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[ゆけむり通信Vol.66]

2/15-2/21/2006


  • 2月15日20:00
    『ファニー・ヒル FANNY HILL』
    THEATRE AT ST. PETER'S 619 Lexington Avenue
  • 2月16日20:00
    『リング・オブ・ファイア RING OF FIRE』
    BARRYMORE THEATRE 243 West 47th Street
  • 2月17日20:00
    『パッシング PASSING』
    WOW CAFE THEATER 59-61 East 4th Street
  • 2月18日14:00
    『ライオン・キング THE LION KING』
    NEW AMSTERDAM THEATRE 214 West 42nd Street
  • 2月18日20:00
    『ベルナルダ・アルバ BERNARDA ALBA』
    MITZI E. NEWHOUSE THEATRE at Lincoln Center
  • 2月19日 :00
    『ザ・セヴン THE SEVEN』
    NEW YORK THEATRE WORKSHOP 79 East 4th Street
  • 2月19日20:00
    『パジャマ・ゲーム THE PAJAMA GAME』
    AMERICAN AIRLINE THEATRE 227 West 42nd Street
  • 2月20日20:00
    『「タイトル・オブ・ショウ」 [title of show]』
    VINEYARD THEATRE 108 East 15th Street
  • 2月21日20:00
    『グレイ・ガーデンズ GREY GARDENS』
    PLAYWRIGHTS HORIZONS 416 West 42nd Street
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 結局、終了間際の『スーヴェニール SOUVENIR』観劇を目的とした年末年始渡米は、諸事情により叶わなかった。もっぱら仕事が忙しかったせいなのだが、これはどうにも自分らしくないと、今回は、半ば仕事を放り出してニューヨークへ飛んだ。
 記録的大雪の数日後とあって、各所に残雪があるばかりでなく、改装中ビル脇の簡易アーケード(いつ来ても必ずどこかにある)からはボタボタと雪解け水が落ちる。が、滞在した 1週間は、 2日ほど厳寒の日があったものの、この季節にしては概ね暖かく(暖かいから雪解け水になるわけだが)、さらに、緩めの観劇スケジュールにしたので、公演キャンセルのトラブルに見舞われたりしても(その辺の事情はこちら)さほど問題なく、久しぶりにのんびりした、気分転換には最適の旅になった。

 さて、前回の渡米以降、新たにブロードウェイに登場したミュージカルは、『リング・オブ・ファイア』『パジャマ・ゲーム』の 2本のみ。トニー賞を目指す新作ラッシュは 3月以降の予定だが、一方で、滞在中に『チタ・リヴェラ/ダンサーズ・ライフ Chita Rivera/THE DANCERS' LIFE』『ウーマン・イン・ホワイト THE WOMAN IN WHITE』の 2本が幕を下ろした。これで、『レノン LENNON』『イン・マイ・ライフ IN MY LIFE』(偶然だがレノンのビートルズ時代の曲名だ)と合わせて、すでに 4本の新作がクローズ。なかなかに厳しいブロードウェイの状況ではある。
 ちなみに、『ウーマン・イン・ホワイト』のブロードウェイ版は、役者の出来だけでも観ておこうかとも思ったのだが、あまりにつまらなかったロンドン版の印象ゆえ、結局パスした。

