The 19th Broadway Flea Market in Shubert Alley 9/25/2005

[ゆけむり通信Vol.64]

9/21-9/25/2005


  • 9月21日20:00
    『レノン LENNON』
    BROADHURST THEATRE 235 West 44th Street
  • 9月22日16:30
    『ビッグ・タイム THE BIG TIME』(NYMF)
    LION THEATRE 410 West 42nd Street
  • 9月22日14:00
    『グレイト・アメリカン・トレイラー・パーク THE GREAT AMERICAN TRAILER PARK』
    DODGER STAGES(STAGE 1) 340 West 50th Street
  • 9月22日23:00
    『パール・ブランズウィック THE PEARL BRUNSWICK』(NYMF)
    UPRIGHT CITIZENS BRIGADE THEATRE 307 West 26th Street
  • 9月23日16:30
    『ユー・マイト・アズ・ウェル・リヴ YOU MIGHT AS WELL LIVE』(NYMF)
    45TH STREET THEATRE 354 West 45th Street
  • 9月23日20:00
    『スウィート・チャリティ SWEET CHARITY』
    AL HIRSCHFELD THEATRE 302 West 45th Street
  • 9月23日23:00
    『アイ・イート・パンダズ・アンド・フレンズ I EAT PANDAS AND FRIENDS』(NYMF)
    UPRIGHT CITIZENS BRIGADE THEATRE 307 West 26th Street
  • 9月24日14:00
    『ドクター・セックス DR. SEX』
    PETER NORTON SPACE 555 West 42nd Street
  • 9月24日17:00
    『ボニーとクライドのバラッド THE BALLAD OF BONNIE AND CLYDE』(NYMF)
    THEATRE AT ST. CLEMENT'S 423 West 46th Street
  • 9月24日20:00
    『ミラクル・ブラザーズ MIRACLE BROTHERS』
    VINEYARD THEATRE 108 Eest 15th Street
  • 9月25日13:00
    『フールズ・イン・ラヴ FOOLS IN LOVE』
    MANHATTAN ENSEMBLE THEATRE 55 Mercer Street
  • 9月25日15:00
    『スラット SLUT』
    AMERICAN THEATRE OF ACTORS 314 West 54th Street
  • 9月25日19:00
    『ワンス・アラウンド・ザ・サン ONCE AROUND THE SUN』
    ZIPPER THEATRE 336 West 37th Street
  • 9月25日22:00
    『リラクタント・ピルグリム RELUCTANT PILGRIM』(NYMF)
    BARROW GROUP ARTS CENTER 312 West 36th Street
* * * * * * * * * *

 破産申告に伴う再建策の一環だろう、ニューヨーク直行便が来月からなくなることになったので、これがノースウェストでの最後の直行便渡紐。長らくお世話になりました。って、向こうのセリフか(笑)。
 ともあれ“ニューヨークの秋”、過ごしやすく、快適だった。

 秋は新作登場の時だが、渡米時点での 05- 06年シーズンのブロードウェイの新作は『レノン』のみ。そんなわけで、今回は、オフ作品と変則開演時間の多い“ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル”参加作品(リストのタイトルの後に NYMFと表示)の数々をメインに、新たな可能性を求めて、もっぱら 8番街より西側を歩き回った。
 この選択の背景には、ブロードウェイのスターたちが出演するイヴェント(到着前の『ブロードウェイ・オン・ブロードウェイ BROADWAY ON BROADWAY』、滞在最終日のハリケーン被害者のための慈善公演、帰国日開催のコンサート形式上演『20世紀号にて ON THE TWENTIETH CENTURY』等)よりオフやオフ・オフの劇場に行く方がワクワクする、という今の気分もある。したがって、クリスティーナ・アップルゲイト Christina Applegate を観逃している『スウィート・チャリティ』の再見もホントは見送りを決めていたのだが、当日チケットを買いに行ったオフの公演(『レッド・ビームズ RED BEAMS』)が売り切れだったので急遽観た。
 しかし、そうした“新しいもの観たさ”の気分とは裏腹に、体力や精神力は確実に衰えてきていているなあ、とも思った。と言うのも、もう少しやる気を出せば、時間的にはあと 2本(いや 3本か。詳細はこちら)は観られたはずだったから。……と、「ゲキもは」の欲望には限りがない。ちなみに、 23日の 13時からは、放送博物館 The Museum of Television & Radio で、やはりニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァルのイヴェントとしてスクリーンで上映された TV版『ワンス・アポン・ア・マットレス ONCE UPON A MATTRESS』を観ているので、あしからず(笑)。

 観た週の土曜日にクローズした『レノン』は、ごぞんじビートルズのジョン・レノンの半生を描いた作品。ジョン役の主演者が 1人いるのではなく、登場する 9人全員が入れ替わり立ち替わりジョンを演じるという、言ってみれば『アイ・ガット・マーマン』のスタイルにしたのは、“そっくりショウ”になるのを防ぐ(と言いつつ 1人激似な役者がいるが)と同時に、語り口に客観性を持たせる、という意味では成功している。が、ジョンがあまり面白い人物に見えないのは痛い。ヨーコ・オノの厳しい監修下(監視下?)にあったのが原因だろう。“最終的にはいい人”として描いては、本質的ロックンローラー、ジョンの魅力は伝わるまい。

