『DUETS』
Emily Skinner & Alice Ripley(VARESE SARABANDE)

“伝説”の双生児再び

 力作ミュージカル『サイド・ショウ SIDE SHOW』がブロードウェイから姿を消して、早 1年。熱心なファンが再上演運動を展開している話も聞こえていたが、地方上演が行なわれたりはしているものの、ブロードウェイでの復活はどうやらありえないようだ。
 しかし、昨シーズンのトニー賞授賞式には、ミュージカル主演女優賞に 2人一緒にノミネートされたアリス・リプリーとエミリー・スキナー(この順番でアナウンス)がそろって登場、ラスト・ナンバー「I Will Never Leave You」を健気に歌ってファンを喜ばせた。
 ここに紹介する『DUETS』は、その 2人が再び劇中のヒルトン姉妹のように寄り添い、女性がデュエットするミュージカル・ナンバーを選んでカヴァーしてみせた CD で、単なる『サイド・ショウ』の副産物で終わらない面白い成果を上げている。

 選ばれたナンバーは、例えば――。

 ヒロインの若い頃と年取ってからを演じる 2人が歌う「Little Me」(from『リトル・ミー LITTLE ME』)。
 ジキルの婚約者とハイドの犠牲者による「In His Eyes」(from『ジキル&ハイド JEKYLL & HYDE』)。
 42丁目の娼婦仲間 2人の「My Friend」(from『ザ・ライフ THE LIFE』)。
 その「My Friend」をオリジナル舞台でデュエットしたリリアス・ホワイト Lillias White とパメラ・アイザックス Pamela Isaacs が昨年リンカーン・センターの特別公演で歌ってみせた「Baby, Dream Your Dream」(from『スウィート・チャリティ SWEET CHARITY』)。
 僕のサイトではおなじみ(笑)ロキシーとヴェルマが歌う「My Own Best Friend」「Nowadays」のメドレー(from『シカゴ CHICAGO』)。
 いずれも姉妹役が歌う「If Momma Was Married」(from『ジプシー Gypsy』「Sisters」(from 『ホワイト・クリスマス WHITE CHRISTMAS』「Ohio」(from『ワンダフル・タウン WONDERFUL TOWN』)。

 ――といった具合。
 ユーモラスだったり寂しげだったりと表情は様々ではあるものの、いずれも互いを慈しむような柔らかな情感に満ちていて、心に染みる。その魅力は確かにそれぞれの楽曲が本来持っていたものではあるが、それを増幅したのが、こうして一堂に集めてヒルトン姉妹のイメージで歌うという企画の力であることも間違いない。

 肝心の『サイド・ショウ』のナンバーもちゃんと用意されているが、これが舞台からカットされた 2曲のメドレーというのもファンにはうれしい。
 さらにシャレてるのが、最後に置かれているバラード。タイトルが「If We Never Meet Again」。これ、明らかに前述の「I Will Never Leave You」の裏返しのイメージで持ってきたと思うのだが、どうだろう。 86年にオープンし、わずか 4回で終わった『ラグズ RAGS』の 1曲らしい。
 シャレと言えば、最後にちょっとしたシークレット・トラックが入っているので、入手された場合はそちらもお聴き逃しなく。

(1/11/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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