「ブロードウェイの魅力」
大平和登(丸善ライブラリー)

舞台ミュージカルの“参考文献”

 発行されたのが 5年前なので、すでに手にしている方も多いかと思うが、真価に気づかないまま見逃していることもあるかもしれない。なにしろ、ニセモノが横行する時代なので、改めて紹介しておきます。

 と言いつつ、この新書サイズの名著「ブロードウェイの魅力」については、先月文庫版が出た小林信彦「<超>読書法」(文春文庫)の P.190- 191に見事な紹介文が載っているので、ここで屋上屋を架すような真似は止める。ぜひ、そちらを読んでいただきたい。なぜこの本を“読まなければならないか”がわかるはずだ。
 [入門書ではあるが、<ブロードウェイにくわしい人>にとっても充分面白い] 本。

 これで終わっちゃ詐欺なので(笑)、この際だから、舞台ミュージカルに関するその他の僕の“参考文献”をいくつか紹介。

 大平和登氏の著作の内、前掲書の他に、少なくとも以下の 4冊にはぜひ目を通しておきたい。
 1975年から 1985年までの劇評の集成「ブロードウェイ」「ブロードウェイ PART2」(作品社)。その続編となる「ブロードウェイを歩く」(読売新聞社)。少し視点を変えた「ニューヨークのパフォーミング・アーツ」(新書館)。
 ブロードウェイ未体験の頃になんだかわからないまま読んで興奮し、ブロードウェイを知ってから読み直して感動し、その後も読むたびに発見があるという、半生をブロードウェイで過ごされた人ならではの貴重な体験と考察の記録だ。

 読みやすくて面白いミュージカルの歴史書と言えば、こちらでも紹介した、アラン・ジェイ・ラーナー Alan Jay Lerner の「ミュージカル物語 オッフェンバックから『キャッツ』まで THE MUSICAL THEATRE: A Celebration」千葉文夫・星優子・梅本淳子/訳(筑摩書房)。
 野口久光「ミュージカルを楽しむ法」(晶文社)も一種の歴史書で、初心者を想定して書かれているが、日本のミュージカルに触れる部分も多く、奥は深い。ただし、編者による解説は蛇足。
 同著者の「私の愛した音楽・映画・舞台」(ミュージック・マガジン社)は、ミュージカルの専門書ではないが、逆により広い視野でミュージカルを捉えることが出来る名著。平易に書かれてあるが、内容はマニアック。

 年代を追って書かれたブロードウェイ・ミュージカル作品ガイドなら、スタンリー・グリーン Stanley Green の「BROADWAY MUSICALS Show By Show」(Hal Leonard Corp.)。 90年に著者が亡くなった後、奥さんのケイ・グリーン Kay Green が書き継いで、現在、 1996年までをカヴァーした第 5版が出ている。これは訳書があって、僕の持っているのは「ブロードウェイ・ミュージカル from 1866 to 1985」青井陽治/訳(ヤマハ出版)だが、その後、新版も出た。
 芝邦夫「ブロードウェイ・ミュージカル事典」(劇書房)も同内容の労作で、こちらには短命に終わった作品やオフの主要作も多く載っている。

 やはりスタンリー・グリーンの書いた、こちらはタイトル通りの事典、「ENCYCLOPEDIA OF THE MUSICAL THEATRE」(Da Capo)。作品名、人物名、楽曲名などから調べることが出来る。ただ、 1976年から改訂されていないのが惜しい。

 日本のミュージカルについては、扇田昭彦「ビバ!ミュージカル!」(朝日新聞社)を読むしかない。信頼するに足るミュージカル評論を書くプロの評論家は、日本でこの人ただ 1人と言ってもいい。

 以上、とりあえずの“参考文献”でした。

(6/13/1999)

Copyright ©1999 Masahiro‘Misoppa’Mizuguchi

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