Musicals' ads at 53rd St. bet. 7th & 8th Ave. 9/25/2016

[ゆけむり通信Vol.125]

9/21-9/25/2016


  • 9月21日20:00
    『ミスド・コネクションズ MISSED CONNECTIONS:A Craigslist Musical』
    NEW OHIO THEATRE 154 Christopher Street
  • 9月22日14:30
    『アメリカ人になる方法 HOW TO BE AN AMERICAN』
    YORK THEATRE(Theater at St.Peter's) 619 Lexington Avenue
  • 9月22日19:00
    『フィオレロ! FIORELLO!』
    EAST 13TH STREET THEATER 136 East 13th Street
  • 9月23日20:00
    『フロント・ページ THE FRONT PAGE』
    BROADHURST THEATRE 235 West 44th Street
  • 9月24日14:00
    『マリー・アンド・ロゼッタ MARIE AND ROSETTA』
    LINDA GROSS THEATER 336 West 20th Street
  • 9月25日14:00
    『ホリデイ・イン HOLIDAY INN』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 9月25日19:00
    『マエストロ MAESTRO』
    59E59 THEATRE 59 East 59th Street
  • 9月25日21:30
    『ストーリー・ソングズ/ベティ・バックリー STORY SONGS/Betty Buckley』
    JOE'S PUB at PUBLIC THEATER 425 Lafayette Street
* * * * * * * * * *

 元々は9月23日のアリサ・フランクリン@ラジオ・シティを観るつもりで予定したニューヨーク行きだったが、彼女の体調不良のため公演はあえなくキャンセルに。とはいえ、行けば行ったで観るものは山ほどあるので、結果オーライ。
 では、感想を観た順に。

 『ミスド・コネクションズ』はミスタードーナツの話ではない(ハイハイ)。サブタイトルにある“Craigslist”とは、クレイグ・ニューマークが始めた情報交換サイトで、元々はサンフランシスコのローカルなものだったが、合衆国内のみならず世界的に広がっているらしい。中心となるのは求人や不動産情報だという。利便性は高いが問題もいろいろあるわけで、その辺がネタになる。
 が、少人数でキャラクターが固定されず(男女3人ずつの役者が、それぞれ男1~3、女1~3という具合な役名で複数の役を演じる)、簡素なセットをバックに、ほぼ会話だけで話が進むので、到着したばかりの異邦人としては眠くなるばかり(笑)。申し訳ないが、真価を把握できなかった。

 『アメリカ人になる方法』と次の『フィオレロ!』が政治家ネタなのは、時代が要請する、ある種のシンクロニシティか。しかも、それぞれの中心人物の動きが、時代こそズレているが敵対し合う関係にあった、というオマケも付いている。
 『アメリカ人になる方法』の主人公はジョージ・ワシントン・プランキット George Washington Plunkitt という政治家。ご存知だろうか。僕は全く知らなかったが、19世紀後半のニューヨーク州の政治家で、土地ころがしで儲けたような、ちょっと胡散臭いところもある人物のよう。その“もう1人の”ジョージ・ワシントンが、移民たちに向かって、どうすればアメリカ人になれるかを説く演説会を催している、という設定。移民居住地区を票田としたタマニー・ホール Tammany Hall と称する票固め組織の勃興期のようだ。そこに反対勢力が押しかけたり、というドラマもあり、どこかトランプ騒ぎを思わせないでもない。根底のところで変わらないアメリカの本質を見る気分。
 ともあれ、ミュージカルとしては、ジョージ・M・コーハン George M. Cohan の「Yankee Doodle Dandy」他、20世紀初頭を中心にした、当時の、ある種のキャンペーン・ソングが使われているのが面白いところ。全体に作りが若干緩いが、興味深く観た。

 『フィオレロ!』の主人公は、今も空港にその名を残す、かつてのニューヨーク市長フィオレロ・ヘンリー・ラ・ガーディア Fiorello Henry La Guardia。初演は1959年秋から約2年間ブロードウェイでロングランしている。作曲ジェリー・ボック Jerry Bock、作詞シェルドン・ハーニック Sheldon Harnick、脚本ジェローム・ワイドマン&ジョージ・アボット Jerome Weidman & George Abbott。
 フィオレロは大恐慌後から第二次世界大戦終了後まで市長を務め、前述のタマニー・ホール一派の不正を糺すなどして市政を改革し、ニューヨーク市のインフラの整備に努めたと言われている。エネルギッシュでカリスマ性のある人物として描かれるが、政治家としては毀誉褒貶相半ばするようで、前半は順風満帆、後半は疲弊していく。
 主人公を演じたオースティン・スコット・ロンバルディ Austin Scott Lombardi がカリスマと言うにはやや魅力に乏しく、その分、舞台全体が膨らみに欠けた。