 『リング・オブ・ファイア』は、清濁併せ呑むスケールの大きなカントリー・シンガー(&ソングライター)、ジョニー・キャッシュ Johnny Cash(1932〜2003)のレパートリー楽曲を使った、ある種のレヴューで、はっきりしたストーリーはないが、それでも、キャッシュの歌世界に生きるアメリカ人のドラマが断片的に描かれ、全体としてはキャッシュ自身の人生を想起させる作りになっている(日本でも公開される伝記映画を観ておくと理解の助けにはなる)。最近オフで何本かあった、役者が演奏もし、ミュージシャンが演じもするカントリー系ミュージカルの集大成的側面も面白い。僕は興味深く観たが、おそらくロングランにはならないと思われるので、関心のある方はお早く。
 『パジャマ・ゲーム』(オリジナル初演 1954年)は、ラウンダバウト恒例の期間限定リヴァイヴァル公演。このところ続いた挑戦的演出は影を潜め、徹底した娯楽作になっている。なにしろ、主演のハリー・コニック・ジュニア Harry Connick Jr. が中盤のショウ場面で本業のピアノ弾き語りを披露してしまう大サーヴィス振り。ネタである労使問題に対する切り口が今日にあってはいかにも古いが、これだけ楽しければいいか、という気にはなる。
 今回は(も、か?)オフに充実作が多かった。
 まずは、『ファニー・ヒル』。ポルノグラフィの古典として名高い 18世紀英国同名小説のミュージカル化。時代設定に合わせて楽曲はオペレッタ風味だが、これが魅力的。さらに、原典の大らかな気分を反映したユーモラスな演出が大受け。少人数の達者な役者たちが早替わりで様々な役を演じるのも楽しい。
 『ベルナルダ・アルバ』は、マイケル・ジョン・ラキウザ Michael John LaChiusa(作曲・作詞)の、昨秋の『シー・ホワット・アイ・ウォナ・シー SEE WHAT I WANNA SEE』に続く今シーズン 2本目の新作。でもって場所がリンカーン・センターで演出・振付がグラシエラ・ダニエル Graciela Daniele。と来れば、『ハロー・アゲイン HELLO AGAIN』『マリー・クリスティーン MARIE CHRISTINE』の組み合わせ。フランコ独裁政権時代のスペインで抑圧されて生きる女性たちを描いた今作は、それら 2作以上に重苦しく、厳しい。が、見応え充分。ラキウザ、ダニエルの一連の作品を観てきた人は必見。
 ギリシア悲劇のオイディプスとその息子たちの物語(タイムアウト誌によれば、めったに上演されることのないアイスキュロス作『SEVEN AGAINST THEBES』という作品らしい)をヒップホップ・ミュージカルに仕立てたのが、『ザ・セヴン』。歌唱や演奏やだけでなく、作品全体の思想そのものがヒップホップ。であるがゆえに、語彙的に理解出来ない部分も多々あり、十全に楽しんだとは言いがたいが、活気のある舞台だったのは確か。
 男女 2人ずつの 4人が演じるという典型的なオフ・ブロードウェイ・スタイルの『「タイトル・オブ・ショウ」』は、ミュージカルを作る過程を描いたミュージカル。それも、話が超具体的で、このところ秋に毎年行なわれているニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァルを目指して楽曲作者(志望)と脚本家(志望)が話し合うところから始まって、役者選び、スポンサー探し等々、知っている人ほど笑える“内輪ネタ”満載のバックステージもの。しかも実は、元々 04年の同フェスティヴァル参加作品だったというねじれ方。全体に現在のミュージカル業界批評になっているのが肝で、あくまで内輪だが、面白かった。
 『グレイ・ガーデンズ』は、 JFKの妻だったジャクリーンの従姉妹で、 1度は JFKの兄と婚約していた実在の女性とその母親の葛藤のドラマ。元になった同名の有名なドキュメンタリー映画があるらしい。ブロードウェイかと見紛うばかりの役者を揃えて、さながら演技合戦の様相。装置その他もお金がかかっている力作。苦いが、笑いのまぶし方がうまく、繁栄と没落をくっきりと対比させた構成も見事。
 『パッシング』はオフ・オフのパフォーマンス。若い女性ばかりのカンパニーで、偏見と差別に満ちた世界へのメッセージを、ある種のダンスとセリフとで伝えようとする。生硬な部分がないではないが、それなりの説得力はあった。
 『ライオン・キング』を観るのは 8年ぶり(前回)。なぜ観たかと言うと、ダブル・ブッキングのチケットを引き受けたから。緩いスケジュールならではの選択。が、オーケストラ最前列の通路側という、かつてない良席で観る動物たちは、実に新鮮だった。パフォーマンスも、ロングランの“ダレ”を感じさせず、立派。

 次回はブロードウェイの新作が出揃う 4月の予定。

(3/9/2006)

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