『ROBIN '99』
KAHO(東芝 EMI)

新生ロビンの誘惑

 前作『マラッカ』の最後に流れる波音の彼方に聞こえた「ダメよ!ロボコン」のひとことは空耳ではなかったわけだ。
 島田歌穂が KAHO と名前を変えて再び演じる女性型ロボット、ロビンは、物故した原作者、石ノ森章太郎の手を放れ、クアラルンプールの街角に幻のように降り立った。

 前作同様プロデューサーは久保田麻琴。これまた前作同様、インドネシアのポップスを底流にした懐の深いサウンド・プロダクションが素晴らしいが、前作の核心がヴァーチャルな郷愁だったのに対して、今回の気分は近未来のアジアを漂流するヴァーチャルな日本人の心。

 なんて話はともかく、前作について、 [『香港ラプソディー』以上に面白い、アジアを舞台にした日本製ミュージカルが出来上がる] という思いつきを書いたら、今回、同ミュージカルの作曲者ディック・リー Dick Lee の作品が 2曲も収録された、っていう僕の予知能力を証明するような事実を、まず報告しておきたい(笑)。 2曲共、作詞は松本隆。
 新たな『香港ラプソディー』への序曲か(そう言えば、『香港ラプソディー』再演希望のメッセージを久々にいただいた。近々ページを更新して運動を再開する予定)。

 浜口庫之助作品が 2曲入っているのも注目点だが、内 1曲が「夕陽が泣いている」だっていうのは、昨今のスパイダース再評価の動きをうんぬんするより、「バン・バン・バン」(正式には「バン!バン!」らしいが)以来のスパイダース・カヴァーという方が、久保田麻琴のファンには通りがいいかも。
 でもって、もう 1曲が「愛のさざなみ」(作詞/なかにし礼)だってんだからたまんない(って、このあたり、見えない人には話の筋道が全く見えないかも。ま、読み飛ばしてください)。

 吉田美奈子(書き下ろし)と金延幸子(旧作)という日本を代表する 2人の女性シンガー・ソングライターの楽曲や、インドネシア・ポップスのヒップホップ+ニューオーリンズ的アレンジなどが、上記の楽曲たちと並んで違和感がないのも、プロデュースと歌唱の力のなせる技なのだろう。やや雑多な味わいもねらいのひとつだと思わせるだけの世界観が、ここにはある。
 そうした様々な色合いの楽曲群の中心にあって、前作へのタイムトンネルの入口的存在となっているのが、「星空の Night Club」(詞/ KAHO、曲/池田洋一)。前作の「涙の浜辺」(詞/ KAHO、曲/宮沢和史)とリンクするノスタルジックなリズム歌謡で、こうした楽曲の無国籍感の中にこそ日本的なものがある、という気が、僕はする。
 そして、その方向に日本のオリジナル・ミュージカルの可能性があるはずだ、と思う。

 歌手 KAHO と女優島田歌穂が交錯するアジアを舞台にしたミュージカルを観たいなあ!

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 島田歌穂公式サイトは、こちら

(11/30/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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