[ゆけむり通信Vol.54]

8/1/2003
『アヴェニューQ AVENUE Q』

誰もが少しだけ差別主義者

 ちょっと過激な『セサミ・ストリート SESAMI STREET』。わかりやすく言うと、そういうことか(舞台の両脇に TVモニターがあり、アニメーションが流れたりするのも、『セサミ・ストリート』的アイディアではある)。
 大人気で終盤はソールド・アウトだったオフ公演を思い切りよく打ち上げ、ブロードウェイへと引っ越した今シーズン最初の新作ミュージカル『アヴェニューQ』は、アーニーとバートやクッキー・モンスターを生み出した(追記/これ、誤り。一番下の記述をご覧ください)パペット作家リック・ライオン Rick Lyon の作ったパペット(操り人形)たちと人間とが共演するユニークなミュージカルだ。
 「でも、 TV番組『セサミ・ストリート』で人間とパペットとがやりとりしているシーンを思い浮かべると、パペットはゴミ箱の中や壁の向こうにいて、操作してる人間が見えないようになっているけど、その辺は舞台上ではどうなの?」という疑問には後ほど。
 規模が小さいので、『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』の時のように「トニー賞の筆頭候補」とまでは断言出来ないが、内容的には充分にその資格あり、の必見作だ。

 マンハッタンのダウンタウン、イースト・ヴィレッジの東の方に、 Aから始まるアヴェニューが並ぶアルファベット・アヴェニューと呼ばれる一帯がある。麻薬常習者などがいるので旅行者は行かない方がいいと言われる地域だが、要するに、再開発も進まず、マンハッタンの中では比較的低所得の人々が住んでいるところらしい(まあ、一見、ダウンタウンの他の地域と変わらないが)。ミュージカル・ファンには、『レント RENT』絡みで知られているかも。
 アヴェニューQは、そんな地域を思わせる架空の通りで、このミュージカルは、そこで生きる若者たちの物語、っていうことなのだが、その若者たちの“あり方”ってのが、『レント』の場合はもちろん『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』の場合も超えて、一筋縄ではいかない。どういうことかと言うと……。

 最初に登場するのは、大学を卒業したばかりのプリンストン。卒業はしたものの、これからどうやって生きていけばいいのかわからない。まるで『卒業 THE GRADUATE』の主人公のよう。
 プリンストン(パ/人/男)が住まいを求めてやって来たのが、ボロいアパートメントが立ち並ぶアヴェニューQ。そこで彼が出会うのは、ブライアン(人/人/男)、クリスマス・イヴ(人/人/女)、ロッド(パ/人/男)、ニッキー(パ/人/男)、ケイト(パ/モ/女)、ミセスT(パ/人/女)、トレッキー(パ/モ/男?)、ルーシー(パ/人/女)、そして、大家である(追記/正確には管理人。詳しくは一番下の記述を)ゲイリー・コールマン(人/人/女)といった面々。
 前段落で名前の後に付けたカッコ内の漢字の意味は次の通り。左が“舞台に立っている役者の生態(?)”で、パ=パペットが演じる、人=人間が演じる。中央が“演じられている役の生態”で、人=人間、モ=モンスター。右が“演じられている役の性別”。
 おわかりだろうか。
 まず、最初に書いたように、この舞台には人間とパペットという 2種類の役者が登場する。そして、人間の役者が演じているのは人間だけだが、パペットが演じているのは人間と“モンスター”なのだ。さらに、演じられる役には、人間にもモンスターにも男女の性別がある。付け加えて言うと、カッコ内には書いていないが、人間の演じる役には、ブライアンはユダヤ系、クリスマス・イヴは日系、ゲイリー・コールマンはアフリカ系といった違いがあるし、性別の問題に関しては同性愛の話も登場する。それに、当然ながら経済力の違いもある。
 つまり、登場人物の間には、様々な位相での差異が重層的に存在するのだ(人間かパペットか、という違いは舞台上では意識しては演じられないが、しかし、観客の目にはその違いは最も大きな差異として存在する。当然、そのことは演出の計算の内だろう)。これが、この作品の核心。
 それを象徴するナンバーが、この稿のタイトルにもした「Everyone Is A Little Bit Racist」。ナイーヴな青年としてアヴェニューQにやって来たプリンストンが、住人たちが皮肉を交えながら互いの差異について率直に語る姿に驚いていると、開けっぴろげな性格のクリスマス・イヴ(アン・ハラダ Ann Harada 快演)に率いられてみんなが楽しげに歌いだすのが、この楽曲。
 誰もが少しだけ差別主義者――アヴェニューQの路上でニコニコしながらそう歌われると、確かにそうだなあと、観客である自分も含めて自然に納得してしまう。そんな世界観が、この作品にはある。

