C.C.@B.B.(really?) on 42nd Street. 4/15/2005

[ゆけむり通信Vol.62]

4/13-4/17/2005


  • 4月13日20:00
    『オール・シュック・アップ ALL SHOOK UP』
    PALACE THEATRE 1564 Broadway
  • 4月14日14:00
    『ベイカーズ・ワイフ THE BAKER'S WIFE』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 4月14日20:00
    『モンティ・パイソンのスパマロット MONTY PYTHON'S SPAMALOT』
    SHUBERT THEATRE 225 West 44th Street
  • 4月15日20:00
    『ライト・イン・ザ・ピアッツァ THE LIGHT IN THE PIAZZA』
    VIVIAN BEAUMONT THEATER at Lincoln Center
  • 4月16日14:00
    『スウィート・チャリティ SWEET CHARITY』
    AL HIRSCHFELD THEATRE 302 West 45th Street
  • 4月16日20:00
    『オルター・ボーイズ ALTAR BOYZ』
    DODGER STAGES(THEATRE 4) 340 West 50th Street
  • 4月17日12:00
    『ルナ/ペンギン LUNA/PENGUIN』
    NEW VICTORY THEATRE 209 West 42nd Street
  • 4月17日15:00
    『チキ・チキ・バン・バン CHITTY CHITTY BANG BANG』
    HILTON THEATRE 213 West 42nd Street
  • 4月17日19:30
    『デッサ・ローズ DESSA ROSE』
    MITZI E. NEWHOUSE THEATRE at Lincoln Center
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 急病人が出て途中アンカレッジに降りたので飛行機が遅れ、初日の夜公演に間に合うかどうか心配になるという一幕はあったものの(結局、余裕で間に合ったが)、到着したニューヨークの天候はさわやかで、こちらの体調もよく、快適に過ごした。
 前回(2月上旬)以降にオープンした(一部プレヴュー中)ブロードウェイの新作は、『オール・シュック・アップ』『モンティ・パイソンのスパマロット』『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』『スウィート・チャリティ』『チキ・チキ・バン・バン』、それに、オフから移った『第25回パットナム郡スペリング競技会 THE 25TH ANNUAL PUTNAM COUNTY SPELLING BEE』の 6本で、これでトニー賞に向けたブロードウェイの新作(リヴァイヴァルの新作を含む)が出揃った。その内、オフで観た『第25回パットナム郡スペリング競技会』以外を今回観て、とりあえず 04- 05年シーズンのブロードウェイ登場作は全て観たことになるが、結論として、決定打のなさで 01- 02年に並ぶシーズンとなった。

 到着日に tktsに駆け込んで、しかも、けっこういい席が回ってきた『オール・シュック・アップ』は、全く期待してなかっただけに、うれしい誤算。エルヴィス・プレスリー Elvis Presley の楽曲を並べた、という趣向からして、 2月に観た『グッド・ヴァイブレイションズ GOOD VIBRATIONS』同様『マ(ン)マ・ミーア! MAMMA MIA!』方式の安易な作品かと思っていたら、さにあらず。意外にもしっかりした脚本。 1950年代のアメリカの田舎町に 1人の男が現れて混乱が巻き起こる、という構造は、細かい部分も含めて『クレイジー・フォー・ユー CRAZY FOR YOU』に似ている。侮るべからず。

 今最もチケット入手困難な作品の 1つになっているのが、アーサー王の物語を扱った『モンティ・パイソンのスパマロット』。“モンティ・パイソンの”と言うだけでわかる人にはわかる、ナンセンスで毒のある作風。現在の人気は、それを知るモンティ・パイソン世代のアメリカ人を呼んでいるからか。『プロデューサーズ THE PRODUCERS』と似た香りがするが、比較すると、残念ながらミュージカルとしての濃度は薄い。役者の“アク”で引っぱる感じがなきにしもあらず。それはそれで楽しいが。

 『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』は、“期待の”楽曲作者アダム・ゲテール Adam Guettel の初のブロードウェイ(と言ってもリンカーン・センターだが)作品。イタリアを訪れたアメリカ人母娘の物語で、映画『旅情 SUMMERTIME』(舞台ミュージカル化タイトル『ワルツが聞こえる? DO I HEAR A WALTZ?』)の変奏かと思いきや、意外な展開に。善人ばかりだが孤独を抱えた人々のシリアスなドラマを、コミカルさを交えた絶妙なタッチで描く。そこにゲテールの豊かな楽曲が絡んで、心に沁みる仕上がり。イタリア人役がイタリア語でしゃべり、歌うという趣向に驚いたが、それも実に効果的だった。

