[ゆけむり通信Vol.31]

9/28/1998
『マイ・フェイヴァリット・ブロードウェイ
MY FAVORITE BROADWAY』


ディーヴァの競演

 “MY FAVORITE BROADWAY” Tune を歌うために集まったのは、サブ・タイトルに“THE LEADING LADIES”とあるように(あるんです)ブロードウェイで活躍する(した)主演クラスの女優たち。そんな理由からか、このコンサート、ずっと“BROADWAY DIVAS”と呼ばれていたが、正式には『マイ・フェイヴァリット・ブロードウェイ』というタイトルだった。

 最も名の知られたジュリー・アンドリュース Julie Andrews は司会だけで歌わなかったし、次に有名だと思われるライザ・ミネリ Liza Minnelli は絶不調だったし、今や伝説の域に足を踏み入れつつあるチタ・リヴェラ Chita Rivera はプログラムに名前があったものの欠席(他にベティ・バックリー Betty Buckley やドナ・マーフィ Donna Murphy も直前にキャンセル)。にもかかわらず、見事な歌が次々と披露されて、やっぱブロードウェイはすごいや、と思いましたですよ。なんという層の厚さ!

 登場したディーヴァは 20人。もっとも、その内の 1人はロージー・オドネル Rosie O'Donnell なので、実質 19人だが(笑。ロージーはライザを紹介する形で出てくる)、まず、オリジナル歌手による歌が聴けた楽曲があったので、その歌手名とミュージカル作品名を挙げておく。
 こんな機会、ブロードウェイでも、ありそうで、なかなかないはず。

 初演年の古い順に――。

  • 『フローラ、赤の脅威 FLORA, THE RED MENACE』65年
    ライザ・ミネリ
  • 『カンパニー COMPANY』70年
    イレイン・ストリッチ Elaine Stritch
  • 『コーラスライン A CHORUS LINE』75年
    プリシラ・ロペス Priscilla Lopez
  • 『アニー ANNIE』77年
    アンドレア・マッカードル Andrea McArdle
  • 『エイント・ミスビヘイヴン AIN'T MISBEHAVIN'』78年
    ネル・カーター Nell Carter
  • 『ボールルーム BALLROOM』78年
    ドロシー・ラウドン Dorothy Loudon
  • 『ドリームガールズ DREAMGIRLS』81年
    ジェニファ・ホリデイ Jennifer Holliday
  • 『スティール・ピア STEEL PIER』97年
    デブラ・モンク Debra Monk
  • 『ジキル&ハイド JEKYLL & HYDE』97年
    リンダ・エダー Linda Eder

 範囲をリヴァイヴァルにまで広げれば、

  • 『ガイズ・アンド・ドールズ GUYS AND DOLLS』92年
    フェイス・プリンス Faith Prince
  • 『シカゴ CHICAGO』96年
    ビビ・ニューワース Bebe Neuwirth
 なんてとこまで入ってくる。

 以上で 11人だから、残るディーヴァは 8人(ロージー・オドネルを除く)。アルファベット順に、

  • リー・デラリア Lea Delaria
  • ディ・ホティ Dee Hoty
  • アンナ・ケンドリック Anna Kendrick
  • ジュディ・カーン Judy Kuhn
  • レベッカ・ルーカー Rebecca Luker
  • マーティン・マズィー Martin Mazzie
  • オードラ・マクドナルド Audra McDonald
  • カレン・ジエンバ Karen Ziemba
 という面々。
 彼女たちがそれぞれ 1曲か 2曲ずつ(ただしオードラ・マクドナルドだけは 3曲!)しか歌わないというのも贅沢と言えば贅沢で、にもかかわらずフィナーレには全員顔をそろえるというのもうれしい。

 これだけの実力者がそろった中でトリをとったのがイレイン・ストリッチ。
 歌ったのは「The Ladies Who Lunch」。『カンパニー』のショウストッパーで、そのオリジナル舞台を観ていない者にとっては、同作品のキャスト・アルバム録音ドキュメント・ヴィデオでのドラマティックな収録風景がとりわけ印象深い。
 しかし、あの怒ったようなしゃがれ声はキャロル・チャニング Carol Channing にも負けない唯一無二の個性で、やはりブロードウェイで生きていくには、うまさの上にさらに自分だけの何かがなくてはダメなのだと痛感させられる。今年のトニー賞授賞式のオープニングでも迫力いっぱいの熱唱を聴かせたジェニファ・ホリデイの後であったにもかかわらず、圧倒的な存在感で会場を沸かせ、見事に締めて貫禄十分だった。

 わがカレン・ジエンバは、 1、 2幕とも実質的なオープニング・アクトを務め、“歌”の人たちの中で例外的にダンサーとしても活躍。
 第 1幕では、ごぞんじロキシー・ハートとして登場。ビビ・ニューワースと『シカゴ』のクライマックスを再現してみせた。そして第 2幕では、ラジオ・シティのロケッツ(ホンモノ!)を従えて踊りまくるという華やかさ。堪能しました。

 第 1幕の頭、そのジエンバの前に登場したのが、なんと女装のトニー・ロバーツ Tony Roberts とロバート・モース Robert Morse(モースはプログラムを見てようやくわかった)。女性だけのコンサートに『シュガー SUGAR』の扮装で現れるというシャレたゲスト出演。そして、 2人が歌い終わったところに出てくるのが『ヴィクター/ヴィクトリア VICTOR/VICTORIA』の男装のジュリー・アンドリュースだから、また大受け。
 演出がうまいなあ。

 なお、このコンサートはアメリカでは TV で放映される予定。知り合いがあちらにいる方は早めの対処を(笑)。
 しかし、ライザの声、心配だなあ。

(10/9/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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