『LADY AND THE TRAMP』
(WALT DISNEY HOME VIDEO)

素敵な名作のワイド版登場

 『わんわん物語 LADY AND THE TRAMP』のヴィデオがアメリカで久々に登場。日本では中古ヴィデオ屋で高値を呼んでいるのが現状だが、今年『リトル・マーメイド THE LITTLE MERMAID』がアメリカに続いて売られたことから考えると、この可愛らしい名作のヴィデオもこちらで再登場するのだろう。
 ところで今回買ってきたのは、その『わんわん物語』のワイド・スクリーン版。1955年公開のこの作品は、ディズニーの長編アニメーションとしては初めてのシネマスコープだったそうで(なにしろスクリーンで観たのは幼少のみぎりなもので記憶がほとんどない)、以前ヴィデオが日本で発売された時に購入していた僕も、改めて買ってしまったしだい。

 買ってみて気づいたのだが、このヴィデオ、最後にオマケ映像が付いている(普通サイズ版にも入っているかどうか未確認)。パッケージ裏の謳い文句によれば、ペギー・リー Peggy Lee による劇中歌「The Siamese Cat Song」の録音風景。しかしてその実態は――。
 ウォルト・ディズニー Walt Disney 本人が案内役で登場することからして、日本でも放送されていたディズニーの TV シリーズのある回。その一部だろう。おそらく『わんわん物語』公開の前後にプロモーションを兼ねてオンエアされたと思われる。
 で、ペギー・リーが、楽曲の共作者ソニー・バーク Sonny Burke と一緒に登場して、楽曲作成の打ち合わせをもっともらしくやってみせ(明らかに演技)、その後、謳い文句にあった「The Siamese Cat Song」の 1人デュオの録音方法を説明する、それだけのこと。
 それだけのことなんだけど、これが面白い。なんか、手作り感のある舞台裏説明で。
 しかし、当時からディズニーの宣伝というのは周到だったんだなあ。

 ともあれ、この映画の魅力の半分は、リー&バークによる楽曲とペギー・リーの歌にあるのは万人の認めるところ。
 と言うわけで、昨年ディジタル復刻された CD もどうぞ(Walt Disney Records)。
 実際、先に挙げたオリエンタル風味の「The Siamese Cat Song」、山下達郎もカヴァーしたイタリアン風味の「Bella Notte」、ペギー・リーのハスキー・ヴォイス・パワーが炸裂するクールなジャズ風味の「He's a Tramp」、ドリーミーな子守歌「La La Lu」など、多彩な名曲がズラリ。
 でもまあ映像と合わせて聴くとさらに魅力が増すから、日本でヴィデオが出たらお買い逃しなく。
 スペクタクル感が少ないので小品というイメージだが、そこがまた味わい深くていいのであります。

 ところで僕が以前買った日本版のヴィデオは“ニか国語版”。なぜそれを買ったかと言うと、原語版と同時に吹き替え版が聴いてみたかったから。なにしろ、日本初公開時の吹き替えは、小林桂樹、ナンシー梅木、坊屋三郎なんていう魅力的な配役。それが再現されているかも、と思ったのだが、残念ながら違っていた。
 僕が初めて観たのはきっとその吹き替え版だったんだろうなあ。

(10/6/1998)

Copyright ©1998 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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