The Wall of MUSIC BOX THEATRE 4/1/2016

[ゆけむり通信Vol.123]

3/30-4/3/2016


  • 3月29日20:00
    『シー・ラヴズ・ミー SHE LOVES ME』
    STUDIO 54 254 West 54th Street
  • 3月30日14:00
    『ブライト・スター BRIGHT STAR』
    CORT THEATRE 138 West 48th Street
  • 3月30日20:00
    『ディザスター! DISASTER!』
    NEDERLANDER THEATRE 208 West 41st Street
  • 3月31日20:00
    『アメリカン・サイコ AMERICAN PSYCHO』
    GERALD SCHOENFELD THEATRE 236 West 45th Street
  • 4月 1日19:30
    『強盗花婿 THE ROBBER BRIDEGROOM』
    LAURA PELS THEATRE 111 West 46th Street
  • 4月 2日14:00
    『時をさまようタック TUCK EVERLASTING』
    BROADHURST THEATRE 235 West 44th Street
  • 4月2日20:00
    『シャッフル・アロング、あるいは、1921年のミュージカル・センセーションが出来るまでと、その後の全て SHUFFLE ALONG, OR, THE MAKING OF THE MUSICAL SENSATION OF 1921 AND ALL THAT FOLLOWED』
    MUSIC BOX THEATRE 239 West 45th Street
  • 4月3日15:00
    『ウェイトレス WAITRESS』
    BROOKS ATKINSON THEATRE 2 West 47th Street
  • 4月3日19:00
    『ディア・イヴァン・ハンセン DEAR EVAN HANSEN』
    SECOND STAGE THEATRE 307 West 43rd Street
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 競馬で言えば長期休養明け(4か月)のニューヨーク(笑)、ブロードウェイに春の新登場作が出揃うのを見極めての渡米となった。
 トニー賞を目指して、2月から3月の間に7本が新登場。その内リヴァイヴァルは『シー・ラヴズ・ミー』1本と、新登場4本中3本がリヴァイヴァルだった前回と打って変わっての新作ラッシュとなった。
 では、ブロードウェイ作品の感想を観た順に。

 『シー・ラヴズ・ミー』を観るのは……調べたらペイパー・ミル・プレイハウス(ニュージャージー)でのリヴァイヴァル以来で11年半ぶり。もうそんなか。後半生は時間が経つのが早い(笑)。ハンガリー生まれのミクロス・ラズロ Miklos Laszlo の戯曲が原作で、エルンスト・ルビッチ Ernst Lubitsch 監督による映画化『街角/桃色の店 THE SHOP AROUND THE CORNER』(1940年)が有名(『ユー・ガット・メール YOU'VE GOT MAIL』(1998年)は、そのリメイク)。作曲ジェリー・ボック Jerry Bock、作詞シェルドン・ハーニック Sheldon Harnick、脚本ジョー・マステロフ Joe Masteroff による舞台ミュージカル版のブロードウェイ初演は1963年。この時の演出はハロルド・プリンス Harold Prince(製作も)。1930年代、ブダペストの香水店を舞台にしたロマンティック・コメディだ。
 最初に観たのは、今回と同じラウンダバウト劇場の製作による93年版。まだ同劇場(団体)はタイムズ・スクエア脇の、その名に因んだかどうかは知らないが半円形の小ぶりな劇場(Criterion Center)をホームにしていた。主演のカップルはボイド・ゲインズ Boyd Gaines とジュディ・キューン Judy Kuhn で、約2か月間の同劇場での限定公演を終えて、その2か月後からブルックス・アトキンソン劇場に移って9か月強のロングランを行なう(主演女優はダイアン・フラタントニ Diane Fratantoni に交代)。そちらも94年の年頭に観ている。その際の演出も、今回と同じスコット・エリス Scott Ellis。なので、他のスタッフは違っているが、コンパクトにまとまった可愛らしいセットも含め、全体の印象は、ほとんど同じ。
 となると見どころは役者になるわけで、今回のスターはローラ・ベナンティ Laura Benanti。品のいいコメディエンヌとして、すでに独自の境地にあり、もちろん悪くない。が、今回の見どころは、13年ぶりにブロードウェイ復帰のジェイン・クロコウスキー Jane Krakowski だろう。長期休養明けだが体も絞れて(って馬じゃない!)、相変わらずのキュートなお色気にやられる。ベナンティの相手役が『ファースト・デイト FIRST DATE』でブロードウェイ・デビューしたザッカリー・リーヴァイ Zachary Levi。コメディ・リリーフとして芝居の要になるのが、この手の役で引っ張りだこのマイケル・マッグラス Michael McGrath。……てな具合で役者もいい。
 新味はないが、よく出来たリヴァイヴァル。7月10日までの限定公演。