 ボブ・フォッシー Bob Fosse(演出・振付)の 1966年作品のリヴァイヴァル『スウィート・チャリティ』。主演のクリスティーン・アップルゲイト Christine Applegate が地方公演中にケガしたり、プレヴュー開始前に中止のアナウンスが出たりと、なにやらバタバタしていたが、出来は悪くない。アップルゲイト復帰前のプレヴューを支えるチャリティ役は、『シカゴ CHICAGO』で長くロキシー役を務めたシャーロット・ダンボワーズ Charlotte d'Amboise で、見事にハマった彼女が、まず、いい。さらに相手役デニス・オヘア Denis O'Hare(『アサシンズ ASSASSINS』)の個性が光る。フォッシー・スタイルを残しつつ改変を試みたウェイン・シレント Wayne Cilento の振付が最も評価の分かれるところか。僕は楽しんだが。

 ロンドンで観たのでパスしようかとも思った『チキ・チキ・バン・バン』だが、大改変の『キャッツ CATS』の例もあるし、と思い直して劇場へ。結果は、若干華やかになっていたものの、基本的には“お子様向け”ってことで変わらず。ま、お金がかかってるという意味では、今シーズンで最もブロードウェイらしい作品かも。男爵夫人の妖艶さが抑え気味なのは、イギリスとアメリカの成熟(爛熟?)度の違いか。

 ペイパーミルの『ベイカーズ・ワイフ』は、フランスの山中にある小さな村を舞台にした渋い作品。年配の夫と若い妻と若い男、という人間関係のドラマは、フランク・レッサー Frank Loesser の『一番幸福な男 THE MOST HAPPY FELLA』によく似ている。役者が粒ぞろいで、抑えた色調の凝ったセットと相まって、充実感のある舞台を生んでいた。スティーヴン・シュワルツ Stephen Schwartz の楽曲は、歌い上げすぎの面はあるが、シャンソンを意識したと思しい何曲かは、設定にうまくハマって魅力的。

 『オルター・ボーイズ』は、日本で言えばジャニーズ系の 5人組のコンサート、という設定。それも、魂を救う伝道を目的とした。ソウル・センサーという“救われてない魂”の数を感知する、「笑っていいとも!」に出てくるようなカウンター付きの機械が置いてあるのがミソで、コンサート会場の“救われてない魂”をゼロに出来るかどうか、というドラマになっている。 5人の歌と踊りがうまいのは言うまでもないが、それぞれ宗旨が違ったりするキャラクター設定も面白い。が、宗教ネタを楽しめないアメリカ人も当然いて、始まるとすぐに帰った人がいた。そんなことが気にもならない日本人には、逆に、ネタの面白さがホントにはわからないというところもあることはある。

 『ルナ/ペンギン』は、ベルギーの演奏家集団パンタロンの、アニメーション+ナレーション+演奏のショウ。劇場から言っても子供向けなのだろうが、大人の鑑賞にも十分に堪えうる。上質な、生演奏付き動く絵本。

 スティーヴン・フラハーティ Stephen Flaherty(作曲)、リン・アーレンズ Lynn Ahrens(作詞)、グラシエラ・ダニエル Graciela Daniele(演出・振付)という『ラグタイム RAGTIME』のスタッフによるオフの新作が『デッサ・ローズ』。リンカーン・センターと組んだグラシエラ・ダニエルだから、当然“野心作”の系譜で、 19世紀半ばのアメリカ南部を舞台に、逃亡奴隷となった黒人女性と彼女を匿うことになる白人女性の、人種と性差の葛藤を描く――と言うとひたすら重い印象だが、重い中にもユーモアと救いがあり、豊潤な楽曲(歌唱・演奏)によって、素晴らしい舞台に仕上がっている。レイチェル・ヨーク Rachel York(主役の 1人)ってこんなにうまい人だったんだ、と、失礼ながら驚いた。

 観きれなかったオフ作品多数。次回渡米まで続いていてほしい。

(4/20/2005)

Copyright ©2005 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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