Broadway West @ Duffy Square 11/25/2005

[ゆけむり通信Vol.65]

11/23-11/27/2005


  • 11月23日20:00
    『ジャージー・ボーイズ JERSEY BOYS』
    AUGUST WILSON THEATRE 245 West 52nd Street
  • 11月24日20:00
    『チタ・リヴェラ/ダンサーズ・ライフ Chita Rivera/THE DANCERS' LIFE』
    SCHOENFELD THEATRE 236 West 45th Street
  • 11月25日14:00
    『シンデレラ CINDERELLA』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 11月25日20:00
    『シー・ホワット・アイ・ウォナ・シー SEE WHAT I WANNA SEE』
    ANSPACHER/PUBLIC THEATRE 425 Lafayette Street
  • 11月26日14:00
    『イン・マイ・ライフ IN MY LIFE』
    MUSIC BOX THEATRE 239 West 45th Street
  • 11月26日20:00
    『スウィーニー・トッド SWEENEY TODD』
    EUGENE O'NEILL THEATRE 230 West 49th Street
  • 11月27日15:00
    『カラー・パープル THE COLOR PURPLE』
    BROADWAY THEATRE 1681 Broadway
  • 11月27日19:00
    『ビンゴ BINGO』
    THEATER AT ST. LUKE'S 308 West 46th Street
* * * * * * * * * *

 ノースウェスト直行便廃止に伴い、急遽コンチネンタル便に振り替えたので、初めてのニューアーク空港入りとなった今回のニューヨーク行き。到着が夕方なので夜の公演時間までに宿に入れるかどうか少し心配したが、全くの取り越し苦労。 JFKからのマンハッタン入りに比べるとペンステーションまでの 14ドルの電車賃が高い気がするが、その分、空港から電車の駅に連絡しているエアトレインが無料なので(JFKの場合は 5ドル)、ま、 OKか。ウィークデイは電車の本数も少なくないから、しばらくコンチネンタルを使ってみるのも悪くないかもしれない。

 閑話休題。
 予報ほどの寒さでもなかったホリデイ・シーズン突入のニューヨークで、なにはともあれブロードウェイの新作ミュージカルを観て回った。ニュージャージーの『シンデレラ』、オフの『シー・ホワット・アイ・ウォナ・シー』『ビンゴ』以外の 5本がそれで、最近では珍しくハズレがなかった。もっとも、こちらが期待しすぎていないせいもあるのかもしれないが。