 『ブライト・スター』は、コメディアン/俳優/脚本家/バンジョー奏者のスティーヴ・マーティン Steve Martin(共同作曲・脚本・共同原案)とシンガー・ソングライターのエディ・ブリッケル Edie Brickell(共同作曲・作詞・共同原案)によるオリジナル・ミュージカル。
 この2人、デュオとして、2013年に『Love Has Come For You』、2015年に『So Familiar』という2枚のスタジオ・アルバムをリリースしているが、これがそのまま今回のミュージカルにつながっている。
 『ブライト・スター』にはノース・キャロライナのアッシュヴィルという街が出てくるが、これはファースト・アルバムの冒頭の楽曲「When You Get To Asheville」で歌われた街で、同曲はミュージカル内で「Asheville」とタイトルを変えて歌われている。その曲も含め、ファースト・アルバムから2曲、セカンド・アルバムから6曲が(一部、歌詞や構成を変えながら)劇中で使われている。ちなみに、両アルバムのプロデューサー、ピーター・アッシャーは、舞台の方でも音楽監修者としてクレジットされている。
 この2枚のアルバム、分類すれば、昨今“アメリカーナ”と呼ばれるところのカントリー寄りのアメリカン・ルーツ・ミュージックということになるのだろうが、アッシャーの力もあるのだろう、ノスタルジックだが新鮮でもある、懐の深い楽曲集になっている。また、今回の舞台では、主立った演奏者が舞台上の可動式の小屋のセット内にいて、地域コミュニティのハウス・バンド的雰囲気で演奏するのだが、それもアメリカーナな気分を盛り上げて、雰囲気の醸成に貢献している。
 さて物語だが、2組のカップルを軸に、1945年~1946年とその22年前(とプレイビルに書いてある)という2つの時代を行き来しながら進む。
 1組目のカップルは、第二次大戦からの帰還兵ビリーと幼馴染みマーゴ。戦争が終わってノース・キャロライナの田舎町に帰ったビリーは、父から、母が亡くなっていたことを知らされる。そんなビリーを温かく見守るマーゴ。2人は幼馴染みなゆえに、互いに恋心を打ち明けられないでいる。作家を目指すビリーは、近隣の都会アッシュヴィルの出版社に原稿を持ち込む。門前払いを食らいそうになったビリーを救ったのは編集長のアリス。持ち込みの中の一篇を認めて買い取る。勇気づけられたビリーは仕事に打ち込むが、都会ならではの誘惑もあり……と、ここから「木綿のハンカチーフ」的な展開になりかかる。
 もう1組のカップルは、ビリーを救ったアリスと、彼女の若き日の恋人ジミー。1920年代初頭。清教徒的な農夫の娘ながら先進的な考えを持っていたアリスと、資産家の息子ながら屈託なく育ったジミーは恋に落ち、アリスは妊娠する。ところが、ジミーの父は結婚に反対し、生まれた子を強引に引き取る。アリスはいたたまれず、都会に出て自立する。
 幕開き、ビリーが故郷に帰って来る前に、若き日のアリスが登場して「If You Knew My Story」という楽曲を歌うので、彼女が物語の中心なのだということは予め観客に認識される。なので、一見関係がなさそうな2つのドラマを、時代が交錯しながらの展開で見せられても、混乱はない。さらに言えば、1幕の悲劇的な終わり(赤ん坊を連れ去られる)を迎える頃には、2組のカップルを巡る謎が「こうなるんだろうな」と推測できてしまう(この拙い説明だけでも気づく方はいるだろう)。むしろ、それが狙いなはずで、以降、観客は、登場人物たちが“そのこと”にいつ気づくのだろう、早く気づけばいいのに、とドキドキしながら観ることになる。往年のハリウッド映画のメロドラマの構造だ。そして、物語は観客の期待通りのハッピーエンドで終わる。
 甘いと言えば甘い。予定調和と言えば予定調和。しかし、出てくるのがそれぞれに愛すべき人たちであり、ことに主人公のアリスが凛としていて魅力的なので、心から「よかった」という気持ちになる。そして、その背景には、アメリカの市井の人々である登場人物たちの心情を豊かに活写する楽曲の魅力がある。物語の質と音楽の質とが絶妙に反応し合い、マーティンとブリッケルの人生観が見事に舞台上に表現された、ということなのだと思う。
 アリスを演じるカーメン・キューザック Carmen Cusack はウェスト・エンドで活躍していた人で、これがブロードウェイ・デビューだが、デンヴァー出身のアメリカ人。輝くような生命力を感じさせて素晴らしい。演出はリヴァイヴァル版『シカゴ CHICAGO』のウォルター・ボビー Walter Bobbie。
 残念ながら6月26日でクローズした。