 で、改めて、どんな話かというと、世間知らずだったプリンストンが、アヴェニューQ周辺の“いろいろな人たち”との出会い、ことにケイトとの恋愛を通じて大人になっていく、そんな話(脚本/ジェフ・ホイッティ Jeff Whitty)。
 説明になってないでしょうか(笑)。

 ドラマのポイントは、プリンストンが恋に落ちる相手がケイトであるところ。
 ケイトはモンスターなのだが、ほとんど人間と同じに(プリンストンの女性版のようにも)見えるパペット。プリンストンのような人間型パペットと違うのは、よく見ると、髪の毛とは別に皮膚の表面に、皮膚と同じ色ではあるけれども産毛と言うにはいささか濃い毛がびっしりはえていることだけ。この辺、同じモンスターでも、全身が長い毛に覆われているトレッキーとは全く別の“モンスター種”に見える。
 したがって、プリンストンとケイトが惹かれ合うのも、それを周りが盛り立てるのも、登場人物たちはもちろん、観客にとっても自然な成り行きに思える。少なくとも、その辺りまでは、「誰もが少しだけ差別主義者」とかって言いながらも、舞台は和やかな雰囲気で進んでいく。
 しかし、途中から舞台上の空気が微妙に変わる。その境となるのが、 12歳未満にはオススメ出来ない(という注意書きがあるのです)理由だと思われるシーン。プリンストンとケイトのベッド・シーンだ。
 パペット同士のベッド・シーン。それは、ともすれば人間以上に生々しい。その理由はいくつかあるが(例えば、動きが誇張されるから、とか)、最大の理由は、パペットが子供っぽい可愛らしい外見をしていることだろう。セックスをしそうもない姿をした者たちの赤裸々なセックス表現は、ユーモラスであると同時にグロテスクさも含んでいる。ましてや、プリンストンとケイトの場合は、一方が人間、一方がモンスター。“少しだけ差別主義者”であるこちらの頭の中には、“異種交配”という言葉が思わず浮かんでしまう。
 とにかく、このシーン以降、単なる青春ドラマでは終わらない気分が濃厚になる。
 そして登場するのが、セクシーな人間パペット、ルーシー。ブロンドの髪、唇の上のホクロ、クールなナイトクラブ歌手、という設定はペギー・リー Peggy Lee のイメージか。
 このルーシーに、プリンストンはひと目でイカレる。世間知らずの若者としては当然すぎるぐらい当然のことだが、しかし、ケイトは モンスターでルーシーは人間。モンスターの娘を捨てて人間の女に走ったとなると、“少しだけ差別主義者”ってだけじゃ収まりがつかない、やりきれない感じが生まれる。
 以降、貧しいながらも和やかだったアヴェニューQのコミュニティに亀裂が走り始め(表向きストレート同士として仲よく同居していたロッドとニッキーのいさかいも、おかしくて悲しい。ニッキーが「自分は昔ゲイだった」とカミングアウトしたことで、ロッドは自分の内なるゲイに目覚め、それを認めきれずに居候のニッキーを追い出す(追記/こちらも一番下に訂正記述あり)、プリンストンはと言えば、絵に描いたようにルーシーに弄ばれて捨てられてしまう。
 もちろん最後は、住人たちが再び心を寄せ合ってハッピーエンドを迎えるわけだが、それがありきたりの予定調和に見えないのは、そこに到るまでに様々な位相でのぶっちゃけた差別意識の発露があるからで、作者たちが本当に描きたかったのは、むしろそうした世の中にあふれる“さりげない悪意”の数々なのだろう。野暮を承知で言えば、誰もが抱く“さりげない悪意”を自ら認めて克服していかない限り“世界”は変わらない、というのが、この作品に込められた思いなのではないか。だから、一見注文通りのハッピーエンドの向こうには、苦さを乗り越えて生まれる“世界”への希望が見えてくる。

