『PERENNIAL FAVORITES』
Squirrel Nut Zippers(Mammoth)

ストロマンと組む強力バンド

 秋以降にニューヨークでオープンするミュージカルの情報がプレイビル・オンラインなどでも続々と伝えられているが、その中の 1つに、リンカーン・センターのミッズィ・ニューハウス劇場で始まる『コンタクト CONTACT』がある。スーザン・ストロマン Susan Stroman が演出・振付を手がける新作で、脚本はジョン・ワイドマン John Weidman。
 自殺しそうな男が“スウィング・クラブ”にやって来て 1人のダンサーと出会う、という、わかったようなわからないような内容説明が記事には書いてある(笑)。主人公の“ダンスすることでしか他人とコンタクトをとれない男”には、ボイド・ゲインズ Boyd Gaines が予定されているらしい。

 で、ですね。僕が興味を持ったのは、音楽を担当するのが、スクァーレル・ナット・ジッパーズ Squirrel Nut Zippers だと書いてあったから。
 去年、新宿のヴァージンでジャケット買いしたのが、上の紙ジャケ CD 『PERENNIAL FAVORITES』。彼らの 3枚目のフル・アルバムらしいが、これが大当たりで、早速、畏友・萩原健太にメールで問い合わせたところ、彼の監修したミュージック・マガジンの増刊「アメリカン・ルーツ・ロック」で同バンドの 96年作『HOT』(写真下)をすでに紹介してあったことがわかった。この本、持ってたのに(笑)。

 その時メールで答えてくれた萩原の説明によれば、スクァーレル・ナット・ジッパーズは、 [グランジ世代というか、ポスト・パンク世代というかのグッド・タイム・ミュージック・バンド]。プレイビル・オンラインの記事では、 [the neo-swing pop outfit] と紹介してある。
 ドラムス、ベース(アコースティック)、ギター、ピアノに、バンジョー、ウクレレ、ヴァイオリン、クラリネット、コルネット、サキソフォンなどが加わった編成で、正式メンバーは現在…… 7人? “今”のロック感覚を身につけた連中が、ジャズやブルーズがまだ渾然一体となっていた頃のスタイルで奏でるヴィヴィッドなアメリカン・ミュージック、というような言い方で伝わるでしょうか。それを“ネオ・スウィング”という風に呼ぶのは、結果的に彼らの音楽の一部が、流行りのスウィング・スタイルと同じになっているからだろう。
 確かにこうした音楽は流行っているらしく、正月にブロードウェイ劇場街近くのライヴハウス的レストラン・バーに行って週イチのスウィング・ナイトを観たが、跳ねるリズムに乗って、若いカップルが見事にジタバーグ(正しくはジターバグか?)をキメていた。
 萩原情報では、スクァーレル・ナット・ジッパーズはヤッピー層に人気なのだそうで、その辺にも起用の理由があるのかもしれないが、彼らが直接舞台に参加するのなら、これは楽しい。

 一方、スーザン・ストロマンにとっては、演出も手がけるというし、この舞台、けっこう正念場かも。
 なにしろ振付家としては、『ビッグ BIG』の大コケ以降、そこそこの出来のものはあっても、目を見張らせるようなダンスは見せていない(まだ観劇記をアップしていないが、ロンドン版の『オクラホマ! OKLAHOMA!』でも成功とは言いがたかった)。強いて挙げれば、作品としては失敗に終わった『スティール・ピア STEEL PIER』のカレン・ジエンバ Karen Ziemba のソロが、最も印象的だった振付か。他の舞台では見せなかったパーソナルな情感が込められていて、オッと思ったのを覚えている。
 そういう意味でも、今度の作品は注目だ。

 なお、スクァーレル・ナット・ジッパーズには、下のようなクリスマス・アルバムもあるので、クリスマス・アルバム愛好家の方はどうぞ。

(6/26/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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