[ゆけむり通信Vol.35]

8/28/1999
『スワック THWAK』


超安上がりだけどスペクタクル!

 評判を聞きながらも、 5月の渡米時には劇場替わりの休演中で観られなかったオフのパフォーマンス、『スワック』。練り上げられた芸とギャグが炸裂する面白いショウだった。

 アンビリカル・ブラザーズ The Umbilical Brothers(ヘソの緒でつながれた兄弟)と名乗る出演者は 2人。
 「僕、動く人」(デイヴィッド・コリンズ David Collins)、「僕、しゃべる人」(シェイン・ダンダス Shane Dundas)という冒頭の自己紹介に、後に訪れる大混乱のタネが仕込まれているのだが、ともあれ 2人の芸を紹介すると――。
 しゃべる人シェインの芸は、マイクを口に当てて様々なイメージをかきたてる擬音を作り出すこと。わかりやすい例で言うと、目の前をクルマが猛スピードで走り抜ける、とか。言われただけだとわかりにくい例で言うと、犬が爆発する、とか(笑)。
 動く人デイヴィッドの芸は、シェインの擬音に合わせてパントマイムの演技をすること。

 初めの内は、こうした 2人の芸がジャストに噛み合う小気味よさで見せていくのだが、しだいに齟齬が生じるようになる。と言うのも、どうしてもシェインの音にデイヴィッドが“従う”ことになるからだ。「僕、動く人」と半ばヤケ気味に自己紹介したデイヴィッドの屈折は、やがて怒りへと変わり、ついに反逆の時を迎える……。
 と、ここから先は言わぬが花。

 そうした大きなドラマ(?)とは別に、コリンズとダンダスが、おそらくはストリート・パフォーマンスのような段階から、観客の反応を見ながら磨いてきたと思われる細かいギャグが満載で、文字通り抱腹絶倒。
 特に、ちょっとした事件に対する反発がどんどんエスカレートしていき、そこまでやるか、という事態にいたる過激さは、ヘタなアクション映画なんかよりはるかに壮大なスペクタクルを観ている気になって、痛快。
 照明や音響とのコラボレイトも完璧で、スッキリした後味を楽しみたい向きにはオススメの、とてもよく出来たパフォーマンス・ショウだ。

 ところで、ロビーで Tシャツを売っているのだが、柄が 2種類あって、 1つは「UMBILICAL」という文字だけが入ったもの、もう 1つは“ウサギブタ”とでも呼びたくなるパペットの写真が入ったもの。
 開演前に、その“ウサギブタ”の方を買おうとすると、係の女性から「このショウ、観たことあるの?」と訊かれた。「うんにゃ」と答えると、「じゃ、とりあえずこれを売るけど、観終わってもう一方のに替えたくなったら替えたげる」という謎の反応。
 そのココロは? ご自分でお確かめあれ。
 ちなみに僕は、観劇後、“ウサギブタ”はそのままに、文字ヴァージョンを買い足しました。

(10/23/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’ Mizuguchi

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