 さて、最初に挙げて説明を保留にしたパペットの操作についてだが、操作する人間はそのまま舞台に姿を現す。つまり、観客にはパペットと共に操作する人間が等身大で見えるわけ。
 で、この人たち、パペットを操作するだけではなく、声=セリフと歌も担当する。さらにパペットを操作して踊らせることを考えれば、まんまミュージカル役者なわけだ。いや、実際パペットの動きにシンクロして踊ってるし、表情の変化はむしろ人間の方が担っているし、間違いなくミュージカル役者として演じている。
 ところで、そうやってメインでパペットを操作するのは 4人。主要登場パペットの数は上記の 7体。その他にも変なクマのカップルとか出てくるのだが、とにかくパペットの数の方が操作する人間の数より圧倒的に多い。ということは、 1人の人間が複数のパペットを操作するわけで、同時に 2体のパペットを扱わなければならない場面も当然出てくる。で、どうするか。他の人間がパペットを持ち替えるのだ。
 この持ち替えが、ちょうど歌舞伎の早替わりのようで、えっ、いつの間に? という絶妙のタイミングによる早業。言ってみれば、 1つの芸になっている。後半には、 2人使いのパペットを含めて多くのパペットが登場するシーンがあり、そこでの持ち替えなど、スリリングですらある。
 さらに複雑なのは、パペットを持ち替えても声の担当は変わらないので、同じ人が複数の役を演じ分ける場面が出てくることだ。
 そんなこんなで、メインで人形を操作するジョン・タータグリア John Tartaglia(プリンストン、ロッド役)、ステファニー・ダーブルーツォウ Stephanie D'Abruzzo(ケイト、ルーシー役、他)、パペット作家のリック・ライオン自身(ニッキー、トレッキー、クマ役、他)、それにジェニファ・バーンハート Jennifer Barnhart(ミセスT、クマ役、他)の“演技”は実に素晴らしい。しかも、 4人ともブロードウェイ・デビューと来るんだから、アメリカ演劇界の層の厚さと、 1人 1人の芸の多彩さ、深さに驚く。この中の何人かは必ずやトニー賞にノミネートされるだろう。

 楽曲作者のロバート・ロペス Robert Lopez とジェフ・マークス Jeff Marx は子供向けのミュージカルを作ってきた人たちらしいが、この作品のアイディアは彼らのもの。そのキャリアが最高の形で生きた舞台になったわけだ。楽曲自体も、先の「Everyone Is A Little Bit Racist」を筆頭に、ひとひねりのある魅力的なものが並ぶ。
 人間とパペットというサイズの異なる登場人物が共存する世界を巧みに見せる装置(アンナ・ルイゾス Anna Louizos)も観どころの 1つ。
 演出/ジェイソン・ムーア Jason Moore、振付/ケン・ロバートソン Ken Robertson。

