Musicals ads at Duffy Square 3/2/2014

[ゆけむり通信Vol.111]

2/25-3/2/2014


  • 2月25日19:00
    『紳士の愛と殺人ガイド A GENTLEMAN'S GUIDE TO LOVE AND MURDER』
    WALTER KERR THEATRE 219 West 48th Street
  • 2月26日14:00
    『マディソン郡の橋 THE BRIDGES OF MADISON COUNTY』
    GERALD SCHOENFELD THEATRE 236 West 45th Street
  • 2月26日20:00
    『ロッキー ROCKY』
    WINTER GARDEN THEATRE 1634 Broadway
  • 2月27日13:30
    『もう1人のジョシュ・コーエン THE OTHER JOSH COHEN』
    PAPER MILL PLAYHOUSE Millburn, New Jersey
  • 2月27日20:00
    『アラジン ALADDIN』
    NEW AMSTERDAM THEATRE 214 West 42nd Street
  • 2月28日20:00
    『アーリントン ARLINGTON』
    VINEYARD THEATRE 108 East 15th Street
  • 3月 1日15:00
    『運搬船 TRANSPORT』
    IRISH REPERTORY THEATRE 132 West 22nd Street
  • 3月 1日20:00
    『レ・ミゼラブル LES MISERABLE』
    IMPERIAL THEATRE 249 West 45th Street
  • 3月 2日14:30
    『シカゴ CHICAGO』
    AMBASSADOR THEATRE 215 West 49th Street
  • 3月 2日18:00
    『離婚が二人を分かつまで TIL DIVORCE DO US PART』
    DR2 THEATRE 103 East 15th Street
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 ブロードウェイの新作がドッと出てくる春。2月(〜3月)はとりあえず3本(『マディソン郡の橋』『ロッキー』『アラジン』)+リヴァイヴァル1本(『レ・ミゼラブル』)。
 『マディソン郡の橋』はいい出来。『アラジン』もディズニーらしい手堅い出来。『ロッキー』には首を捻る。新演出『レ・ミゼラブル』は……どうなんでしょう(笑)。

 ま、例によって、とりあえず第1次アップはリストのみ。

(3/29/2014)

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 第2次アップは、上で触れたブロードウェイ新登場作中心に。

 『紳士の愛と殺人ガイド』については前回分をご覧ください。2度観た理由も、そちらに(笑)。

 『マディソン郡の橋』の元は、ロバート・ジェームズ・ウォラー Robert James Waller の同名小説(1992年)と、それを原作とするクリント・イーストウッド Clint Eastwood 製作・監督の映画(1995年)。ご承知と思うが、アメリカの田舎町に住むイタリア系の人妻が、古い橋の写真を撮りに来たカメラマンと恋に落ちる話。
 今回のミュージカル化は、楽曲・編曲/ジェイソン・ロバート・ブラウン Jason Robert Brown(『パレード PARADE』)、脚本/マーシャ・ノーマン Marsha Norman(『カラー・パープル THE COLOR PURPLE』)、演出/バートレット・シャー Bartlett Sher(『ライト・イン・ザ・ピアッツァ THE LIGHT IN THE PIAZZA』)というスタッフが顔を合わせ、これ見よがしな派手さのない、静謐な印象の、どちらかと言えばオフの雰囲気を持つ舞台に仕上がっている。そう言えば、『パレード』『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』も心にグッと来る素晴らしい作品だったが、どちらも(“ホントの”ブロードウェイの劇場ではなく)リンカーン・センターでの上演で、(舞台を観慣れない観光客がフラッと入って楽しむことが出来るような)娯楽性には乏しかった。
 そうした舞台の雰囲気を醸し出す要因の1つは、間違いなく装置にある。装置のマイケル・イヤーガン Michael Yeargan は、バートレット・シャーと組んだ『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』及び『南太平洋 SOUTH PACIFIC』で陰影に富んだ美しい舞台を作り上げた人(両作品でトニー賞受賞)。今回の舞台は、奥に、大きく枝を張った木が1本と、街灯と公衆電話の付いた木製の電柱が1つあるだけ。そこに、役者が動かす移動式のセット(ヒロインの家の要素――テーブル、椅子、キッチン、流し、冷蔵庫、玄関扉、2階への階段、屋根――、農場の柵、そして、“マディソン郡の”橋、等で、屋根や橋といった大型のものはデザインの抽象性が高い)を出し入れする。出し入れする時に、舞台上のヒロインとカメラマンとの間をわざと横切って、装置(日常)が人間関係を微妙に分断することを象徴的に見せたりもする。舞台の周囲にポツンポツンと置いてある7脚の椅子にも意味があり、そこに、芝居をしていない役者が座って舞台を見ていることで、主役2人のやりとりの緊迫感が増す。結果、閉鎖的なスモール・タウンの、退屈だが官能的でもある微妙な空気感を生み出している、とでも言うべきか。照明のドナルド・ホールダー Donald Holder とのコンビネーションも見事。
 そうした諸々が、楽曲や演技と相まって、ヒロインの焦燥感・孤独感として凝縮されていく。
 ジェイソン・ロバート・ブラウンの楽曲(及び編曲)は、シンガー・ソングライター世代の音楽を通過した楽曲作者ならではの繊細さと力強さとを併せ持つ。カントリー風味と室内楽的な弦の響きを中心とする奥行きのある音像も魅力的だ。そんな中にあって、カメラマンの元妻(ホイットニー・ベイショア Whitney Bashor)がギター弾き語りで歌う明らかにジョニ・ミッチェル風の楽曲(「Another Life」)と、主役2人が抱き合って踊る時にラジオから流れるブルースがかったバラード(「Get Closer」)が、いい感じのスパイスになっている。特に後者は、途中から隣家の中年女性(キャス・モーガン Cass Morgan)が、やはりラジオで聴いていて、陶酔しながら歌い始める。それがユーモラスでもあり、同時に(踊る2人のすぐ近くに人がいることを示唆して)不穏でもある、という意味で、表現が深い。
 役者は、ケリ・オハラ Kelli O'Hara に尽きる。もちろん周囲も皆うまいのだが(ことに、キャス・モーガン)、平凡な主婦の内に潜む深い情愛を、せつないまでに表現しきっている。
 この舞台がトニー賞授賞式を待たずに終わってしまうのは実に残念。機会のある方は、5月18日までです。ぜひ。