 『フロント・ページ』は往年の名作ストレート・プレイ。
 ミュージカルでないこの舞台を観た理由は2つ。まず、往年の名作コメディとして名高く、映画化も数回行なわれ、その内の1つがハワード・ホークス Howard Hawks 監督の『ヒズ・ガール・フライデー HIS GIRL FRIDAY』であること。そして、ネイサン・レインが出演すること。いったい、どんな舞台で、ネイサン・レインがどう笑わせてくれるのか、それを知りたくて観たのだが、いやあネイサンの大物感が今や半端ない。出てくるだけでおかしいし、舞台のランクが1つ上がる感じ。

 『マリー・アンド・ロゼッタ』は、高い人気を誇ったギター弾きゴスペル・シンガー、シスター・ロゼッタ・サープ Sister Rosetta Tharpe と、一時期パートナーだったピアノ弾きシンガーのマリー・ナイト Marie Knight の登場する2人ミュージカル。
 追って、こちらにもアップするつもりですが、とりあえずは、無料の電子音楽誌「ERIS」17号に詳しく書いたので、そちらを読んでいただければ幸いです。

 『ホリデイ・イン』は、今回唯一のブロードウェイの新作。
 タイトルの頭に“The New Irving Berlin Musical”と付いているが、もちろん真っさらの新作なわけもなく、多少改変されているものの、本国1942年公開の同名ミュージカル映画の舞台化だ。  マーク・サンドリッチ Mark Sandrich 監督、ビング・クロスビー Bing Crosby、フレッド・アステア Fred Astaire 主演による、“あの”「ホワイト・クリスマス」を生んだ映画。日本でも、戦後の1947年に『スイング・ホテル』の邦題で公開されているが、「ホワイト・クリスマス」は南の島で日本軍と戦っていたアメリカ軍兵士の士気を鼓舞するために使われた、という話を、ものの本で読んだ。さっさとやっつけて国でクリスマスを過ごそう、ってことか。公開当時、そんなことを知る日本人は少なかったことだろう。  この映画の、ある種のリメイクが、やはりビング・クロスビー主演で1955年に作られた、その名も『ホワイト・クリスマス』(Irving Berlin's White Christmas)で、こちらの舞台ミュージカル版は、すでにブロードウェイに登場。2008年11月23日から翌年1月4日までと、見事にホリデイ・シーズンに合わせて公演を行なっている。で、念を押すように1年後の2009年の11月22日から翌年1月3日にも上演。また、同年以降、毎年同時期に国内ツアーもやっている。
 そう考えると、今回の『ホリデイ・イン』も、タイトル通りホリデイ・シーズンを狙っての上演という可能性は高い。実際、やや高めの年齢の観光客を想定した無難な仕上がり。ダンス・シーンが多く、華やかで楽しいが、振付に新味が欠ける気がした。

 『マエストロ』は、レナード・バーンスタイン Leonard Bernstein が主人公の独白プレイ・ウィズ・ミュージック。
 ピアノも弾く主演のハーシー・フェルダー Hershey Felder は、これまでにも自ら書いた脚本で、ジョージ・ガーシュウィン George Gershwin(『ジョージ・ガーシュウィン・アローン GEORGE GERSHWIN ALONE』)を含む複数の、クラシック寄りの名匠たちを演じてきているようだ。
 ざっくり言うと、野心と自分に対する評価のギャップに苦悩するバーンスタイン、といった内容。セリフと生のピアノ演奏と過去の録音とを織り交ぜながら、知られざるバーンスタインの姿を浮かび上がらせる……という空気感はスリリングだったものの、こちらの理解の下地が足りないこともあり、イマイチ掴みきれなかったというのが正直なところ。

 『ストーリー・ソングズ/ベティ・バックリー』は、ジョーズ・パブの人気プログラムとなっているベティ・バックリーの小規模コンサート。
 さすがに衰えは隠せないものの、そこは貫禄で押し切る感じ。相変わらず聴かせます。

(2/27/2017)

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