 ちなみに、プロデューサーの中には、『レント』を手がけたケヴィン・マッカラム Kevin McCollum とジェフリー・セラー Jeffrey Seller、それに、『ティック、ティック…ブーン! tick, tick...BOOM!』のロビン・グッドマン Robyn Goodman がいる。
 とりあえず『ティック、ティック…ブーン!』の段階は超えてブロードウェイまでやって来たが、さて、彼らのねらい通り、『アヴェニューQ』は 2匹目の『レント』となるだろうか。

(10/5/2003)


 上記の観劇記について、 sabretooth さんから掲示板を通じて次のようなご指摘があったので、訂正を含め、追加して記載します。

 [Nikky は「元ゲイ」であるとお書きになっていますが、それはないです。彼はもとから「ストレート」です。 Rod は「隠れゲイ」で Nikky に気があるわけですが、 Nikky はそれを知りつつ、 Rod を「ゲイだっていいじゃん、自分に素直に生きなよ〜」ってな具合にからかい半分に諭すのが“If You are gay”のナンバーです。 Rod はカミング・アウト出来ないのですが、 Nikky への恋心は募るばかりで、ついに夢の中で Nikky をゲイにしてしまいます。それが“A fantasy comes true”のナンバーです。そして、最後に Nikky が Rod をからかうのをやめて、(ゲイではない自分以外の) Date を探してやるのですが、それが自分とそっくりの Ricky であるというのがオチです。しつこくてすみませんが、この部分は誤解したまま作品を観るとまったく話の解釈が違ってしまうのでと思い書かせていただきました。
 これ以外はどうでもいいことなので聞き流してくださって結構ですが、Avenue Q はマンハッタン以外のどこか地区(多分 Brooklyn)にあります。劇中でそれがはっきりといわれている部分はないと思いますが、 NY Times の批評でそう触れられていたこと(連中はこの手のことはめったにミスしない)、最初のアニメで地下鉄が地上駅らしき場所に止まっていることなどから、そう考えて間違いないでしょう。
 ここまで失礼なことを書き連ねてきたので、こうなったら重箱の隅突付きをさせてください。 Gary Coleman はアパートの大家ではなく管理人(Super= Superintendent)です。それから、パペット作家の Rick Lyon は「セサミ・ストリート」のマペットを作り出した Jim Henson のもとで修行し、「セサミ」の製作にかかわっていたのですが、アニーやバートなどを生み出したのは、Lyon ではなく、Henson 自身です。ちなみにパペットを操る 4人のキャストは全員「セサミ」で働いたことがあるようですが、このプロダクションは「セサミ・ストリート」の製作会社とは全く関係がないことをプロデューサー側が強調しています。
 はじめてお邪魔して、あら捜しばかりでごめんなさい。私も事実誤認をそのまま掲示板に書いたことが何度もあります。今回は特に最初のポイントが今後見る方への影響が大きいと思ったので書かせていただきました。]

 ニッキーの件に関しては、「I was gay」と歌う彼の言葉を鵜呑みにしてしまった僕の誤解のようです。ご覧になる際は、その辺、ご注意を。
 ゲイリー・コールマンについては、言い訳を交えて言えば、管理人であることはわかっていたのですが、日本で言うところの管理人とは違い、不動産業者と大家の代理も兼ねているような、店子に対して大きな権限を持っているという意味で、あえて“大家”と書きました。が、まあ、正しくは管理人です(笑)。それよりも、すでに書き換えましたが、「男」ではなく「女」で、これは明らかな誤りでした。失礼。(→さらなる訂正が最下段にあります)
 リック・ライオンについては、僕の調査不足です。彼の公式サイトで、彼が、アーニー&バートやクッキー・モンスターと一緒に写った写真を公開していたので、てっきり彼の創作だと早合点してしまいました。これまた失礼。
 『セサミ・ストリート』とのプロダクション的な関連については、僕も特に強調してませんよね(OK?)。
 もう 1点、アヴェニューQの所在については、確かなことが判明したらご連絡をいただけるように掲示板で sabretooth さんにお願いしましたが、僕の調べた限りでは、ニューヨーク近辺に“アヴェニューQ”は見つけられていません。プレイビルに [Place: an outerborough of New York City] とあることからして、「borough」=ニューヨーク市の行政区(マンハッタン、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズ、リッチモンド)の“とある”外部、すなわち“架空の通り”ということなのではないか、というのが現時点での僕の見解です。