 ブロードウェイの新作の中でチケットの売れ行きが今一番よさそうなのが、『ジャージー・ボーイズ』。数多くのヒット曲を持つヴォーカル・インストゥルメンタル・グループ、フォー・シーズンズ The Four Seasons の伝記ミュージカルで、その結成から今日に到るまでを描く。既成のヒット曲を並べた、いわゆる“ジュークボックス・ミュージカル”の 1つで、別に深みはないが、“準地元”ニュージャージーのイタリア系の“感じ”をギャグを交えながらうまく表現した脚本と、凝りすぎず手際のいい演出とで軽快に見せる。人気の核心は、かなりよく似た歌声(リード・ヴォーカリスト、フランキー・ヴァリ Franky Valli の声は非常に特徴的)と世代を超えて知られた楽曲の魅力か。
 前日にプレヴューが始まったばかりだった『チタ・リヴェラ/ダンサーズ・ライフ』は、『ウエスト・サイド物語 WEST SIDE STORY』で名を上げ、今日に到るまでスター・ダンサーとして現役でやってきたリヴェラの、これまた伝記的舞台だが、こちらは本人が自分で語るという『イレイン・ストリッチ/アット・リヴァティ Elaine Stritch/AT LIBERTY』と同じスタイル。脚本テレンス・マクナリー Terrence McNally、書き下ろし楽曲スティーヴン・フラハーティ Stephen Flaherty (作曲)&リン・アーレンズ Lynn Ahrens(作詞)、演出グラシエラ・ダニエル Graciela Daniele の強力布陣(『ラグタイム RAGTIME』のスタッフたち。ダニエルは振付だったが)でツボを押さえてカッチリと作り上げた。新味はないが、ミュージカル好きを喜ばせる見事なプロたちの仕事。
 入りは悪いが案外面白かったのが、『イン・マイ・ライフ』。設定が『夢から醒めた夢』に似ていなくもないファンタジー風味の作品だが、オペラ好きのおかしな天使を出したのが成功(興行的にではなく質的に)のポイント。シンガー・ソングライターの主人公、ヴォードヴィル好きの“天国の住人”と相まって、ヴァラエティ豊かな楽曲が次々に出てきて楽しい。楽曲・脚本・共同演出を手がけるジョーゼフ・ブルックス Joseph Brooks が自分の書きたい楽曲を思う存分書いたという印象。残念ながら 12月11日のクローズが発表されたが、一見の価値あり。
 楽器演奏も出演者が兼ねる(他に演奏者はいない)という新演出(ジョン・ドイル John Doyle)の『スウィーニー・トッド』。最初から最後まで、大きな納屋のような印象のセットの中だけで演じられるのも異色。早い話、イギリスの地方劇場で演じられたヴァージョンが持ち込まれたということのようだ。難易度の高いソンダイム Stephen Sondheim 作品を、楽器演奏しながら歌い演じる役者には感銘を受けるが、よく考えれば、演奏も兼ねる必然性は実はない。元々はオーケストラを使えない小さなプロダクションの逆転の発想だったのではないだろうか。一杯セットの意味も同様か。ブロードウェイの劇場に置いてみると、妙に“芸術ぶった”演出に見えたのも確か。
 『カラー・パープル』の元は、同名のアリス・ウォーカー Alice Walker のベストセラー小説とスティーヴン・スピルバーグ Steven Spielberg 監督の大ヒット映画化作品。その知名度に頼った安易な舞台化を危惧したが、力作だった。社会的弱者の視点で貫かれた“女の一生”ものだが、強い主張と時に通俗的でもある波乱に富んだストーリーとの混ぜ合わせ具合が絶妙で、第 2幕に求心力がやや弱まりはするが、それでも最後まで観客の心をグイグイ引っぱる。役者もうまく、 3人のコンテンポラリーな作者たちによる楽曲の出来もいい。今のところトニー賞に一番近いかも。
 ネット上でのブロードウェイ・ミュージカル批判が話題を呼んだマイケル・ジョン・ラキウザ Michael John LaChiusa(作曲・作詞)の新作『シー・ホワット・アイ・ウォナ・シー』は、原作を芥川龍之介の「藪の中」としているが、実際には黒澤明による映画化『羅生門』の方が重要な要素となる。第 1幕は、その映画を観たアメリカ人カップルが映画を追体験する展開。ところが、第 2幕で、宗教絡みの全く別の展開となり、とまどう。楽曲の緊迫感はなかなかだが、抽象的にテーマを追いすぎた感あり。
 『ビンゴ』は、賞金のかかったビンゴ大会に通う女性たちの、ある種の友情物語。オフには時折こうした主婦層の友情を扱うミュージカルが登場するが、キャラクター設定等に似通ったところがある。この作品もそうで、まとまってはいるが、楽曲も含め新鮮味はない。サービスで観客参加のビンゴが 2回行なわれるが、その時が一番盛り上がる。
 『シンデレラ』は、ロジャース&ハマースタイン Richard Rogers & Oscar Hammerstein 2 が TV用に書き下ろした、おなじみの作品で、今ではシティ・オペラのレパートリーにもなっている(ジュリー・アンドリューズ July Andrews 主演のオリジナル TV版の DVD発売は昨年の大事件でした)。このガブリエル・バレ Gabriel Barre 演出版は、変身の仕掛けやセットのアイディアなども各地の公演で練り上げたとおぼしい完成度。軽快な運びで、楽しく観た。

 次回は 2月に渡米予定なのだが、今回観られなかった、ミュージカル扱いではないものの歌が重要な要素を占めるという『スーヴェニール SOUVENIR』がその前にクローズするらしく、さて 1月に短期で行くかどうか。今、財布と相談中(笑)。

(12/04/2005)


 『スーヴェニール』のクローズ情報は誤りと判明。失礼しました。

(12/07/2005)


 その後、『スーヴェニール』が 1月 8日でクローズという確かな情報が流れた。さて、どうする(笑)。

(12/27/2005)

Copyright ©2005 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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