Theatres Ads at St. Martin's Court/6/15/2005

[ゆけむり通信Vol.63]

6/14-6/18/2005


  • 6月14日 20:00
    『ラット・パック THE RAT PACK LIVE』
    SAVOY THEATRE The Strand
  • 6月15日 14:30
    『ガイズ・アンド・ドールズ GUYS AND DOLLS』
    PICCADILLY THEATRE Denman Street
  • 6月15日 19:30
    『リトル・ダンサー BILLY ELLIOT』
    VICTORIA PALACE THEATRE Victoria Street
  • 6月16日 14:30
    『メリー・ポピンズ MARY POPPINS』
    PRINCE EDWARD THEATRE Old Compton Street
  • 6月16日 19:30
    『ウーマン・イン・ホワイト THE WOMAN IN WHITE』
    PALACE THEATRE Shaftesbury Avenue
  • 6月17日 17:00
    『シカゴ CHICAGO』
    ADELPHI THEATRE The Strand
  • 6月17日 21:30
    『慎みなきブレイズとウォルターのバーレスク IMMODESTY BLAIZE AND WALTER'S BURLESQUE』
    ART THEATRE Great Newport Street
  • 6月18日 15:00
    『遥かなるパヴィリオン THE FAR PAVILIONS』
    SHAFTESBURY THEATRE Shaftesbury Avenue
  • 6月18日 20:00
    『ビッグ・ライフ THE BIG LIFE』
    APOLLO THEATRE Shaftesbury Avenue
* * * * * * * * * *

 「Here comes the sun!」――通りに出したカフェの黒板に、こんな文字が踊るのを見て、なるほど、この国の人たちは心から晴天を求めているのだな(だから、あの歌が出来たんだな)、と実感した 1年 4か月ぶりのロンドン。それまでは寒いぐらいだったらしいが、着いてからは予報された雨もほとんど降らず、時には暑くなるほど陽が射し、快適に過ごした。
 ……と書きながら思い出したが、ここのところ、いつも、ロンドンでは天候には恵まれている。そういう意味では相性がいいのか? ミュージカルを除いては(笑)。

 今回、事前にチケットを押さえたのは、人気の 3本、『ガイズ・アンド・ドールズ』『リトル・ダンサー』『メリー・ポピンズ』。しかし、それらの“大作”に負けず劣らず“当たり”だったのは、最後に観た『ビッグ・ライフ』。全く予備知識なしだっただけに、得した気分だった。
 なお、滞在中に、旬のネタを扱った『ジーニアス・オブ・レイ・チャールズ THE GENIUS OF RAY CHARLES』が始まったが、アメリカからの引越し公演だったので、迷った末に見送った(舞台は現地産を観よ、なので)。

