Musicals' ads at Columbus Circle Station 3/19/2015

[ゆけむり通信Vol.117]

3/17-3/22/2015


  • 3月17日20:00
    『特急二十世紀号に乗って ON THE TWENTIETH CENTURY』
    AMERICAN AIRLINE THEATRE 227 West 42nd Street
  • 3月18日14:00
    『イントゥ・ザ・ウッズ INTO THE WOODS』
    LAURA PELS THEATRE 111 West 46th Street
  • 3月18日19:30
    『ネバーランド FINDING NEVERLAND』
    LUNT-FONTANNE THEATRE 205 West 46th Street
  • 3月19日13:30
    『ノートルダムの鐘 THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 3月19日20:00
    『王様と私 THE KING AND I』
    VIVIAN BEAUMOUNT THEATRE 150 West 65th Street
  • 3月20日20:00
    『巴里のアメリカ人 AN AMERICAN IN PARIS』
    PALACE THEATRE 1564 Broadway
  • 3月21日14:00
    『ハミルトン HAMILTON』
    NEWMAN THEATER at PUBLIC THEATER 425 Lafayette Street
  • 3月21日20:00
    『あなただったら IT SHOULDA BEEN YOU』
    BROOKS ATKINSON THEATRE 256 West 47th Street
  • 3月22日14:00
    『ニューヨーク・スプリング・スペクタキュラー NEW YORK SPRING SPECTACULAR』
    RADIO CITY MUSIC HALL 1260 Avenue of the Americas
  • 3月22日19:00
    『ペンチャーワゴン PAINT YOUR WAGON』
    NEW YORK CITY CENTER 130 West 56th Street
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 春の新登場ブロードウェイ・ミュージカル第1弾。新作が、『ネバーランド』『巴里のアメリカ人』『あなただったら』の3本、リヴァイヴァルが『特急二十世紀号に乗って』『王様と私』の2本。チケットを取った時点では、これで終了かと思ったが、すぐに数本が新たに登場。結果、翌月も飛ぶことになる。
 ともあれ、まずは、上記作品の感想を観た順に。

 『特急二十世紀号に乗って』はリヴァイヴァル。初演は1978年。元は1932年初演のプレイ『特急二十世紀号 TWENTIETH CENTURY』(脚本/ベン・ヘクト Ben Hecht、チャールズ・マッカーサー Charles MacArthur、ブルース・ミルホランド Bruce Millholland)で、1934年にはハワード・ホークス Howard Hawks 監督で映画化もされている。なので、設定は1930年代。落ち目の舞台プロデューサーと大映画女優となった元教え子との、次作出演を巡る駆け引きの話。
 映画女優役クリスティン・チェナウェス Kristin Chenoweth が大活躍。野暮ったい姿で出てきて、一瞬にして華やかに生まれ変わるシーンから、彼女の独擅場。プロデューサー役にピーター・ギャラガー Peter Gallagher(ブロードウェイ・ミュージカルは92年の『ガイズ・アンド・ドールズ GUYS AND DOLLS』以来)、コメディ・リリーフにマーク・リン・ベイカー Mark Linn-Baker とマイケル・マッグラス Michael McGrath の2人を据えて、これだけでも万全の布陣だが、脇のおかしな老女役にメアリー・ルイーズ・ウィルソン Mary Louise Wilson となると贅沢とすら言える。大コケした『ロッキー ROCKY』のアンディ・カール Andy Karl も、一転して体を張ったコメディ演技で気を吐いて……役者の顔ぶれだけでも楽しい舞台だ。
 サイ・コールマン Cy Coleman(作曲)とベティ・コムデン&アドルフ・グリーン Betty Comden & Adolph Green(作詞、脚本も)という、今は亡き手練れ達による楽曲は、初演時がノスタルジー・ブームの渦中であったこともあるのだろう、懐古趣味満点で本領発揮の感が強く、今聴いても生き生きしている。
 今回の演出はスコット・エリス Scott Ellis。新味はないが(一番鮮やかなのが前述のチェナウェス変身シーン)、手堅く軽妙な舞台を作った。振付はウォーレン・カーライル Warren Carlyle。

