The wall of the Ambassador Theatre 11/26/2014

[ゆけむり通信Vol.116]

11/26-11/30/2014


  • 11月26日20:00
    『レノン〜グラス・オニオンを通して LENNON:Through A Glass Onion』
    UNION SQUARE THEATRE 100 East 17th Street
  • 11月27日14:00
    『ラジオ・シティ・クリスマス・スペクタキュラー THE RADIO CITY CHRISTMAS SPECTACULAR』
    RADIO CITY MUSIC HALL 1260 Avenue of the Americas
  • 11月27日20:00
    『シカゴ CHICAGO』
    AMBASSADOR THEATRE 215 West 49th Street
  • 11月28日15:00
    『クリスマスの思い出 A CHRISTMAS MEMORY』
    DR2 THEATRE 103 East 15th Street
  • 11月28日20:00
    『サイド・ショウ SIDE SHOW』
    ST. JAMES THEATRE 246 West 44th Street
  • 11月29日15:00
    『アレグロ ALLEGRO』
    CLASSIC STAGE COMPANY 136 East 13rd Street
  • 11月29日20:00
    『ルースレス! RUTHLESS! The Musical』
    STAGE 72/THE TRIAD NYC 158 West 72nd Street
  • 11月30日15:00
    『ハネムーン・イン・ヴェガス HONEYMOON IN VEGAS』
    NEDERLANDER THEATRE 208 West 41st Street
  • 11月30日19:30
    『非魅惑的! DISENCHANTED!』
    THEATER AT ST. CLEMENT'S 423 West 46th Street
* * * * * * * * * *

 2か月連続で飛んだのは、ブロードウェイで『サイド・ショウ』『ハネムーン・イン・ヴェガス』のプレヴューが始まったから。後者だけならニュージャージーでの事実上の試演を観ていたので、ブロードウェイ版は年明けまで待ってもいいかと思っていたのだが、急遽、前者が始まることになり、あわててチケットを取った。と言うのも、『サイド・ショウ』はリヴァイヴァルで、その初演は、充実した内容だったにも関わらず、プレヴューも含めて3か月半で幕を下ろしたからだ。
 ところで、この時期のニューヨーク、観劇好きの方にはオススメ。と言うのも、感謝祭(サンクスギヴィング・デイ)当日は休演になる演目が多いのだが、代替で翌日の昼公演が加わるので、すでに始まっている『ラジオ・シティ・クリスマス・スペクタキュラー』を感謝祭当日の昼に加えたりして、いつもより多めの演目を観ることが可能になるからだ。
 なんて“お得”情報コーナーはこれぐらいにして、とりあえず、ブロードウェイの新作2本の感想を。

 『サイド・ショウ』は、『ドリームガールズ DREAMGIRLS』の作曲家ヘンリー・クリーガー Henry Krieger の1997年作品で、トッド・ブラウニング Tod Browning 監督映画『フリークス FREAKS』に出演したことでも知られる実在のシャム双生児ヒルトン姉妹が主人公。
 初演の感想はこちらだが、けっこう熱く語っている(笑)。興行的失敗の原因を題材の重さに求める声が多かった気がするが、今にして思えば、“意余って言葉足らず”だったというのが個人的な見解。もっとも、ミュージカルの舞台作りが日に日に豪華な方向に向かい、併せて制作費も高騰を続けていた時代で(例えば、同年の『ライオン・キング THE LION KING』、翌年の『ラグタイム RAGTIME』)、そんな中、明らかに予算が少ない感じの地味な装置だったのも、この作品にとってはマイナスだったと思われる。
 で、今回のリヴァイヴァル。装置は依然シンプルだが、近年のブロードウェイの舞台としては水準の規模であり、充分にアイディアを凝らしてある。さらに、色彩も初演に比べれば豊かになり、表面的な重苦しさは薄まっている。脚本にも手が加えられ(今回演出のビル・コンドン Bill Condon が加筆)、虐げられる運命の過酷さよりもヒルトン姉妹の精神的成長に的を絞って、より前向きにさせた印象。
 そうなって改めて、“言葉足らず”な部分が浮かび上がった。それは、タイトルに反して(?)、これといったサイド・ストーリーがないところ。話がヒルトン姉妹のことに終始するため、膨らみを欠くことになっている。例えば、姉妹を陰で支えていたジェイク自身のエピソード等が加わっていたりすれば舞台に幅が出ただろう。
 今回のヒルトン姉妹役はエリン・デイヴィー Erin Davie とエミリー・パジェット Emily Padgett。残念ながら冬を越せず、1月4日にクローズ。初演よりも短命に終わった。

 『ハネムーン・イン・ヴェガス』は、2013年9月にニュージャージーのペイパー・ミル・プレイハウスで観たのと同じプロダクション(役者も演出も、ほぼそのまま)。最近、ディズニーを筆頭に専ら映像系の出資するプロダクションがペイパー・ミルで試演してブロードウェイに持ってくる、という道筋が出来上がりつつあるようだ。てことは、今やってる『ノートルダムの鐘 THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME』も近々やって来るのか。
 さて、『ハネムーン・イン・ヴェガス』。同名映画の舞台ミュージカル化だが、若干変更が加えられている様子(映画は未見だが、舞台はコメディ方向に強く振れているのではないかと想像する)。亡き母の遺言(呪い?)で恋人と結婚出来ない男が主人公。意を決して結婚のために恋人とラスヴェガスを訪れると、そこで出会うのが愛妻を亡くしたギャング。恋人が亡妻にソックリでギャングが横恋慕、奪ってしまおうと主人公を罠に落とす。あわや恋人がギャングと結婚か、というところで主人公が奪い返すまでのドタバタ劇。
 楽曲はおなじみジェイソン・ロバート・ブラウン Jason Robert Brown で、前作『マディソン郡の橋 THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』とは打って変わって、舞台がラスヴェガスだけに、基本はシナトラを思わせるジャジーな路線。プラス、終盤登場するソックリ集団に則ってエルヴィス風味も忘れていない。という具合に今回は娯楽に徹している。TVや映画で知られるトニー・ダンザ Tony Danza が柄にピッタリのギャング役で気持ちよさそうにシナトラ風に歌い上げる辺りが1つの肝だろう。そういう意味では、ある年齢以上の観客にとっては安心して楽しめるミュージカル・コメディになっているとは言える。
 逆に言うと、そこが物足りない。新しくなくてはいけないとは言わない。が、新鮮な驚きは欲しい。それは、歌でもダンスでも演出手法でも役者の演技(才能)でもいい。それが見つけられないのが難点。主人公を演じたロブ・マクルーア Rob McClure は2012年の『チャップリン CHAPLIN』でトニー賞にノミネートされたが、そのことからもわかるように、どこか古風な演技をする人。ドタバタでも、キレがあるというよりアクが強い感じ。その母親役が、『ユーリンタウン URINETOWN』『悪魔の毒々モンスター THE TOXIC AVENGER』の怪演が忘れられないナンシー・オペル Nancy Opel。ここでも、没後も悪霊のごとく忽然と現れる恐怖(故に笑ってしまう)演技を見せるが、型に嵌められてイマイチ爆発していない。
 演出ゲイリー・グリフィン Gary Griffin、振付デニス・ジョーンズ Denis Jones。どこかTVのコメディを観ているような、そんな手馴れた感じがして、満足しきれなかった。

 以上、第1次アップ。

(3/23/2015)

Copyright ©2015 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

previous/next

Let's go to BROADWAY

How to get TICKETS

[TITLE INDEX]


[HOME]