 続いて、今回の、ある意味“目玉”だった「NMTF」の作品について。
 最も面白かったのが、『ビッグ・タイム』。アトランティック・シティのクラブで歌う表向き夫婦の歌手カップルが、ひょんなことから国連の船に乗り込み、全世界を破壊しかねない強力な爆弾を持ったテロリストのシージャックに遭う。ところが、東欧だか中東だかのテロリストたちは主義に反してアメリカン・エンターテインメントが大好きで……。という、とんでもない設定の中で、硬く言えば、帝国主義に乗った全世界へのアメリカ文化の浸透と、今日の第三世界からの反撃(テロ)と欧米の平和主義の“ねじれ”を、古い芸人のモノマネまでも交えつつ粋なソング&ダンスで見せていく、意欲的ミュージカル・コメディ。役者もみな芸達者。
 『パール・ブランズウィック』と、同じ劇場で上演された『アイ・イート・パンダズ・アンド・フレンズ』とは、“即興ミュージカル”。作品タイトルは実はどちらも上演グループの名前で、共に 4人組。観客から投げられた“お題”にのっとって、その場で作品を作っていく。絶妙の伴奏をつけていた共通のキーボード奏者は両日共同じ人だったから、何かそういうグループ同士の交流もあるのかもしれない。通常のミュージカルとは別のところに面白さがあるが、舞台の出来(意外にまとまっている)より、そうした文化の裾野の広さに驚いた。
 『ユー・マイト・アズ・ウェル・リヴ』(「生きてる方がまし」とでもいうニュアンスか)は、カレン・メイソン Karen Mason が晩年のドロシー・パーカーをピアノ 1台をバックに演じる渋いソロ・ミュージカル。パーカーの残した文章(詩やコラム)を歌にしているところがミソで、英語に疎い者にも、その魅力が伝わる気がする。
 『ボニーとクライドのバラッド』は、アーサー・ペン Arthur Penn 監督による映画『俺たちに明日はない BONNIE AND CLYDE』で知られる男女カップルのギャングの話。プロのミュージシャンの演技とプロの役者の演奏とが境目なく交わる、音楽と演技が渾然一体となった舞台。最近オフでよく出会うスタイルだが、音楽はみなカントリー系で、いずれの舞台も深い印象を残す。オフのミュージカルの新たな方向性を示すのかも。と言いつつも、最も印象に残ったのは、クライドの兄嫁を演じたヘイディ・ブリッケンスタッフ Heidhi Blickenstaff の歌うオーソドックスな 1曲。久々に出会ったショウストッパーだった。
 『リラクタント・ピルグリム』は、最近では『ウィキッド WICKED』で知られるスティーヴン・シュワルツ Stephen Schwarts の“知られざる楽曲”を集めた小規模なコンサート。演奏の質はともあれ(悪くない)、シュワルツの楽曲に、言ってみれば“未成熟な楽天性”を感じて、疑問を抱いたのも事実。

 さて、以降はオフのあれこれ。
 『グレイト・アメリカン・トレイラー・パーク』は昨年の「NYMF」参加作。 1年を経て、こうしてオフのロングランに移ったわけだ。フロリダの、トレイラー・ハウスを連ねた簡易モーテルに住まう、心に闇を抱えた人たちの、見ようによっては陰惨な人生を、サザン・ロックと呼びたくなるカントリー+リズム・アンド・ブルーズの楽曲に乗せてコミカルに描く快作。これまた芸達者揃い。
 『ドクター・セックス』は、セックスにまつわるスケッチ集かと思いきや、最近映画化もされたキンジー博士の伝記ミュージカルだった。アメリカのピューリタン的タブーに果敢に挑戦して性生活の実態を丹念にリポートした博士の苦闘の半生を、やや古めかしいスタイルのソング&ダンスで軽快に描いた成果は賞賛に値するが、その古めかしいスタイルにひねりがないのでホントに古めかしく感じるのが難点(と思っていたら、これもクローズが決まった)。
 『ミラクル・ブラザーズ』は、ブラジルを舞台にした、神秘性を秘めた面白い作品だったが、こちらに書いた理由で後半を観られず、消化不良。
 『フールズ・イン・ラヴ』は、『真夏の夜の夢 MIDNIGHT SUMMER DREAM』の“子供向け”の翻案“ロックンロール”ミュージカル(音楽的には、ア・カペラのドゥーワップで全編通せば、もっと新鮮だったかも)。観た回は早めのマティネーで、実際に小さな劇場内に子供の観客も多く、彼らを舞台に上げたりする参加型の表現ではあったが、けっこうエグい表現もあり、大人の目で観ても楽しい。役者も個性的で、ことにライアン・ノウルズ Ryan Knowles は強烈。別の舞台でも観てみたい。
 身持ちの悪いことを意味する『スラット』は、ニューヨークに生きる若い男女の不安定な恋愛模様を、少しばかり荒唐無稽に描いた作品。現代の寓話として面白みはあるが、驚きはない。エイズの悩みがないかのような描き方はどうなのだろう。
 『ワンス・アラウンド・ザ・サン』は、けっこうリアルな“ロック・ミュージシャンもの”。ニューヨークの売れないバンドの中心人物だった若者が、スカウトされて西海岸に行き成功する。その裏側には、仲間に対する(結果的な)裏切り、才能はあったが成功はしなかった叔父との確執などがあった。――と、要素を並べてみると、『レント RENT』的意匠の向こうに、きわめてオーソドックスなドラマがあることが見てとれる。いい楽曲がないではないが、あまりに“青春”な表現が、僕などにはもの足りない。

 そして、最後になったが、『スウィート・チャリティ』のアップルゲイト。充分に魅力的で、客を呼べる人ではある。が、踊りに関しては、健闘しているが、やはりダンサーではないと思わざるをえなかった。とは、かなり厳しい目で観た話で、まあ、リヴァイヴァルとしては文句ないでしょう。再見したら細かい工夫もちゃんと見えて、またしても楽しみました。

(10/07/2005)

Copyright ©2005 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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