 『ネバーランド』。「ネバーランドを探して」とでも訳したいところだが……。同名映画(2004年)の舞台ミュージカル化で、ジェームズ・バリー James Matthew Barrie が戯曲『ピーター・パン PETER PAN』を書くに到る物語(脚本ジェイムズ・グレアム James Graham)。劇団メンバーも絡んでくるので、ある種のバックステージものでもあるが、一方で家庭劇の要素も強く、どちらかと言うと地味なドラマ。それを、ミュージカ版『ピーター・パン PETER PAN』のイメージを援用しつつ、舞台でしか表現し得ない人力的手法を駆使して、ダイアン・パウルス Diane Paulus(演出)が、時に繊細に時に大胆に、時に楽しげに時にしみじみと展開、観客の心を魅了していく。
 ピーター・パン像のヒントとなるピーターを含む4人の少年の母親、デイヴィーズ未亡人との出会いが、バリーに『ピーター・パン』を書かせるのだが、その上演を前に彼女は病床に伏す。そんな彼女のために、バリーは初演を終えた役者を率いて彼女の家を訪れ、子供たちの寝室で舞台を再現してみせる。この作品のクライマックスは、その流れで訪れる、デイヴィーズ未亡人の死を暗示するシーン。劇が続く中、いつしか病床を離れた彼女は、ピーター・パンに導かれて開かれた窓からネバーランドへ去っていく。その時の美しい演出を目にするためだけにでも、この舞台は観る価値がある(7月に再見して、その思いを強くした)。
 楽曲作者のゲイリー・バーロウ Gary Barlow とエリオット・ケネディ Eliot Kennedy は、共にイギリス出身で、ヒット曲世界で成功している人。バーロウはポップ・グループ“テイク・ザット Take That”のメンバーとしても知られる。ここでも、適度にポップでメロディアスな楽曲を創出して温かい舞台作りに貢献している。
 役者で特筆すべきは、舞台プロデューサー役のケルシー・グラマー Kelsey Grammer と、デイヴィーズ未亡人役のローラ・ミシェル・ケリー Laura Michelle Kelly の2人。グラマーは幻想(妄想?)世界のクック船長も演じる大車輪の活躍で舞台を支え、ケリーは当たり役『メリー・ポピンズ MARY POPPINS』に通じる毅然とした雰囲気に、開放的な柔らかさを加えた独特の存在感でドラマを動かす。主演のマシュー・モリソン Matthew Morrison も繊細な役どころを熱演。デイヴィーズ未亡人の母親役で今や名脇役と化した(?)キャロリー・カーメロ Carolee Carmello も登場する。

 『王様と私』は、リチャード・ロジャーズ Richard Rodgers(作曲)+オスカー・ハマースタイン二世 Oscar Hammerstein II(作詞・脚本)による舞台ミュージカルの5作目(1951年初演)で、前作が『南太平洋 SOUTH PACIFIC』(1949年初演)。彼らのエキゾティック路線の1つのピークだろう。その背後に往時のアメリカの覇権主義がチラつく気がして、このコンビの作品は必ずしも好きではないが、ここでの楽曲は、音楽的には充実している。
 内容は、世界の近代化を目の当たりにして苦悩するアジアの小国の専制的な王と、王の子供たちの家庭教師として息子連れでやって来たイギリス人未亡人との心の交流を中心にした、時代の波に翻弄されながら生きる人々のドラマ、といったところか。ルー・ダイヤモンド・フィリップ Lou Diamond Phillips の出た1996年のリヴァイヴァル版を、ドナ・マーフィ Donna Murphy とフェイス・プリンス Faith Prince の家庭教師アンナ役で2度観ているが、その時の重々しさに比べると、シリアスな中にも軽みのある今回の方が、個人的には気に入った。
 アンナ役のケリ・オハラ Kelli O'Hara は変わらず素晴らしいが、渡辺謙も難しい役どころを好演。ま、歌はそこそこですが。悲恋に終わる若き恋人たちの女性の方を演じて、『ヒア・ライズ・ラヴ HERE LIES LOVE』のルーシー・アン・マイルズ Ruthie Ann Miles がブロードウェイ・デビュー。
 演出のバートレット・シェール Bartlett Sher は2005年の『ライト・イン・ザ・ピアッツァ THE LIGHT IN THE PIAZZA』、2008年の『南太平洋 SOUTH PACIFIC』、昨年の『マディソン郡の橋 THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』でケリ・オハラと組んでいる。根底に静謐な情熱を秘めた感じが、どの作品にも通底している気がする。振付はクリストファ・ガッテーリ Christopher Gattelli。この人も『南太平洋』組の1人だ。