 『ロッキー』は、ある意味、もう1つの『スパイダーマン SPIDER-MAN:TURN OFF THE DARK』だった。これほど大掛かりな“特殊効果”で見せる舞台だったとは意外。
 あ、ちなみに、元は、あのシルヴェスター・スタローン Sylvester Stallone の映画版です。念のため(笑)。
 具体的に言っても、『スパイダーマン』に似ているところがあって、それは、ロッキーのトレーニング・シーン。多人数の主人公が舞台上に出現するのは、まさに『スパイダーマン』と同じ。映像も多用されて、なんだかせわしない。おまけに、バックには映画同様「Eye Of The Tiger」が流れるし。もちろん、ロッキーのテーマとして知られる「Gonna Fly Now」も流れて、映画同様に大階段を上り詰める(そこで客席は大沸き)。まあ、節操がない。
 楽曲がスティーヴン・フラハーティ Stephen Flaherty(作曲)+リン・アーレンズ Lynn Ahrens(作詞)のコンビ(『ラグタイム RAGTIME』)だし、昨年9月に観た彼らの楽曲を複数の歌手が歌うライヴ(作者2人も登場)で『ロッキー』用の楽曲も聴いていたので、そこそこ期待していたのだが、――でもって実際、彼らの楽曲は悪くないのだが――、これではオリジナル楽曲を書いた苦労も台無しだ。
 で、第2幕には、さらに驚くべき事態が待っている。上演半ば、いよいよ試合が始まるという時に、リング・アナウンサーの呼び出しに応じるように、オーケストラ席センター前方の観客がスタッフに誘導されて舞台奥に設置されたリングサイド席に移動する。何だ何だ? と思っていると、別のスタッフが客席後方の通路に積んであった(幕間に見て、プレヴュー中で装置の片付けが終わっていないのか、と思った)枠組みを、観客のいなくなった座席の上に組み立て始める。と同時に、舞台上のボクシングのリングが客席側に迫り出してくる。しかも、これが回転する!
 まあ、観たのがプレヴューが始まって2週間目ぐらい。正式オープンは、それから2週間ちょい経ってからだったので、リング設置時の、あの“あたふた感”は解消されたかもしれない。が、それにしても、だ。行き過ぎ、と言わざるを得ない。
 芝居の方は、映画同様(って、ご存知なことを前提に書いてますが、大丈夫ですよね?)地味なラヴ・ストーリーで、そちらは、それなりにしみじみしているのだが、こうなると、どうでもよくなる。もっとも、主人公(アンディ・カール Andy Karl)の演技が映画版の模倣にしか見えない、という欠点もあり、それはスタローン本人がプロデュースと脚本に参加しているせいかとも思う。て言うか、全てがスタローンの意向なのかも。とすれば、演出のアレックス・ティンバーズ Alex Timbers(『ブラッディ・ブラッディ・アンドリュー・ジャクソン BLOODY BLOODY ANDREW JACKSON』『ピーターと星の守護団 PETER AND THE STARCATCHER』)も如何ともし難かったか。
 というわけで、あまりオススメはしません。