 ともあれ、 sabretooth さん、ありがとうございました。新たな事実が判明しましたら、ぜひ、ご連絡ください。

(10/7/2003)


 「outerborough」(通常の表記は outer-borough か outer borough のようだが)の意味は「マンハッタン以外のニューヨーク市行政区」であることが sabretooth さんのさらなるご指摘によりわかりました。しかし、上記のアヴェニューQ=ブルックリン説の根拠は曖昧なようです。アヴェニューQがブルックリンにあるかないかについては、僕が調べて、確かなことがわかった時点で発表しますので、それまでは保留にしておいてください。
 とりあえず、モデルの有無はともかく、作品としての設定は“架空の通り”ということで間違いないでしょう。

(10/9/2003)


 モデルであるかどうかという問題とは関係なく、アヴェニューQはブルックリンに“あった”ようです。
 まずは、「ゲキもは」仲間のクワストさんが、掲示板に次のような情報をお寄せくださいました。

 [ブルックリンの地図をみたところ、 Avenue P と Avenue R はありますが、 Avenue Q はありませんね。 P と R の間にあるのは Quind Rd とかになってます。だから Avenue Q を選んだことで、架空のストリートを作り上げたのかもしれませんね。]

 それに続く形で、やはり「ゲキもは」の友である雨宮さんが、メールで次のような情報をくださった。

 [その昔、 Avenue Q と呼ばれていた通りが、第一次大戦で戦死した Quentin(Theodore Roosevelt 大統領の末の息子)にちなんで、名称変更されたようですよ。]

 この情報の根拠は、こちらのサイトの情報です。参考文献も明示されているので、信憑性は高そう。
 で、こうなったらと、僕もブルックリンの地図を買って、見てみました。
 アルファベット名のアヴェニューは、ブルックリンの中央やや東寄りにある短い「A」から始まって、ちょっと飛び地しながら、「E」と「G」を抜かして、しだいに南に下っていく。で、かなり南の方に、クワストさんがおっしゃるようにアヴェニュー「P」と「R」があり、その間に、アヴェニューQの代わりに“クエンティン・ロード Quentin Rd”(クワストさん、“Quentin”でした)がある。
 この通りが元々はアヴェニューQだった、というのが、雨宮さんが教えてくださったサイトに書いてある情報です。

 というわけで、ミュージカルの舞台のモデル問題とは関係なく、 an outerborough of New York City の 1つであるブルックリンに、かつては、アヴェニューQと呼ばれる通りが“あった”(らしい)ということで、とりあえずの結論としたいと思います。
 もうすっかりミュージカルから離れてしまってますが(笑)、もちろん、さらなる情報がありましたら、どんどんお送りください。

(10/24/2003)


 昨年 11月の渡米の際、かつてアヴェニューQと呼ばれた(らしい)通り(ただし、何度も言いますが、これ、モデル問題とは別の話)、ブルックリンのクエンティン・ロードまで行ってきました。
 せっかくですので(笑)、写真を載せておきます。

