[ゆけむり通信Vol.28]

12/14/1997
『ライオン・キング THE LION KING』


観たことのない素晴らしさ

 [UNLIKE ANYTHING BROADWAY HAS EVER SEEN!]
 下の方に載せた劇場前の写真に写っているビルボードのコピーはデイリー・ニューズに載った劇評の一部のようだが、この文句に偽りなし。『ライオン・キング』は、これまで観たこともない素晴らしさに満ちている。

 その素晴らしさの多くは、演出・衣装デザイン・仮面 &人形デザイン(共同)を担当したジュリー・テイモア Julie Taymor の才能に依っている。
 オープニング・ナンバー「Circle of Life」に乗って次々に現れる動物たちのデザインのアイディア、美しさ、動きの見事さ。
 『キャッツ CATS』でもなければ『美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST』でもない。象徴的な仮面、文楽を意識したような操り人形的なもの、役者が入ってはいるが着ぐるみとはひと味違うコスチューム、など様々なスタイルで巧みに表された動物たち。が、そこには必ず役者の存在があり、例えば動物が踊る時、役者は役者として踊っているという驚くべき動きを見せる。

 主観的にはこの部分がこの作品の魅力の90パーセントを占めるが、実際には、音楽、装置、照明、振付なども充実している。
 特に、エルトン・ジョン Elton John、ティム・ライス Tim Rice の映画版部分に加えて新たに書かれた楽曲のアフリカ的部分を担当したレボ・M Lebo M は、コーラス・アレンジなども含めて見事な成果を上げている。面白いことに、彼はアンサンブルで出演もしている。
 装置(リチャード・ハドソン Richard Hudson)と照明(ドナルド・ホールダー Donald Holder)の特に印象的な場面は、主人公シンバの前に亡父ムファサの霊が現れるところ(「ハムレット」か?)。ネタは明かさないが、オオッ!と思う。
 振付のガース・フェイガン Garth Fagan はアルヴィン・エイリーのカンパニーなどに振り付けたこともある人で、躍動的で力強い動きを見せる。一番感心したのは、駆けていく鹿かな。

 あ、ストーリー、省いちゃいましたが、ご存知ですよね。映画のまんまです。
 これ、『ジャングル大帝』の剽窃とよく言われますが、大筋はむしろ、やはり手塚治虫がストーリーを手がけた東映動画の長編アニメ『わんわん忠臣蔵』に近いと思うんですが。と言うことは、「黄金丸」っていうそれ以前の話がある、なんてのはこの際いいか。
 ちなみに、僕は映画版は好きではない。映画版だけで言えば『美女と野獣』の方がはるかに出来がいい。舞台版ではそれが逆転するわけで、『ライオン・キング』舞台版の面白さは、ストーリーのつまらなさを乗り越えてます。

 今ブロードウェイで最もチケットの取りにくいミュージカルですが、ニューヨーク行きを決めたら、即予約してでも一度ご覧になることをオススメします。
 なにしろ、観なくちゃわかんないから、こればっかりは。

(2/14/1998)

※次回の観劇記はこちら

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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