「演劇入門」
平田オリザ(講談社現代新書)

画期的ハウ・トゥ本

 [BROADWAY GUIDE]「劇場に行く」で紹介している書店 Drama Book Shop などに行くと驚くのが、演劇関係のハウ・トゥ本がズラリと並んでいることだ。しかも、「オーディションの方法」とか「ステージ運営の方法」といった具合に 1冊 1冊の内容がかなり細分化されている。
 そういう需要があると同時に、それだけ細かいノウハウが蓄積されていることの証明なのだと思う。

 翻って日本では? という問いはよそう。ここに 1冊の画期的なハウ・トゥ本が登場したから。
 劇作家・演出家、平田オリザの書いた「演劇入門」

 何が画期的かと言うと、例えば、 [戯曲を書くにあたって、テーマを先に考えてはならない。] と言ったりするところ。 [何を書くかは問題とされない。いかに書くかだけが問題とされる。] ――だよね、と思う。
 テーマ嫌いの僕としては、我が意を得たり、だ。
 まあ、そうした個人的満足は別にしても、これほど“技術の蓄積の言語化”を明確に意識して書かれた文字通りの演劇ハウ・トゥ本はなかったのではないか。しかも、 1つ 1つの技術がなぜそうなのかをきちんと説明してあるので、いちいち納得がいく。
 もちろん“入門”であるから、もっと細かく訊きたいところもなくはないが、具体例も多く、非常にわかりやすい。
 オリザ・ファンには、その具体例に自作を引用してあるのも魅力だろう。

 観客としても、この本を読むのと読まないのとでは舞台の観方が違ってくる、という意味で、ぜひ一読したいところだ。あなたが僕のように、ほとんどストレート・プレイを観ないミュージカル・ファンであっても、ね。

(1/1/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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