 『ラット・パック』は去年来た時もやっていた、フランク・シナトラ Frank Sinatra、サミー・デイヴィス・ジュニア Sammy Davis Jr,、ディーン・マーティン Dean Martin による 1960年のラスヴェガスでのショウの再現ショウ(らしい)。“ロンドンもの”の典型 2要素、モノマネとコンサート的ノリを合体させた舞台だが、ことにマーティン役(マーク・アダムズ Mark Adams)の歌がうまく、一夜のお楽しみとしては(半額チケットなら)充分の出来。サヴォイ・ホテル内の劇場に移ったのも、雰囲気としてはプラスに働いているだろう。
 ユアン・マクレガー Ewan McGregor 主演なのが人気に拍車をかけていると思われる『ガイズ・アンド・ドールズ』は、ミュージカルに関しては新鮮なリヴァイヴァルを作ることで知られるドンマー・ウェアハウスの製作(『キャバレー CABARET』『ナイン NINE』他)。と来れば、ストレートな作風であるはずはなく、例えば、見た目で言えば、照明を落とし気味の陰影の濃い舞台になっている。 92年のブロードウェイ・リヴァイヴァル版のカートゥーン的色彩は薄れ、演技も含めて、ややリアルな印象。それもまた(原作の)デイモン・ラニヨン Damon Runyon 的世界だとは思うが、いかんせんテンポが(若干だが)悪くなる。また、マクレガーと並んで主演扱いで登場するジェイン・クラコウスキー Jane Krakowski を、リアリティ追求のためとはいえ(後ろ向きだが)トップレスにまでする必要があったかどうか。やっぱり、この作品に必要なのは、軽快さではないだろうか。あ、マクレガーの歌と踊りはソコソコです。
 同名映画の舞台ミュージカル化『リトル・ダンサー』は、イギリスならではの“ワーキング・クラス・ミュージカル”。映画以上に労働者階級の視線を強調(大々的に反サッチャーも標榜)した内容は、かなり骨太。同時に、主演の少年(僕の観た回はジェイムズ・ローマス James Lomas)の熱い踊りが心を動かす。洗練されてはいないが、そのことも含めて、ブロードウェイ・ミュージカルとは別のよさが、ここにはある。エルトン・ジョン Elton John 作曲の楽曲(作詞兼脚本リー・ホール Lee Hall)も『アイーダ AIDA』の時より生気がある。
 その『アイーダ』が必ずしも成功しなかったのに懲りたのか、キャメロン・マッキントッシュ Cameron Mackintosh と手を組んでのディズニー Disney の新作は、再びヒット映画の舞台化『メリー・ポピンズ』。しかも、『ライオン・キング THE LION KING』の時のような演出の冒険もない。細部のエピソードがいくつか変わってはいるものの、主演 2人のキャラクターをジュリー・アンドリューズ Julie Andrews とディック・ヴァン・ダイク Dick Van Dyke に似せていることを含め、映画のイメージをほぼ再現していると言っていい。もっとも、仕掛けにお金をかけてはいるが、それだけではなく、やるべきことはきっちりやった手堅い作りで、『チキ・チキ・バン・バン CHITTY CHITTY BANG BANG』よりは一枚上手。が、加えられた新曲(ジョージ・スタイルズ George Stiles & アンソニー・ドリュー Anthony Drewe)は魅力に欠ける。
 『ウーマン・イン・ホワイト』は、アンドリュー・ロイド・ウェバー Andrew Lloyd Webber の凡庸なオペラ趣味の楽曲と、ハーレクイン・ロマンとゴシック・ホラーの中間のようなヴィクトリア時代の古臭い通俗的なストーリーを、 CGを駆使した新奇なセットと演出で救おうとして、果たせなかった作品。開幕すぐの第一声からして、別に歌わなくても、と思うほど無理やりなオペラ仕様は、幕間に観客にマネされるほど強烈で、ギャグ寸前だ。
 同様の問題点を持つのが『遥かなるパヴィリオン』。こちらも設定はヴィクトリア女王時代で、場所はインド。打楽器を駆使したインド音楽の部分は活気があって、まだしもなのだが、繰り返し歌い上げ続けるオペラ的楽曲には飽きが来る。隣席で喜んでいる年配のイギリス人女性に感想を訊かれ、歌いすぎだと思うと答えたら、それがミュージカルよ、と言われた。そういう意味じゃないんだけど(笑)。
 2000年に訪れた際に『リッジウェイのレイト・ジョイ RIDGEWAY'S LATE JOYS』という、かつてのミュージック・ホールの芸を伝える演目を観たが、それと同様の動機(地元に根付いた伝統芸を観たい)で観たのが『慎みなきブレイズとウォルターのバーレスク』。バーレスクと来ればジプシー・ローズ・リー Gypsy Rose Lee なわけで、ストリップをメインに据えた下世話な芸人たちの世界。これが、観客たちの陽性の盛り上がりによって、すこぶる楽しくなる。日劇ミュージック・ホールを知らない僕には、いい勉強になりました。
 『ビッグ・ライフ』は、 1950年代に不況のジャマイカからロンドンにやって来た若者たちの話。なにより、スカを基調にした音楽がよく、小規模なカンパニーはみな歌がうまい。ダンスも躍動的で新鮮。男女間の恋の駆け引き話に見せかけて、移民からのさりげない告発も表現しているあたりに、作者たちの信念が見える。装置の転換などが素朴にならざるをえないところを客席に座った(実は)MC役のスタンダップ・コミック的話術でつなぐなど、アイディアも豊富。
 以上の比較的新しい作品と共に『シカゴ』を観たのは、ブルック・シールズ Brook Sheilds が目当て。と言うのも、ドナ・マーフィ Donna Murphy の後を受けて出たブロードウェイの『ワンダフル・タウン WONDERFUL TOWN』で悪くない印象だったという話を聞いていたから。で、シールズだが、メラニー・グリフィス Melanie Griffith ほどはひどくない。そこそこ歌って踊れてはいる。ハラハラはするが(笑)。しかし、それよりなにより、やっぱりブロードウェイの『シカゴ』には特別な“熱”や“誇り”があるな、と改めて思った。ま、そうした温度差の背景には観客の質の違いもあるのだが。

(6/23/2005)

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