『JUDY DUETS』
Judy Garland(BCD/MSL Partners)

パレスは幸運の劇場か?

 『美女と野獣 BEAUTY AND THE BEAST』が転居のためにいち早く去り、同じディズニーによる新作ミュージカル『アイーダ AIDA』の準備が始まるまでの間空き家になったパレス劇場。 12月 1日から 1月 2日まで、そのパレス劇場でライザ・ミネリ Liza Minnelli が新作のショウを行なう、というニュースが流れたが、そこでも触れられていたように、ライザの母ジュディ・ガーランド Judy Garland も同劇場でショウを開き、劇的な成功を収めたことがある。
 MGMに見限られ、契約を打ち切られた翌年の 1951年、ロンドン・パレイディアムでの公演の成功に次いで行なったブロードウェイ、パレス劇場でのロングラン公演が大評判をとったことで、岐路に立っていたジュディは、スターとしての輝きを取り戻したのだ(この公演でトニー賞特別賞を受賞)。

 さて、ここに紹介する『JUDY DUETS』は、その名の通りジュディ・ガーランドのデュエット曲ばかりを集めた CD だが、あらかじめ企画されて録音されたものではなく、彼女がホストを務めた 63-64年の TVシリーズ『THE JUDY GARLAND SHOW』から、デュエット・ナンバーをピックアップして作られたもの。
 ©表示が、ジャケット裏には 1997、中に入っている小冊子裏には 1998とあるのだが、ジュディ・ガーランド・データベース・サイトによれば、店頭に並んだのは 98年になってかららしい(僕が見つけたのは今年になってから)。ともかく、その辺が少しいい加減ながら(笑)、ジュディの生誕 75年記念盤として世に出たものだ(ジュディの生年は 22年)。
 で、ですね、紙製の特殊ジャケットから中袋を引き出すと、その『JUDY DUETS』の CD と解説小冊子の他に、もう 1枚 CD が入っている。これが、『JUDY AT THE PALACE』と題されたライヴ盤で、くだんの 51年に始まったパレス劇場公演の最終日、 52年 2月 24日の模様を収めたものなのだ(先のデータベース・サイトによれば、その日の音源だけではないらしいが)。
 付属の解説を信じれば、ジュディ個人のために録音されたこの音源の存在を知る人はほとんどいなかったそうで、今回の CD で初めて公にされたのだとか。すなわち、カーネギー・ホール・ライヴと並ぶ伝説の舞台が、約半世紀を経て、その姿をよみがえらせたわけだ。
 録音状態は必ずしもよくないが、 3人目の夫となるシド・ラフト Sid Luft の後ろ盾を得て、再び実演の世界で自信を取り戻したジュディの歌声からは、オーラが感じられる。

 5歳だったライザには、この公演の記憶があるだろう(ジュディはここで「Liza」という曲を歌っている)。ここ数年また調子を落としているライザが、同じパレス劇場の舞台に立つにあたって、そこで復活した母の姿に自身を重ねて見ようとしていることは充分に考えられる。同時に、そのイメージは、営業上の戦略ともなっているはずだ。
 そうした諸々のことを考え合わせると、今回の舞台、ライザにとってはかなりの正念場なのではないだろうか。
 父ヴィンセント・ミネリ Vincente Minnelli の監督映画の楽曲を歌うショウらしいから、ライザの状態さえよければ、 MGMミュージカル・ファンは必見のものになるはず(チケットが取れたら 1泊 3日で行くかなあ。笑)。回復と成功を祈りたい。

 ところで、『JUDY DUETS』のデュエットの相手は以下の通り。
 登場順に、カウント・ベイシー Count Basie、ミッキー・ルーニー Mickey Rooney、バーブラ・ストライザンド Barbra Streisand、ボビー・ダーリン Bobby Darin、メル・トーメ Mel Torme、ジャック・ジョーンズ Jack Jones、エセル・マーマン Ethel Merman、フランク・シナトラ Frank Sinatra & ディーン・マーティン Dean Martin、トニー・ベネット Tony Bennett、リナ・ホーン Lena Horne、ペギー・リー Peggy Lee、ヴィック・ダモーン Vic Damone、そしてライザ・ミネリ。
 最もスリリングなのはバーブラと組み合わせ。『アイ・ガット・マーマン』好きの人には、エセル・マーマンとの「Friendship」メドレーがうれしい。
 観直して確認してないが、バーブラとライザの分はヴィデオで出ていたものと同じだと思う。

(11/8/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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