを訪れたジプシーをめぐる大騒ぎ。と言っても、こちらに登場するのはローズ・リーではなくホンモノのジプシーたちで、若干のエキゾティシズムが当時の“ウリ”だったか。全体にのんびりしているが、楽曲は楽しいものだった。
 平成中村座 1週間公演の演目は、初日のみ『連獅子』で、以降が『法界坊』『連獅子』の演出には特別なところはなし。力のこもった舞台だった。が、最高額 250ドルってのは、どうなんでしょ(僕は 75ドルの 3階席だが、花道までよく見えた)。『法界坊』は、 3年前の『夏祭浪花鑑』同様、初めに登場人物とあらすじを英語のナレーションで紹介。大詰めの前を若干省略して、その分、最後に勘三郎が何度も早替わりを見せた。また、日本で(コクーン歌舞伎『三人吉三』で)予告していた通り、勘三郎が法界坊の独白的セリフのかなりの部分を英語でやってみせた。そうした変更のあった舞台だが、出来はもちろん悪くない。大半は日本人客だが、明らかにアメリカ人客をも惹きつける勘三郎の奮闘にも感銘を受ける。しかしながら、だ。やはり海外公演のスリルは役者と海外の観客のものであって、頼まれもしないのに日本から観に来るのは筋違いだな、と改めて思ったのも事実。演劇は、そのホームタウンで観るのが一番だと思う。

 次回の渡米予定は 9月。例によって、“ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル NEW YORK MUSICAL THEATRE FESTIVAL(NYMF)”目当て。今回の帰国後プレヴューの始まった『グリース』は、その時に観るでしょう。
 ところで、オリヴィア・ニュートン・ジョン→『グリース』と来れば、ジョン・トラヴォルタ John Travolta。と来れば映画版『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』。公開直前で、上の写真のように街のあちこちで広告を見かけたが、トラヴォルタ、どこ? と事情を知らなきゃ思うはず。さて、出来は?

(7/28/2007)

Copyright ©2007 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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