 簡単な訪問記を書いておきますと――。

 乗った地下鉄は奇しくも Qライン。
 今回初めて知ったのですが、この地下鉄、マンハッタンからブルックリンに渡る時に(もちろん逆の時にも)、イースト・リヴァーの下ではなく上を、つまり、地上に出て橋を渡ります。しかも、かなり高いところを。
 渡る橋はマンハッタン・ブリッジ。その時、地下鉄の南側の窓から、間近にブルックリン・ブリッジが見えるんですねえ。
 これが美しい。広い川の上に渡された実に美しい吊り橋。そして、その向こうには、もちろん摩天楼がそびえ……。秋晴れの澄んだ空気の中に広がるパノラマです。
 これ、通勤や通学途上で毎日見てる人もいるわけで、うらやましい限り。もっとも、毎日見てると感動もしなくなるんだろうけど(笑)。
 と、まあ、そうやってブルックリンに入ると、電車は一旦地下に入ります。しばらく地下を走ってから、再び地上に出て、たどり着いたのがキングズ・ハイウェイ Kings Hwy 駅。手前の駅がアヴェニューM、次の駅がアヴェニューU。
 この駅で下りて 1ブロックほど歩くと、クエンティン・ロード……だと地図で見た時には思っていたのですが、階段を降りて改札を出ると、なんと目の前に駅に直角にぶつかる形で延びているのが、当のクエンティン・ロードでした。
 改めて地図を見ると、駅の南側で、地下鉄に沿って延びている通りによって、東から走ってきたクエンティン・ロードは一旦途切れ、少し間を置いてから、また西に延びています。おそらく、その途切れた箇所が、この駅にぶつかっているところなのでしょう。

 降り立ったクエンティン・ロードは、幅 6メートルほどの、両側に街路樹の植わった、のんびりした通りでした。
 建物もあまり高くないので、空が広い。まあ、「のんびりした」という感想は当日が穏やかな晴天だったせいかもしれませんが、駐車している車はそれなりにいるのに、走っている車の数は少なく、駅に向かう通りの割りには人の行き来もほどほどで、かと言って閑静な住宅街という風情でもなく、どことなく下町っぽくもある……。そんな印象の通り。
 近くに、いくつか学校があるらしく、駅では高校生たちの姿が多く見うけられました。ほとんどがヨーロッパ系のようで、一部の女の子たちは、こちらでは珍しく、制服と思われる揃いのスカートをはいていました。

 Qラインをもう少し先まで行くと、ニール・サイモン Neil Simon 作品で知られるブライトン・ビーチ Brighton Beach。行ってみようかと、しばらく迷ったのですが、体調がイマイチだったので、そのまま引き返しました。好奇心が半端で申し訳ない(笑)。
 ともあれ、これで、この話題になんとなくオチがついた形になりました。
 おしまい。

(1/31/2004)


 簡単には終わらない『アヴェニューQ』訂正劇(笑)。
 sutoさんからのご指摘(7/14/2005にメールをいただきました)で、ゲイリー・コールマンは、最初に僕が書き間違えた「男」であることがわかりました。

 ゲイリー・コールマン Gary Coleman は元 TVドラマの人気子役で実在の人物、という設定(と言うか、実在)なのですが、『アヴェニューQ』の舞台では女性が演じていたので、僕は単純に女性だと思い込んでいました。が、よく考えれば、ゲイリーという名前は男性の可能性が非常に高いわけで(笑)、気がつくべきでした。
 sutoさんがメールで教えてくださったことを、そのまま転載させていただくと、次の通り。

 [管理人のゲーリー・コールマンは、Misoppaさんが最初に書かれていたように、女ではなく「男」のようです。
 アメリカで 78年から 86年にかけて放送された TVドラマ『Diff'rent Strokes(邦題:アーノルド坊やは人気者)』の主人公アーノルド・ジャクソンを演じていたのが、ゲーリー・コールマン(1968年生まれ)で、有名子役スター。現在も健在で、 03年にはカリフォルニア知事選に立候補していたとか。
 「IT SUCKSTO BE ME」の中で、「I'm Gary Coleman from TV's Diff'rent Strokes」と歌っていますし、ゲーリー・コールマンが、“What you talkin' 'bout, Willis?”という決め台詞を言いますが、これは「冗談は顔だけにしてよ」という、ドラマの中の有名なセリフのようですね。]

 ご指摘に沿って調べてみると、確かにその通りでした。
 sutoさん、ありがとうございました。

(9/12/2005)

Copyright ©2003-2005 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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