劇場通いを止めるのはもはや死ぬときだ!


キャンセル禍再び

 昨年 9月 24日の夜の『ミラクル・ブラザーズ MIRACLE BROTHERS』が、出演者の具合が悪くなって第 1幕だけしか観られなかったことは前回お伝えしたが、半年経たない内に、またしても!
 今回は、公演当日の夕方に窓口まで出向いてチケットを買ったオフのミュージカル『ザ・セヴン THE SEVEN』の夜公演が、出演者急病のためにキャンセルになってしまったのだ。

 まあ、そのこと自体もショックだったのだが、それよりショックだったのは、劇場前に着いて公演キャンセルを知ったのが、 7時 50分過ぎだったってこと(チケットを買ってから 4時間経っていない!)。夜公演は基本的には 8時からなので、別の公演を観ることも出来ない!
 劇場の場所はイースト・ヴィレッジの南の方。ということは、最も近いのは 3ブロック半離れた『ストンプ STOMP』で、その次が『ブルー・マン Blue Man Group TUBES』か、と必死で頭を巡らす。『ストンプ』なら走れば間に合うかも。でも、また『ストンプ』を観るのはなあ、と逡巡する内に時間は過ぎる。
 と、その時、劇場前の通りに置いてある小さな看板に目が留まった。アフリカっぽい仮面のイラストが描いてある。残念ながら「MUSICAL」の文字はないが、「PLAY」と書いてある。どうやら目の前の小さなビルの中に劇場があるようだ。
 こうなると貧乏性の決断は早い。何も観られないよりは何でもいいから観る。急いでエレヴェーターもないビルの 4階まで上って、 15ドルを払い(50ドル札を出したら窓口の女の子はジーンズのポケットから釣りを出した。でもって、チケットはない)、手作りの客席が 3列だけ並んだ小さな劇場で、『パッシング PASSING』というタイトルの、タイムアウト誌にも載っていない、小規模な、セリフ付きダンス・パフォーマンスを観た。

 さて、今回の教訓だが――。
 まず、チケットを持っていても開演ギリギリに劇場に着いてはならない、ということ。
 そして、もう 1つ。チケットを持っていても常に次善の策を用意しておくべし。
 ――と言っても、こんなことは(特に代役がきちんと用意されているオンでは)めったに起こらないはずだから、あまり一般性のない教訓ではある。しかも、ビッチリ観劇しようと思っている時には、“次善の策”の演目は観られても、キャンセルされた演目は観られなくなる可能性が高い。
 その点、今回のスケジュールは緩かったので助かった。珍しく 1週間も滞在するのに、オンの新作 2本とオフの 1本をオンライン予約していただけで、後は全て着いてからの選択。おまけに、いつもなら隙間を縫うようにタイムアウト誌で変則スケジュールの公演を探したりするのだが、今回はそれもせず、のんびり構えていた。おかげで、こうしたトラブルに遭っても、『ミラクル・ブラザーズ』の時と違って、キャンセルされた『ザ・セヴン』は別の日に無事に観ることが出来た。時間さえあれば緩めのスケジュールで観たいものだ、と改めて思ったしだい。
 ところで、これで『パッシング』が傑作だったりしたら怪我の功名というものだが、そこまではうまくいかないのが世の中というもの。しかしながら、普段なら観に行かないだろう公演に出会う機会が出来たことを喜ぶ、という形で精神の合理化を図る貧乏性であったとさ(笑)。

 ただし、新作が相次いで登場している次回は、間違いなくビッチリの観劇スケジュールになる。トラブルのないことを祈るのみだ。

(2/23/2006)

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