 『巴里のアメリカ人』。ジーン・ケリー Gene Kelly とレズリー・キャロン Leslie Caron 主演の同名ミュージカル映画(1951年)の舞台化。内容はほぼ映画と同様で、パリで画家になろうとするアメリカ青年とフランス娘の恋物語。ただし、クレイグ・ルーカス Craig Lucas による脚本では時代設定が映画より少し前の第2次大戦終了直後で、主人公の青年は兵隊としてパリにやって来ていたことになっている等、戦争の傷跡を感じさせる改変があり、気分もやや苦い(映画脚本は奇しくも今季登場の『恋の手ほどき GIGI』と同じアラン・ジェイ・ラーナー Alan Jay Lerner)。
 演出・振付のクリストファ・ウィールドン Christopher Wheeldon がロイヤル・バレエやニューヨーク・シティ・バレエで踊った人なので、表現としては映画版以上に“モダン・バレエ・ミュージカル”の感が強い。そもそも映画版のモダン・バレエ的シーンからしてジーン・ケリーの芸術志向が出過ぎた感があるのだが、こちらは、それを全面展開。もちろん、そういう舞台があってもいいし、その方向の作品としては充実しているが、やはりイギリスからやって来たマシュー・ボーン Matthew Bourne の『スワン・レイク SWAN LAKE』がそうであったように、どこか“気取り”を感じて心から楽しめないところがある。
 その流れでか、楽曲はガーシュウィン兄弟(作曲ジョージ・ガーシュウィン George Gershwin、作詞アイラ・ガーシュウィン Ira Gershwin)の名曲揃いだが、編曲が全体にクラシック寄りで、いささか品が良すぎ。楽曲の内包するアメリカ音楽の豊かさを生かしきれていない気がした。
 ちなみに、ヒロイン役のリアン(ヌ?)・コープ Leanne Cope はロイヤル・バレエの人で、レズリー・キャロンのイメージを見事に再現している。それがいいのか悪いのかはわからないが。

 『あなただったら』は、娘の結婚を巡る、結婚式当日の家族・親戚・友人のドタバタ劇。脚本/ブライアン・ハーグローヴ Brian Hargrove、演出/デイヴィッド・ハイド・ピアース David Hyde Pierce というコンビの作品で、オーソドックスなスタイルながら、オーソドックスならざる様々な人間関係が露わになっていくコメディに仕上がっている。
 作曲のバーバラ・アンセルミ Barbara Anselmi はブロードウェイ初登場。音楽監督・編曲の仕事をしてきた人らしい。今作の原案も手がけている。作詞は脚本のブライアン・ハーグローヴ。楽曲は、会話が自然に歌になるものと、やや懐古的なショウ・ナンバーとが混在。全体に、ミュージカルよりもプレイに寄っている感が強い。
 ここも役者が揃っている。ビリング・トップはタイン・デイリー Tyne Daly だが、彼女を凌いでよかったのが、事実上の主演で花嫁の姉役のリサ・ハワード Lisa Howard。10年前に『第25回パットナム郡スペリング競技会』でブロードウェイに登場した人だが、この作品出身の役者は渋い芸達者が多い。

 以上、第1次アップでした。

(11/25/2015)

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