 『ディザスター!』は、ジュークボックス・スラップスティック・ミュージカルとでも呼ぶべき作品。
 巨大カジノに改造された船がポセイドン・アドベンチャー状態になる話で、ひたすらバカバカしい。楽曲は全て既成のヒット曲。とにかく役者だけは揃えました、という印象で、ロジャー・バート Roger Bart、ケリー・バトラー Kerry Butler、アダム・パスカル Adam Pascal、フェイス・プリンス Faith Prince、レイチェル・ヨーク Rachel York、マックス・クラム Max Crumm と主役級が並ぶ。脇も、トニー賞助演女優賞にノミネートされたジェニファ・シマード Jennifer Simard、ケヴィン・チャンバーリン Kevin Chamberlin ら個性派が登場。ブロードウェイ・デビューのラクレッタ・ニコル Lacretta Nicole もすごい声だったし、子役のベイリー・リトレル Baylee Littrell も悪達者と言いたくなる演技力。これだけの役者がいれば、もっと面白い舞台も出来たのではないか、と残念に思えてしまう。そんな作品(笑)。

 『アメリカン・サイコ』は、今シーズン、リヴァイヴァル版の登場した『春のめざめ SPRING AWAKENING』の楽曲作者(作曲)として、2006年にブロードウェイ・デビューを果たしたシンガー・ソングライター、ダンカン・シーク Duncan Sheik の新作で、ミュージカル・ブラック・コメディとでも呼びたくなる作品。今回は作詞もシークが手がけている。原作はブレット・イーストン・エリス Bret Easton Ellis の同名小説で、脚本はロベルト・アギーレ=サカサ Roberto Aguirre-Sacasa。
 舞台ミュージカル版は、まず、2011年に主演に今回のブロードウェイ版のベンジャミン・ウォーカー Benjamin Walker を据えてニューヨークでワークショップが行なわれたらしい。それが諸般の事情で、結局2013年暮れにマット・スミス Matt Smith 主演でロンドンで幕を開ける。諸般の事情の1つは、ヴィデオ・デザインのフィン・ロス Finn Ross の存在ではないだろうか。ロスの手がけた舞台にストレート・プレイ『夜中に犬に起こった奇妙な事件 THE CURIOUS INCIDENT OF THE DOG IN THE NIGHT-TIME』があるのだが、この作品、2012年にロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターで幕を開けた後、翌年ウェスト・エンドに移ってオリヴィエ賞を総なめにし、昨シーズン登場したブロードウェイ版もトニー賞各賞をガッツリ獲った。ロスはこの作品で、舞台の三方の壁と床を方眼状のディスプレイで埋め尽くし、主人公の少年の天才的数学脳を表わす驚くべき近未来空間を出現させている。『アメリカン・サイコ』は、完全にその拡大再生産。今回の舞台は、80年代後半のバブル最盛期マンハッタンに生きる主人公のエリート・ビジネスマン、パトリック・ベイトマンの現実と妄想が混濁する脳内のように見える。
 この近未来的なイメージの(それでいて実は近過去であるところの)誇張された装置+照明+音響+ヴィデオの創り出す“刺激”こそが、この舞台の“売り”だと考えると、最大の見どころは、やはりダンスか。なかでも、無機質なビートに乗った女性陣の痙攣的なダンスが、照明との連動による視覚効果で目を引く(振付リン・ペイジ Lynne Page)。
 そうしたヴィジュアルに呼応するように、音楽もテクノ的サウンドで彩られる。80年代後半という時代設定から言っても、むべなるかな、だが、それが、シークの書く楽曲を魅力的に聴かせるのに貢献しているとは思えないのが残念なところ(編曲もシーク自身)。さらに言えば、劇中、時代設定当時のヒット曲、ティアーズ・フォー・フィアーズ「Everybody Wants To Rule The World」、ニュー・オーダー「True Faith」、フィル・コリンズ「In The Air Tonight」、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース「Hip To Be Squar」、ヒューマン・リーグ「Don't You Want Me」も登場し、シークの楽曲の印象はますます分が悪い。
 主演のベンジャミン・ウォーカーは、心を病んだターミネーター的な演技で強い印象を残す。彼の前回の主演作が『ブラッディ・ブラッディ・アンドリュー・ジャクソン BLOODY BLOODY ANDREW JACKSON』だったから、というわけではもちろんないが(笑)、劇中、血がバンバン出ます。

