[ゆけむり通信Vol.47]

5/5 & 7/10/2002
『イントゥ・ザ・ウッズ INTO THE WOODS』


テンポは快調、話は単調

 2002年版『イントゥ・ザ・ウッズ』は、 87年オープンの初演版に 1曲の新曲が加えられ、ストーリーも若干改変されている。もちろん書き直した(書き足した)のは初演の楽曲作者(スティーヴン・ソンダイム Stephen Sondheim)と脚本家(ジェイムズ・ラパイン James Lapine)だから、そういう意味では、単純なリヴァイヴァルと言うよりも、改訂版、あるいは決定版と呼べるものなのかもしれない。

 僕が初演の舞台を観たのは、 1989年の 5月 4日のマーティン・ベック劇場。オープンからすでに 1年半が経っていて、“主演”バーナデット・ピータース Bernadette Peters もトニー賞受賞のジョアンナ・グリースン Joanna Gleason もすでに舞台を去っていたが、幸運にもオリジナル・キャストの大半は残っていた。
 その時の観劇記。ゆけむり通信 Vol.4(ウェブサイト未掲載)から(ごく初期の観劇記なので、すごく簡潔です)。

 [踊りはない。よく知られた(と言っても 3つ目の話は僕は知らない) 3つの童話「シンデレラ」「ジャックと豆の木」、それに子種に恵まれないパン屋夫婦の話が、森の中で入り乱れて進む。赤頭巾なんてのも出てくる。スピーディな展開と自己批評性を持ったギャグとで、見る者を飽きさせない。
 全 2幕の第 1幕では、すべてがうまく転がって、みんなハッピーエンドを迎える。ところが第 2幕に入ると一転して、すべてが信じられないくらい悪い方へ悪い方へと向かう。なんたって、人が次から次へと死んでいくんだから。そしてフィナーレで、子供たちに向かって歌われる「Children Will Listen」を聴くころには、人の生き方について考えてしまっている。大いなる寓話ミュージカル。]

 これでは大筋もわかりませんねえ(笑)。
 ともあれ、初演『イントゥ・ザ・ウッズ』は、童話という親しみやすい題材を、 70年代以降のソンダイム(楽曲)作品に共通するシニカルな視線で複合、再構成して、現代に生きる物語としてよみがえらせた、深みのある、かつ楽しいエンターテインメント作品だった(オリジナル・キャストによる舞台を収録したヴィデオ・ソフトが出ています)。
 2002年版は、それを、よりスピーディに、より鮮やかにした、という印象だ。

 改めて、大筋を(笑)。

 子種に恵まれないパン屋夫妻は、隣に住む魔女から魔法の豆の種をもらい、森に入っていくつかの物を手に入れてくれば子供を授けると言われる。いくつかの物――すなわち、真っ白な牛はジャック(かわいがっていた牛を売りに行くように母親から言われ森の中へ)、赤いケープは赤頭巾(おばあさんを訪ねて森の中へ)、金の靴はシンデレラ(ガラスの靴ではなく金の靴を履いて舞踏会へ行くために森の中へ)、亜麻色の髪はラパンツェル(森の中の塔に幽閉されている長い髪の娘)――それぞれが持っている。
 こうして森の中での入り組んだ物語が始まる。
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(4/29/2002)

Copyright ©2002 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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