Paper Mill Playhouse 4/5/20178

[ゆけむり通信Vol.136]

3/31-4/6/2018


  • 3月31日13:00
    『コジ・ファン・トゥッテ COSI fAN TUTTE』
    METROPOLITAN OPERA HOUSE 30 Lincoln Center Plaza
  • 3月31日19:00
    『オールド・ストック~ある難民のラヴ・ストーリー~ OLD STOCK:A Refugee Love Story』
    59E59(Theater A) 59 East 59th Street
  • 4月 1日15:00
    『ゴールドステイン GOLDSTEIN』
    ACTORS TEMPLE THEATRE 339 West 47th Street
  • 4月 1日20:00
    『ミス・ユー・ライク・ヘル MISS YOU LIKE HELL』
    NEWMAN THEATER/PUBLIC THEATER 425 Lafayette Street
  • 4月 2日20:00
    『サマー~ドナ・サマー・ミュージカル~ SUMMER:The Donna Summer Musical』
    LUNT-FONTANNE THEATRE 205 West 46th Street
  • 4月 3日14:00
    『回転木馬 CAROUSEL』
    IMPERIAL THEATRE 249 West 45th Street
  • 4月 3日20:00
    『ミーン・ガールズ MEAN GIRLS』
    AUGUST WILSON THEATRE 245 West 52nd Street
  • 4月 4日13:30
    『スティング THE STING』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 4月 4日19:00
    『千の夜と一日 ONE THOUSAND NIGHTS AND ONE DAY』
    MEZZANINE THEATRE/A.R.T. NEW YORK THEATRES 502 West 53th Street
  • 4月 5日20:00
    『マイ・フェア・レディ MY FAIR LADY』
    VIVIAN BEAUMOUNT THEATRE 150 West 65th Street
* * * * * * * * * *

 とりあえず、作品リストのみアップ。

(4/29/2018)


 『サマー~ザ・ドナ・サマー・ミュージカル』は“ディスコの女王”ドナ・サマーのバイオグラフィ的ミュージカル。
 3人のドナが登場。狂言回し的役割と歌い上げ系歌唱を担うディーヴァ・ドナが、『カラー・パープル THE COLOR PURPLE』初演版でトニー賞主演女優賞を獲ったラシャンズ LaChanze。文字通りディスコ・ナンバーを歌い踊るディスコ・ドナが、『ブロンクス物語 A BRONX TALE:The Musical』のヒロインをオリジナル・キャストで務めたアリアナ・デボーズ Ariana DeBose。少女時代のダックリング・ドナが、ブロードウェイ・デビューのストーム・リーヴァー Storm Lever。それぞれに持ち味を生かして好演。ことにラシャンズの歌の存在は大きい。
 概ね時系列に沿いながらも、ときおり時空を行ったり来たりする構成で、様々なハラスメントに見舞われながらも力強く生きたドナ・サマーの姿が浮かび上がる。アンサンブルの大半が女性という辺りからも、この作品の視点の置き所がわかる。
 演出は大がかりな装置好きのデス・マカナフ Des McAnuff。プレヴュー開始から間もない時期だったので、上演前にマカナフがマイクを持って挨拶に出てきた時には、また装置の故障か?と思った(笑)。今回はステージのあちこちを上下させてメリハリを付ける。まとめる手際がよすぎて全1幕100分は物足りない。

 『回転木馬』の感想はこちら

 『ミーン・ガールズ』は同名映画の舞台ミュージカル化。元になった2004年の映画がカルト人気を得て2011年にテレビで『ミーン・ガールズ2 MEAN GIRLS 2』が作られた、とウィキペディアにある。そんなこともあってか、ハイティーンから30代ぐらいの女性グループ客多し。
 アフリカで育ったヒロインがアメリカに戻ってハイスクールに転校、女王様的グループとあれこれある中で友情を育てたり裏切ったりという話は、過去に同工異曲が少なからずあったが、複数の脇キャラクターが面白く描かれていて、そこが魅力。
 楽曲は、やはり女子が主人公の学園もの映画の舞台ミュージカル化『キューティ・ブロンド LEGALLY BRONDE』の作曲・作詞を共同で手がけたニール・ベンジャミン Nell Benjamin が作詞、作曲は映画版から続けての脚本家ティナ・フェイ Tina Fey の夫で、主にテレビ畑で仕事をしてきたジェフ・リッチモンド Jeff Richmond という布陣。傑出したナンバーはないがノリはいい、という学園ミュージカルとしては平均点の出来。演出は『ブック・オブ・モルモン THE BOOK OF MORMON』『アラジン ALADDIN』のケイシー・ニコロウ Casey Nicholaw。

 今回の『マイ・フェア・レディ』、もちろんミュージカルとして上演されているのだが、印象はほとんどストレート・プレイだと思った。その趣向が、かえって作品の魅力を際立たせることになっているのが面白い。
 ほとんどストレート・プレイだと感じる理由はショウ場面の演出にある。歌って踊っても弾けない。弾けるのは、イライザの父親アルフレッドのナンバー、それに、イライザに横恋慕する若者フレディの「On The Street Where You Live」ぐらい。メインの2人、イライザとヒギンズのナンバーは、けっして弾けない。
 ことにイライザ。演ずるはローレン・アンブローズ Lauren Ambrose。過去の舞台の出演作はいずれもストレート・プレイで、ミュージカルに出るのは高校時代の『オクラホマ! OKLAHOMA!』以来だそうが、実はオペラ歌手としての教育を受けているし、小さなクラブで歌っている映像もネットに上がっている。にもかかわらず、今回の『マイ・フェア・レディ』では、私歌えます!的には歌わない。
 ヒギンズの歌が、歌うというよりは語る方向にあるのは、初演のレックス・ハリスン Rex Harrison 以来の伝統で、今回のハリー・ハーデン=ペイトン Harry Hadden-Paton もセリフの流れの中で語るように歌う。アンブローズ版イライザの歌い方は、それに呼応するかのようだ。例えば、韻を踏んだ発音練習が歌になっていくことで有名な「The Rain In Spain」にしても、イライザの喜びが爆発するはずの「I Could Have Danced All Night」にしても、はしゃいだ感じにはならない。劇中の現実から逸脱しない。
 そうすることで表現しようとしているのは、おそらく、イライザの誇り高い精神。コヴェント・ガーデンの挑戦的な花売り娘イライザとヒギンズに最後通告を突きつける淑女然としたイライザは一貫している。ヒギンズの手を借りはしたものの、自分の意思で洗練と教養を身に着けた独立した人間。その分、孤独だが、彼女はそれを克服していくだろう。そんな感じ。早い話、原作であるバーナード・ショー George Bernard Shaw の戯曲『ピグマリオン PYGMALION』の元々のイメージに沿った解釈を採ったということだと思うが、そこに、2018年ニューヨークの空気感がある。
 演出はバートレット・シェール Bartlett Sher。ヴィヴィアン・ボーモント劇場@リンカーン・センターでのミュージカル・リヴァイヴァルは、『南太平洋 SOUTH PACIFIC』『王様と私 THE KING AND I』に次いで3作目。大がかりな装置(マイケル・イヤーガン Michael Yeargan)を丁寧に使って、落ち着いてはいるが贅沢な気分の舞台に仕上げるのは今作にも共通するところ。シニカルな人間観も共通か。

(5/3/2018)


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