 『アラジン』は、『ライオン・キング LION KING』以降は、キャメロン・マッキントッシュ Cameron Mackintosh と組んだ『メリー・ポピンズ MARY POPPINS』以外コケまくっているディズニー Disney Theatrical Productions の新作。今回は、“安全策”をとって、ヒットしたアニメーション映画のオーソドックスな舞台化路線を採った。
 ヒットした『メリー・ポピンズ』の幕を下ろして、1年後に同じニュー・アムステルダム劇場でオープンさせただけのことはあり、お子様向けだが手堅い作りで、ショウ的な見せ場も多く、まずまずの出来。とはいえ、『ライオン・キング』ほどの独創性はなく、せいぜい『美女と野獣』並みだが。
 ジニー役のジェイムズ・モンロー・アイグルハート James Monroe Iglehart(『メンフィス MENPHIS』)は、期待通りショウマンとして大活躍。
 それにしても、魔法の絨毯の仕掛けが、まるでわからなかったのだが。新機軸か。

 さて、『レ・ミゼラブル』の新演出版(演出/ローレンス・コナー Laurence Connor)。観たのはプレヴュー初日だが、この作品のファンと思しき人々が集結した模様で、開演前から客席は熱く盛り上がっていた。
 おそらく、映画版のイメージを生かそうとしたのだろうと思う。舞台上を役者たちがグルグル回らなくなって、その分、普通に、と言うか、平板になった印象。“もったいぶった感”が後退して、より大衆演劇的になり気軽に楽しめるようになった、と好意的に受け取る手もあるが。いずれにしても、バリケードのシーンは、旧版の方が鮮やかだったと思う。
 まあ、結局は、キャメロン・マッキントッシュ(プロデュース)が映画版ヒットの余勢をかって、もう1度商売しようとした、ということだと思うが。

 オン作品ということで、一応、『シカゴ』にも触れます。
 今回、久々に観たのは、ビビ・ニューワース Bebe Neuwirth がママ・モートン役で戻ってきていたから。
 ニューワースは、リヴァイヴァル版『シカゴ』のオリジナル・ヴェルマとして、1996年5月のシティ・ホール版から登場し、同年11月のブロードウェイ開幕から2年ほど同役を務めた後、一旦退きながら、再びヴェルマとして(おそらく2000年暮れから)短期間特別出演(謳い文句が“Bebe's Back”)。さらに、2006年の暮れから今度はロキシー役で短期間登場(この時も“Bebe's Back”の文字がビルボードを飾った)。1998年カーネギー・ホールでの特別公演『マイ・フェイヴァリット・ブロードウェイ MY FAVORITE BROADWAY』に1場面だけヴェルマで登場したのも含め、ずっと観てきたが、正直、ママ・モートン役はちょっとイメージが違う気がした。やっぱ踊ってほしい(笑)、というのは別にして、イマイチ押し出しが足りない、というか。柄じゃないのかな。
 とはいえ、彼女が舞台上にいるだけで、『シカゴ』度が増す感じがするから不思議。オリジナル・キャストだし、ダンサー仲間の大先輩でもあるし、やっぱり周囲の緊張感も違うのかも。
 ちなみに、他の主要キャストは次の通り。
 ロキシー=アン・ホラック Anne Horak、ヴェルマ=アムラ・フェイ・ライト Amra-Faye Wright、ビリー・フリン=ジェイソン・パトリック・サンズ Jason Patrick Sands(ブレント・バレット Brent Barrett の代役)、エイモス=クリストファ・フィッツジェラルド Christopher Fitzgerald、メアリー・サンシャイン=R・ロウ R. Lowe。

 以上、第2次アップでした。

(5/8/2014)

Copyright ©2014 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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