 『時をさまようタック』の原作は同名小説で、邦題は「時をさまようタック」。映画化もされているが(邦題は『エバーラスティング 時をさまようタック』)、舞台版は映画とは印象がまるで違う。映画が冒険ラヴ・ロマンスだとすれば、舞台は不思議なコメディといったところ。全体に、やや子供向けな印象だ。
 演出家(ケイシー・ニコロウ Casey Nicholaw)が振付家出身だけに、最後に長いダンス・シーンがあって、そこに一番力が籠もっていた。具体的には、ひと通りのドラマが終わってタックたち(年をとらない人たち)と別れたヒロインの少女が、成長し、結婚し、家族が次第に亡くなっていき、本人も年老いていく過程をダンスで表現している。これをやりたかったんだろうな。
 楽曲作者のクリス・ミラー Chris Miller(作曲)とネイサン・タイセン Nathan Tysen(作詞)のコンビは、2010年にオフでブルーグラス的な音楽が印象的なミュージカル『バーント・パート・ボーイズ THE BURNT PART BOYS』の楽曲を書いた人たち。なので、そうした傾向かと思ったが、曲調はともかく、編曲はオーケストラに管が3本も入るにぎやかさ。オーソドックスな劇場音楽の印象に留まったのは、やや残念。
 役者では、タック家の母親役キャロリー・カーメロ Carolee Carmello と、一家の秘密に迫る黄色いスーツの男のテレンス・マン Terrence Mann が、やはり際立つ(この2人、『アダムズ・ファミリー THE ADDAMS FAMILY』で、アダムズ家に驚かされる夫婦役を演じていた)。

