[ゆけむり通信Vol.29]

3/18/1998
『ライオン・キング THE LION KING』


ストーリー以外すべてマル

 絶好調ヒット街道ばく進中の『ライオン・キング』。各賞レースではどうやら作品賞からは見放されそうな雰囲気だが、その素晴らしさは2度目の観劇でも色褪せなかった。

 素晴らしさの内容については前回の観劇記をご覧いただくとして、先に触れたニューヨーク演劇界の賞レースで、ドラマ・デスク賞、トニー賞に先駆けて発表されたのがアウター・クリティック・サークル賞。
 ここで、『ライオン・キング』は、ミュージカル演出賞(ジュリー・テイモア Julie Taymor)、振付賞(ガース・フェイガン Garth Fagan)、装置デザイン賞(リチャード・ハドソン Richard Hudson)、衣装デザイン賞(ジュリー・テイモア Julie Taymor)、照明デザイン賞(ドナルド・ホールダー Donald Holder)、それにミュージカル助演女優賞(ツィディ・レ・ロカ、と読むんでしょうか Tsidii Le Loka)の6部門を獲得した。
 ミュージカル作品賞は『ラグタイム RAGTIME』が獲ったのだが、早い話、役者関係以外の賞は全部『ライオン・キング』が獲ったわけで、じゃあ役者がよくないかと言うと、全然そんなことはない。『ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル』で、この舞台を観た市村正親が「役者がやることじゃないね」と発言していたが(スターである彼がそう言いたくなる気持ちはわからないでもないが)、主役クラスからアンサンブルまで要求されているレヴェルは非常に高く、果たして四季がこなせるのかと他人事ながら心配になるほどだ。
 殊に、ダンス、と言うか肉体的パフォーマンス能力は、技術的にも体力的にもモダン・バレエ最前線クラスのものが必要と見る。プラス、アフリカ的発声の歌唱力。『キャッツ CATS』の場合とは次元が違うはずだ(『キャッツ』を貶めてるわけじゃありません)。
 そんなわけで、『ライオン・キング』が作品賞を獲らない理由は役者ではなく、おそらく、大ヒットしたアニメーション映画が元であることに対する演劇世界の反発、あるいは、いまだにくすぶるディズニーへの反感、だろうと思うが、まあ、映画版そのままのストーリーがダメだからそれも致し方ないかもしれない。
 だからと言って『ラグタイム』で OK かと言えば、それはまた別の話(笑)で、これは近々アップする『ラグタイム』の項で触れたい。

 前回、 [今ブロードウェイで最もチケットの取りにくいミュージカルですが、ニューヨーク行きを決めたら、即予約してでも一度ご覧になることをオススメします] と書きましたが、とにかく2、3か月先でも手に入らないというのが現状のようなので、もし今、正月休暇のブロードウェイ行きをなんとなく考えていらっしゃるなら、その時期の予約にトライしてみて、取れたら渡米を決定する、というぐらいの覚悟(笑)でいるのがいいようです。

(5/4/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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