[ゆけむり通信Vol.24]

1/ 8/1997
『アイ・ラヴ・ユー、ユア・パーフェクト、ナウ・チェンジ I LOVE YOU, YOU'RE PERFECT, NOW CHANGE』
1/10/1997
『ホェン・ピッグズ・フライ WHEN PIGS FLY』


空飛ぶブタは美しい

 オフで2つ、違ったタイプのレヴュー形式ミュージカルを観た。

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  『アイ・ラヴ・ユー、ユア・パーフェクト、ナウ・チェンジ』は、夫婦の半生を綴った2人ミュージカル『結婚物語 I DO! I DO!』の前哨戦的内容。男女の結婚に到るまでの意識のすれ違いを、歌入りのスケッチとして描いている。

 男女2人ずつが演じるが、スケッチはそれぞれ独立していて、役柄もそのたびに違う。一応、出会いから結婚までが時間軸に沿って描かれるが、一貫したストーリーがあるわけではない。
 言ってみれば音楽入りコント集のようなもの。
 だから、気楽に観ていられるかわりに気分が盛り上がっていくこともない。
 楽曲も決定打に欠け、切り口も常識的なので、役者の熱演の割には物足りなさが残った。

 脚本・作詞ジョー・ディピートロ Joe DiPietro、作曲ジミー・ロバーツ Jimmy Roberts、演出ジョエル・ビショッフ Joel Bishoff。

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 ハワード・クラブトゥリー Howard Crabtree、マーク・ウォルドロップ Mark Waldropの発案による『ホェン・ピッグズ・フライ』は、ある種のバックステージもの。

 少年ハワードの夢は舞台でスポットライトを浴びることだったが、教師からは、そんなことが実現したらブタが空を飛ぶわよ、と嘲笑される。
 が、風変わりなゲイの男たちと一緒に舞台に立ったハワードは、見事にショウを成功させ、ブタも空を飛ぶ。

 導入部こそハワードの回想があるが、後は彼らの舞台の表裏、一部始終を同時進行で見せるという趣向。
 ドタバタの背景に、ショウ・ビジネスに生きる人々の悲哀と情熱もギャグに混入する形で描かれ、大笑いしているうちにジーンと来たりもする、なかなかの仕上がり。

 なにより、ショウ場面がしっかり作られているのがいい。

 奇抜にして美しい衣装(ハワード・クラブトゥリー)が次々に登場するのがショウの目玉でもあるが、それらに彩られた5人の男たちが歌に踊りにそれぞれ個性を発揮。達者なところを見せて楽しませてくれる。この役者の層の厚さ!
 中でも、ハワード役のマイケル・ウェスト Michael Westには特有の華があり、目が離せない感じがした。

 楽曲(作曲ディック・ギャラガー Dick Gallagher、作詞マーク・ウォルドロップ)も、曲想が豊かで楽しい。残念ながら歌詞の面白さはつかまえきれなかったが。

 ハワード・クラブトゥリーは、昨年6月、このショウのオープンを2か月後に控えて亡くなっている。その5日前に全ての衣装デザインを終えたという。享年41歳。

(4/29/1997)

Copyright ©1997 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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