 『シャッフル・アロング、あるいは~』は、ジョージ・C・ウルフ George C. Wolfe(脚本・演出)+サヴィオン(セイヴィオン)・グローヴァー Savion Glover(振付)という、『ノイズ/ファンク NOISE/FUNK(BRING IN 'DA NOISE, BRING IN 'DA FUNK)』(1996年)のコンビによる作品。なので、簡単には楽しませてくれない内容。ユービー・ブレイク Eubie Blake(作曲)とノーブル・シスル Noble Sissle(作詞)が楽曲を書いた1921年上演の『シャッフル・アロング SHUFFLE ALONG』は、初のアフリカン・アメリカンによる本格的ブロードウェイ・ミュージカル(とはいえ劇場の場所は今の概念ではブロードウェイとは呼べない北の方)だが、ここでは、その舞台が成功するまでのスタッフとキャスト一丸となっての奮闘と、成功後の内紛と離散が描かれる。
 ジョージ・C・ウルフはブロードウェイ登場作の1992年『ジェリーズ・ラスト・ジャム JELLY'S LAST JAM』(脚本・演出)で、すでに、アフリカン・アメリカン社会内の分裂を描いている。ざっくり言うと、主人公のジェリー・ロール・モートン Jelly Roll Morton が、ヨーロッパ系との混血ゆえに自分を白人と同列に置こうとすることで起こる悲劇、ということになる。一方のサヴィオン(セイヴィオン)・グローヴァーは2000年にスパイク・リー Spike Lee 監督の映画『バンブーズルド Bamboozled』に出演しているが、これは、TVの世界を舞台にして、アフリカン・アメリカン社会内の分裂……というより亀裂を、殺伐とした表現で描いた作品だった。ちなみに、前述の『ノイズ/ファンク』は、奴隷としてアメリカに連れてこられて以来のアフリカン・アメリカンの何世代にも及ぶエンタテインメントとしての自分たちの芸に対する再考察と、アフリカン・アメリカンである自分たちのアイデンティティの再検証、という内容で、ヒップホップに呼応したストリート・タップを初めてブロードウェイの舞台に上げた作品。要するに彼らは、絶えず自分たちの足元を、懐疑的な視線も交えつつ見つめ直し、伝統の再構築を行なっているわけだ。その背景には、現状の(相変わらずの白人中心の)社会構造に対する根本的な批判もある。
 そんなわけで、この舞台、作品を成功させるまでの前半は力強く、バラバラになっていく後半は苦い。
 この作品、もう1度観るので、詳しくは、その後で。

 『ウェイトレス』の原作は、エイドリアン・シェリー Adrienne Shelly 監督の同名映画(邦題『ウェイトレス おいしい人生のつくりかた』)。主演を務めるのはミュージカル『ビューティフル』でキャロル・キングを演じてトニー賞主演女優賞を得たジェシー・ミューラー Jessie Mueller 。結婚に失敗した女性の話つながり、という流れでもないだろうが、作品全体にフェミニズム的な感触はある(あらすじは省略)。楽曲作者のシンガー・ソングライター、サラ・バレリス Sara Bareilles も、その辺りに共感したのではないだろうか。いずれにしても、いい楽曲を書いている。
 バレリス本人がこのミュージカルの楽曲を歌ったアルバム(『WHAT'S INSIDE: SONGS FROM WAITRESS』)がすでに出ていて、ポップな魅力を感じる仕上がりだが、舞台版では、よりバック・コーラスに重きを置いた編曲になっている印象。音楽だけでなく、舞台全体にアンサンブルも含めたチーム・プレイで見せていこうという方針が強く感じられて、それが作品の色合いと相まって、いい雰囲気を醸し出している。
 ちなみに、プレイビルを見ると、編曲の名義がサラ・バレリス&ザ・ウェイトレス・バンドとなっていて、バレリス以外は実際に舞台上で演奏しているバンドのメンバー(編成は、ピアノ、キーボード、ギター、チェロ/ギター、ベース、ドラムス)。このバンド、主人公の勤めるダイナーのハウス・バンド的な印象で舞台上に出ていて、ちょうど『ブライト・スター』のバンドと似た立ち位置で舞台に溶け込んでいる。でもって、いつも役者たちの動きを見ながら演奏している感じ。そうしたことも、音楽がより親密に感じられる理由の1つなのかもしれない。舞台がダイナーなだけに、当たり前のポップ・ミュージックが流れていて、それが人々の心の機微に触れる。そんな普通の人々のミュージカル。新機軸はないが、温かい。
 役者では、熱演のミューラーの他に、ウェイトレス仲間のキミコ・グレン Kimiko Glenn とケアラ・セトル Keala Settle も大活躍。トニー賞で助演男優賞候補になったクリストファ・フィッツジェラルド Christopher Fitzgerald のコメディ演技は文字通り献身的だ。

(7/13/2016)

Copyright ©2016 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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