[ゆけむり通信Vol.32]

1/6/1999
『シカゴ CHICAGO』


ダンス・ミュージカルの厳しさ

 過去の同演目の観劇記は、 1 2 3 4 5 6、でお読みください。

 ニューヨークに行けば必ず観てしまうという、かつての『クレイジー・フォー・ユー CRAZY FOR YOU』状態になってしまった『シカゴ』だが、それはやはり、今のブロードウェイで最高のミュージカルがこの作品だからだ。
 キャストの交替も、今のところは、まずまず高いレヴェルで行なわれている。

 前回からの主要キャストの変更は、弁護士ビリー・フリン役と、リポーター、メアリー・サンシャイン役。前者はブレント・バレット Brent Barrett に、後者は、 96年 5月のシティ・センターでの公演以来(ブロードウェイ開幕時に一瞬抜けたものの)ずっと演じてきた D・サベラ D. Sabella に替わって、 R・ビーン R. Bean。
 ブレント・バレットは、前任のアラン・シックル Alan Thicke がややもの足りなかった分、よく見えた。ただし、この役も、最初のジョエル・グレイ Joel Grey が強烈だったエイモス・ハート役同様、ジェイムズ・ノートン James Naughton、ヒントン・バトル Hinton Battle と続いた重量級役者のイメージが強いので、後続はどうしても気持ちヤワに思えてしまう。
 メアリー・サンシャインの R・ビーンは問題なし。声の美しさは前任者の方に軍配が上がるとは思うが。
 ちなみに、この回のプレイビルで調べてみたら、 96年 5月のシティ・センター公演及び同年 11月からのブロードウェイ公演以来残っているキャストは、ママ・モートン役のマーシャ・ルウィス Marcia Lewis を含めて 7人(アンダースタディは除く)。その内 5人は男性ダンサーだ。

 ところで、この時点でヴェルマを演じていたウテ・レンパー Ute Lemper(ロンドン版オリジナル・キャスト)と前任のビビ・ニューワース Bebe Neuwirth と、どちらが優れているかという論議が交わされているのを掲示板で見たりしたが、前回も書いたように、レンパーの演技は基本的にニューワースの創り上げたキャラクターを模したものだから、この比較はあまり意味がない。
 が、今回久しぶりに前の方の席で観て気づいたのが、レンパーのダンスは微妙にキレが甘いこと。根っからのダンサーである分、ニューワースやロキシー役カレン・ジエンバ Karen Ziemba の方に一日の長があるのは否めない、と思った。もちろん高いレヴェルでの話なのだが。
 これだけ濃密なダンス・ミュージカルの舞台にあっては、例えば、ちょっとした気の緩みさえも目につきかねない。そんな恐ろしさがある。厳しいブロードウェイ作品の中でも、キャストにとっては、ことさら厳しい舞台なのではないだろうか。

 次回は、そのジエンバ=ロキシーの見納め。それ以降も観続けるかどうかは、新たなキャストしだいかもしれない。

(5/1/1999)

この次とその次の『シカゴ』観劇記はこちらを。

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’ Mizuguchi

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