St.James Theatre 3/3/2018

[ゆけむり通信Vol.135]

2/27-3/4/2017


  • 2月27日20:00
    『エスケイプ・トゥ・マルガリータヴィル ESCAPE TO MARGARITAVILLE』
    MARQUIS THEATRE 210 West 46th Street
  • 2月28日14:00
    『ハーヴェイ・ミルクへの手紙 A LETTER TO HARVEY MILK』
    ACORN THEATRE@THEATRE ROW 410 West 42nd Street
  • 2月28日19:30
    『エニシング・ゴーズ ANYTHING GOES』
    LION THEATRE@THEATRE ROW 410 West 42nd Street
  • 3月 1日14:30
    『地下鉄は眠るため SUBWAYS ARE FOR SLEEPING』
    YORK THEATRE/Theater at St.Peter's 619 Lexington Avenue
  • 3月 1日20:00
    『回転木馬 CAROUSEL』
    IMPERIAL THEATRE 249 West 45th Street
  • 3月 2日20:00
    『アナと雪の女王 FROZEN』
    ST.JAMES THEATRE 246 West 44th Street
  • 3月 3日20:00
    『セミラーミデ SEMIRAMIDE』
    METROPOLITAN OPERA HOUSE 30 Lincoln Center Plaza
  • 3月 4日15:00
    『ハロー、ドリー! HELLO, DOLLY!』
    SHUBERT THEATRE 225 West 44th Street
  • 3月 4日19:00
    『ブラック・ライト BLACK LIGHT』
    JOE'S PUB at PUBLIC THEATER 425 Lafayette Street
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 とりあえず、作品リストのみアップ。

(4/29/2018)


 『エスケイプ・トゥ・マルガリータヴィル』は、日本では想像できないほど現地で人気の高いシンガー・ソングライター、ジミー・バフェットの既成楽曲を使った作品で、バフェットの世界観に寄り添った南国楽園志向のオリジナル・ストーリーが書き下ろされている(脚本グレッグ・ガルシア Greg Garcia &マイク・オマリー Mike O'Malley)。ざっくり言うと、カリブ海の小島にあるマルガリータヴィルというバーを起点に繰り広げられる大人の恋愛物語。
 上演されているマーキーズ劇場はマリオット・マーキーズ・ホテルの2階にあるのが特徴で、そのせいか、娯楽性の強い、ラスヴェガスで上演されてもいいような作品がラインナップされることが多いが、この作品も気分的にはその路線。軽いシングアロング状態となることもしばしば。トニー賞には完全に無視されたが、面白くないわけじゃない。
 演出は『カム・フロム・アウェイ COME FROM AWAY』のクリストファ・アシュレイ Christopher Ashley。南国的音楽、火山の爆発、といった要素が昨年11月にプレヴューを開始した『スポンジ・ボブ SPONGEBOB SQUAREPANTS』と共通する偶然は、後で「なるほど」と思うような時代的必然があるのだろうか。

 作者たちは新たなオペラを書くつもりだったのだな、と改めて思い知らされて新鮮だったのが今回の『回転木馬』
 舞台は19世紀末のメイン州。遊園地の回転木馬の客寄せビリーと、女工ジュリーは、出会って惹かれ合ったがゆえに互いに職を失う。結婚してジュリーのいとこネッティの保養所に身を寄せるが、未だ職にあぶれているビリーはジュリーに冷たく接するようになる。ここでジュリーがビリーにぶたれた話が出てきて、後に娘に会いに行ったビリーが焦れて娘の手をはたく伏線となる。このDVネタは原作戯曲『リリオム LILIOM』から引き継がれて重要なファクターとなっているようだ。そんなビリーだが、ジュリーの妊娠を知り、生活を好転させようと悪友の誘いに乗って強盗を働くも失敗し、自ら命を絶つ。生前の善行が足りないので天国に入れないビリーは、天国の案内人から善行のチャンスを与えられ、成長した娘に会いに行く。亡き父の悪行のせいで除け者にされている娘を励まそうと、父親の友人だと偽って近づくビリーだが、前述したように焦って手をはたき、逃げられる。だが、娘に話を聞いたジュリーは、それがビリーだったことを確信し、彼の気持ちを理解する。ラスト・シーンは娘のハイスクールの卒業式。見守るビリー。天国の案内人そっくりの校長が現れ、送辞を述べる。その挨拶は明らかにビリーの娘に対する励ましの言葉だった。
 この内容、不良青年が道を誤るが、死して後、家族愛に目覚める、という改心のドラマと理解できなくもないが、話として面白いか? と、ずっと思っていた。
 それが今回、スッと心に入ってきた。理由は、人生の過酷さを指し示す神話的な物語であるかのように感じさせる、ある種の厳しい視線でもって演出されたこと。それが時代を超える普遍性を生み出した。メイン・ヴィジュアルに使われている古代の星座や神話をイメージさせる絵も、そこに一役買っている。
 同時に、凝りすぎず、楽曲とダンスの質の高さでシンプルに運ぼうとする演出により、オペラに匹敵する斬新で力強い舞台を作ろうとした初演スタッフ=リチャード・ロジャーズ Richard Rodgers(作曲)×オスカー・ハマースタイン二世 Oscar Hammerstein II(作詞・脚本)×アグネス・デ・ミル Agnes De Mille(振付)たちの創作意欲がまっすぐに伝わってきた。文字通り“蘇る(revive)”というべき生々しい感触があるリヴァイヴァルだ。
 演出は『ヘアスプレイ HAIRSPRAY』のジャック・オブライエン Jack O'Brien。素晴らしい振付はニューヨーク・シティ・バレエのジャスティン・ペック Justin Peck。
 役者も見事。ビリー役は『シャッフル・アロング SHUFFLE ALONG, OR THE MAKING OF THE MUSICAL SENSATION OF 1921 AND ALL THAT FOLLOWED』のジョシュア・ヘンリー Joshua Henry。ジュリー役は『ビューティフル BEAUTIFUL The Carole King Musical』『ウェイトレス WAITRESS』に続いてまたまたダメ男と結婚することになったジェシー・ミューラー Jessie Mueller。ジュリーのいとこネッティ役がMETの歌姫ルネ・フレミング Renée Fleming。彼女の「You'll Never Walk Alone」は必聴。もう1人、ジュリーの親友キャリー役がリンゼイ・メンデズ Lindsay Mendez。こんなに歌える人だったとは。

 『アナと雪の女王』は大ヒット同名映画の舞台ミュージカル化。
 大がかりになるのかと思いきや、『美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST』並みの規模の装置による、コンパクトにまとまった舞台に留まった。おそらく、国内ツアーはもとより世界各地での上演が容易になるように配慮したものと思われる。驚きを期待すると肩すかしを食うが、ファミリー・ミュージカルとしては充分に楽しめる。映画版以上にフェミニズム色が強くなった印象。
 映画版の楽曲作者クリステン・アンダーソン=ロペス Kristen Anderson-Lopez &ロバート・ロペス Robert Lopez 夫妻が舞台版のために2曲書き下ろしている。ちなみに、ロバート・ロペスは『アヴェニューQ AVENUE Q』『ブック・オブ・モルモン THE BOOK OF MORMON』の楽曲作者の1人。この夫婦コンビは映画『リメンバー・ミー COCO』のテーマ曲も手がけている。

 以上、第2次アップでした。

(5/3/2018)


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