『BROADWAY CARES: home FOR THE HOLIDAYS』
Various Artists(Centaur Music)

クリスマスの競演

 ブロードウェイで活躍するミュージカル俳優たちによるクリスマス・ソング集『BROADWAY CARES: home FOR THE HOLIDAYS』。リリースは昨年の 11月 13日で、僕が昨年最後にニューヨークを訪れた時の帰国日。見事なすれ違いとなり、季節商品ゆえ 1年間出会えずにいた。
 タイトルからわかるように、ブロードウェイの関係者が行なっているエイズのための募金運動(公式サイトはこちら)の一環で、売上げはそちらに回るのだろう。

 収録曲と歌手は以下の通り。

  1. Baby It's Cold Outside
    Liza Minnelli & Alan Cumming
  2. Have Yourself A Merry Little Christmas
    Christine Ebersole
  3. Santa Baby
    Jane Krakowski
  4. Merry Christmas Darling
    Sam Harris
  5. O Holy Night
    Liz Callaway & Ann Hampton Callaway
  6. Peace On Earth/Little Drummer Boy
    Anthony Rapp & Everett Bradley
  7. Silent Night
    Lillias White
  8. New York State Of Mind
    Adam Pascal
  9. Feliz Navidad
    Daphne Rubin-Vega
  10. Christmas Time Is Here
    Billy Porter
  11. Sleigh Ride
    Lea Delaria
  12. We Need A Little Christmas
    Patrick Wilson
  13. The Christmas Song (Chestnuts Roasting On An Open Fire)
    Davis Gaines
  14. Silver Bells
    Gary Beach & Roger Bart
  15. I'll Be Home For Christmas
    Victor Garber
  16. White Christmas
    Audra McDonald

 ライザ・ミネリとアラン・カミングの軽快な掛け合いで始まり、オードラ・マクドナルドが神妙に締める 16曲。もちろん、『レント RENT』ファンならオリジナル・キャストのロジャー、マーク、ミミ、そろっての登場がうれしいだろうし、『オペラ座の怪人 THE PHANTOM OF THE OPERA』好きならデイヴィス・ゲインズの歌声に、『プロデューサーズ THE PRODUCERS』好きならゲイリー・ビーチとロジャー・バートの共演にニンマリしたりすると思うが、そうした“ご贔屓(ひいき)”がいなかったとしても、繰り返し聴きたくなる、よく出来たクリスマス・アルバムに仕上がっている。
 歌い方は陽気だったり荘重だったり、人によって楽曲によってさまざまだが、それぞれの歌に何かしら“気力”のようなものが感じられて、それが魅力の核心のような気がする。そこに、 2001年秋のニューヨークという時と場所を理由として持ってくるのは、あながち的外れでもないと思う。彼ら 1人 1人には別々の立ち位置や思想があると思うが、あの時期、共通して意識的に“前向き”であろうとしていたことは、まず間違いないだろう。だからこそ、こうしたチャリティのレコーディングにも参加したのだろうし、また、クリスマス・ソングを歌うということ自体に対する独特な感情もプラスアルファで働いているかもしれない。このアルバムの中で歌われる“平穏”への祈りには確かにリアリティがある。
 そうした思いが今後どのような形で舞台に表れてくるのか、それも人さまざまだろうから観客として見守っていきたいが、それはそれとして、このアルバムを聴きながら心温まるクリスマスをすごすのは悪くない。

 ところで、『アリー my Love ALLY McBEAL』で知名度が高まったジェイン・クラコウスキイの歌う「Santa Baby」のオリジナル歌手は、パブリック・シアター版『ワイルド・パーティ THE WILD PARTY』にバリバリの個性派として出ていたアーサ・キット Eartha Kitt。東芝ファミリー・クラブで通信販売されている『ハッピー・クリスマス・ボックス』のライナーノーツ(萩原健太著)によれば、 53年暮れに全米 4位まで上昇したキット最大のヒット曲らしい。
 思わぬところで思わぬ人の名に出会ったので書き添えておきます。

 なお、この CDは Amazon.com で購入出来るようです。今年は間に合わないだろうけど(笑)、来年用にどうぞ。

(12/21/2002)

Copyright ©2002 MIZUGUCHI‘Misoppa’Masahiro

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