Asakusa? No. It's another rainy day in New York City. 7/18/2004

[ゆけむり通信Vol.59]

7/14-7/19/2004


 さほど暑くなく、滞在終盤の雨(雷雨を含む)の予報もハズれ気味で、けっこう快適に過ごしたニューヨーク。
 この時期の渡米を決定させた主な演目は 2つ。
 第 1は、平成中村座のニューヨーク公演『夏祭浪花鑑』。日本でも観たこの舞台をわざわざ観に行ったのは、別にアメリカでどんな反応があるか、といった学術的(?)な関心からではなく、これまでの中村座公演を全て観てきたから、というミーハーな動機による(笑)。
 第 2は、限定公演『フロッグズ』。話題としては、スティーヴン・ソンダイムの旧作改訂ニューヨーク初登場作、ということに一般的にはなるのだと思うが、個人的には、むしろ、『プロデューサーズ THE PRODUCERS』以来のネイサン・レイン主演ミュージカルだってことの方が大きかった。
 ――というリンカーン・センター絡みの 2作を核に、終了間近の『アサシンズ』、カレン・ジエンバ出演のニュージャージー限定公演『ガイズ・アンド・ドールズ』、ビビ・ニューワースのオフ限定公演『ヒア・ライズ・ジェニー』、観逃していた『ミュージカル・オブ・ミュージカルズ』などを事前予約。残りは到着してから決めたのだが、未見作から選ぶのでオフ作品がずらりと並び、どうしてもガツンと来るやつを観たくなって、『キャロライン、あるいはチェンジ』を最後に入れたしだい。

 『夏祭浪花鑑』は、前半を大胆な編集感覚で短縮。その短縮版の芝居に英語のナレーションをかぶせるという日本では考えられない方法で、これまた普通の歌舞伎ではありえない“主要人物紹介”をサクサク済ませて、中盤から後半をじっくり見せる構成。休憩時間が短いこともあるが、 1回の幕間を挟んで約 2時間での上演は、演目史上最短では? そのアイディアには納得したし、ツボは押さえてあって面白くもあったが、観慣れた観客としては日本での上演の方が“濃い”と思った。ま、アメリカ人に見せる公演を頼まれもしないのに日本からわざわざ観に来て、とやかく言うのが野暮なんですが(笑)。
 『フロッグズ』は、多分に哲学的なテーマを、ギャグと凝った装置によるスペクタクルな展開で中和して面白く見せようとする作品。役者がうまいので飽きないが、脚本の“水増し”感はぬぐえない。
 『ガイズ・アンド・ドールズ』は、ネイサン・レインの存在を知らしめた 92年リヴァイヴァル版の改訂版という印象(なにしろオリジナルを知らないので)。なにより楽曲と脚本が素晴らしいことを再認識。役者がそろっていたこともあって、楽しい舞台に仕上がっていた。
 1度は観たいと思いながら、なかなか出会えなかったバーバラ・クックのライヴ。今回の『バーバラ・クックズ・ブロードウェイ!』は、小劇場の親密な空間で名ミュージカル女優の歌と気さくな語りに触れられて、格別の味わい。 
 ビビ・ニューワースがクルト・ヴァイル・ナンバーを歌うショウだと思い込んで観に行った『ヒア・ライズ・ジェニー』。実にその通りなのだが、アン・ラインキング振付のダンスも見せる、男優 3人、ピアニスト 1人が絡んだドラマ仕立ての趣向が、 1幕のミュージカルのよう。観ない手はない。
 『ジャニー・B・ジョーンズ』は、子供たちのための夏の無料公演。 1時間で終わる 1幕ものだが、楽曲も脚本も役者もみんなよく、もう何と言うか、彼我の差を改めて思い知る。
 昨シーズンのドラマ・デスク賞で作品賞の対象になっていたのが『ミュージカル・オブ・ミュージカルズ』。同じプロットを、著名な 5組のミュージカル楽曲作家の作風を真似た楽曲を使って、 5通りに演じてみせるという、『フォービドゥン・ブロードウェイ FORBIDDEN BROADWAY』『タモリ 3』(ごぞんじですか?)を合わせたような趣向は、明らかにマニア向き。面白いが、『キャロライン、あるいはチェンジ』『ウィキッド WICKED』と肩を並べて作品賞候補に挙げるほどだろうか。
 『クッキン』は、来日公演も何度か行なっている韓国の『ナンタ NANTA』のアメリカ上陸版(日本に来た版を観たことがないのだが、おそらく細部が違うと思う)。様々な部分でブルー・マン・グループの『チューブズ TUBES』『ストンプ STOMP』に触発されたとおぼしいアイディアは剽窃寸前だが、吉本新喜劇を思わせる脱力系ギャグが独自の空気を作る。パフォーマンスの精度にやや不満が残った。
 『トキシック・オーディオ』は、日本のラグ・フェアのようにバックの楽器演奏も人声で生み出す、 5人組のア・カペラ・グループのライヴ。なので、音楽の趣味が合わないと楽しめないかも。が、音楽的アイディアに加え、観客を舞台に上げてのユーモラスな趣向やアクロバティックなモノマネ・ダンスなどによる緩急のつけ方がうまく、飽きさせない作りにはなっている。
 最終日に観た『文句たらたら』(意訳!)は、『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』に出ているジャッキー・ホフマンの、“ほとんどスタンダップ・コミック”なライヴ。そこまで言うか、のブロードウェイ裏話的毒舌が炸裂。ホントにブロードウェイに出ている人だけに、“遠吠え”でない過激さが凄みのある笑いを生む。

 実は最終日、ブロードウェイの新作『ドラキュラ DORACURA』のプレヴューが始まる予定で、予約までしてあったのだが、延期に。次に来るまで、やっているかどうか心配。
 別に期待はしていないのだけれど……。

(7/21/2004)

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